すでに「義務化」済み!? 大型車の予防安全性能の今
当たり前のことですが、交通事故は起こしたくないですよね。だけど人間ですからときには「ウッカリ」だってあるもの。ドライバーのミスによる事故を100%防ぐことは容易ではありません。だからクルマには、ドライバーのミスをフォローする「予防安全機能」が必要なのです。
たとえば、よく「自動ブレーキ」と呼ばれる「ブリクラッシュブレーキ(衝突回避・被害軽減ブレーキ)」。衝突の危険を察知すると警告を発し、それでもドライバーの操作がなく事故が避けられないとクルマが判断すると自動的にブレーキをかけるこのシステムは、ここ数年でずいぶん一般化しました。乗用車の場合、新車では設定のないクルマを探すほうが難しいほどですよね。
そして、広く普及した結果、衝突事故は大幅に減りました。そんな機能を「アイサイト」という名称で多くのクルマに標準装備するスバルによると、アイサイトの装着車は非装着車に比べて人身事故全体で61%低減、車両同士の追突事故だけで言うと84%も減っているというから、効果は確実にありますね。
では、ひとたび事故が起きると被害が大きくなりがちな大型車はどうなっているのでしょうか?
乗用車よりもはやく予防安全システムが義務化されていた
驚くことに、大型トラックやバスに関しては衝突被害軽減ブレーキがすでに義務化されています。
まずは、トラックから見てきましょう。新型生産車に関しては、総重量22トン以上のトラックと13トン以上のトラクタ(トラクタヘッド)で2016月11月までに装着を義務化。つまり、2016年11月以降に新型車として生産されるすべての大型トラックに、予防安全システムが搭載されることになります。
今後は段階的に性能も強化され、2021年までには継続生産車(従来から生産されているモデル)も含め、車両総重量が3.5トンを超えるトラックに関しても装着が義務となります。
では、バスはどうか? 2014年11月以降にフルモデルチェンジした車両総重量12トン以上の新車のバスは、すでに全車(立ち席のあるバス=路線バスを除く)に装着済み。継続生産車でも、今年(2017年)9月以降に生産される車両は装着が義務化されることが決まっています。
また新型生産車は今年11月から、継続生産車でも2019年11月からは、いっそう性能の強化されたタイプの衝突被害軽減ブレーキを組み合わせることが求められており、12トン以下のバスも、乗車定員10人以上のモデルは、2021年11月までには装着が義務化されることになっています。
ただし、非装着の車両もまだまだたくさん走っている
また義務化が決まっていない乗用車に対し、大型車では先んじて義務化されていることに驚いた人も多いことでしょう。これで衝突事故を防げるケースが増える、もしくは衝突しても被害が軽減されることは間違いありません。
ただ、ひとつ考慮すべきことがあります。それはバスやトラックの寿命は、一般的に乗用車よりも長いということ。新車には装着が義務付けられていますが、義務化前に生産された車両に関しては装着が必須ではありません。
たとえば、バスの平均車齢は11.8年で、新車登録から20年近く使われることもあります。すなわち、日本の道を走るほぼすべてのバス(路線バスを除く)に装着されるようになるには、まだ20年以上の時間が必要ということ。もしバスに乗る際に車両を選べるなら、できるだけ新しい車両を選ぶ方がいいかもしれません。
誰でもできる、安全のためにバスに乗る際に必ず守るべきこと
もうひとつ、バス乗車中に起きる事故から身を守るために必要なことがあります。それは、シートベルトを装着すること。
事故や急ブレーキの際、人間はシートベルトなしに自分で自分の体を支えることができません。シートベルトをしないばかりに、衝突時に衝撃で車外に投げ出され、後続車に轢かれたり自車の下敷きになって命を落としたりするケースも多いのが現状です。
せっかくバスに安全装備が備わっていても、基本的な安全対策のシートベルトをしていなければ怪我が大きくなったり命を落としたりする可能性は高まってしまうもの。今は、高速道路はもちろん、一般道でもシートベルトは義務化されています。もし周りの人がベルトを締めていなかったとしても、自分が率先して装着し、周囲に装着を促すようにしたいものですね。
(工藤貴宏+ノオト)
[ガズー編集部]
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