アメリカ発のもうひとつのドリフト!Formula Drift Japan Rd.3@富士スピードウェイ
7月最後の土曜日となる29日、富士スピードウェイにて「Formula Drift Japan(フォーミュラドリフトジャパン」の第3戦が開催されました。このシリーズは、アメリカ発のモータースポーツ。日本のD1グランプリ(D1GP)とはちょっと違ったドリフトの世界がここにあります。今回は富士スピードウェイで行われた第3戦の様子から、フォーミュラドリフトジャパンの魅力をお伝えしていきましょう!
そもそもFormula Driftとは?
アメリカでスタートした「Formula Drift(フォーミュラドリフト)」は、日本のD1GPの盛り上がりや日本車をカスタマイズする文化「JDM」の流行をきっかけとして、2004年に発足したドリフトのシリーズ戦。現在ではアメリカ全土で行われ、毎戦10万人以上を集客する人気モータースポーツとなっています。
日本でフォーミュラドリフトジャパンがスタートしたのは、2014年。D1GPとの違いは、どれだけ先行車との距離を縮めながらドリフトができるか「だけ」ではなく、その際のドリフトアングルや煙の出方といった「スタイル」も審査対象に。本国から来日した3人の審査員が、それぞれ「走行ライン」、「角度」、「スタイル」を審査してポイントをつけていきます。
イベントは基本的に2日間で行われ、初日に単走形式の予選で32名を選出。2日目は追走形式で決勝トーナメントが行われます。シリーズを通じて人気が高く、いつも観客は超満員。出展ショップも軒並みSOLD OUTになるほどです。
魅力的なハイパワーマシンたち
D1GPに出場しているマシンも大幅な改造が施されていますが、フォーミュラドリフトマシンもなかなか魅力的です。今大会でも筆者が注目したマシンを紹介します。
- RS☆R 86:TRD製のV8エンジン(NASCARエンジン)にスーパーチャージャーを搭載
- TRC BMW 1Series:トヨタの2JZエンジンに換装し、「T88-33D」ターボチャージャーを搭載する
- GOODYEAR Racing AST86 :2JZエンジンにT88タービンの組み合わせ。 時田雅義選手が乗る2017年のニューマシン
- Team Magic with Redbull RX-7:13B型ロータリーエンジンを4ローター化したターボエンジンを搭載する
3台目に紹介した「GOODYEAR Racing AST86」は、D1GPでトヨタ・クラウンをベースにしたマシンを巧みに操り、持ち前の人柄でファンが多い時田雅義選手が投入したニューマシンです。今年は諸事情からドライバーとしての活動を一時休止していましたが、このニューマシンを育てながら時田選手の2017年がスタートします。
4台目に紹介した「Team Magic with Redbull RX-7」は、13B型ロータリーエンジンを2機取り付けた4ローター仕様で、耳をつんざくようなサウンドと高レスポンスが特徴です。ドライバーは本国フォーミュラドリフトの人気ドライバー、マッド・マイク選手です。
コースアウトやハーフスピン続出の追走トーナメント
取材をしたのは、2日目となる決勝。予選で選出されたトップ32による追走トーナメントです。コースレイアウトは、100Rからアドバンコーナーに抜ける順走。前述のとおりスタイルも審査項目となるため、追いかける側にも派手さが求められます。
広々とした100Rを大きなドリフトアングルで駆け上がってアドバンコーナーにアプローチしますが、振り子のようにリアが過度に振られて膨らんでしまい、コースアウトやハーフスピンに陥るドライバーも見られました。
- 100Rの出口を大きく膨らみ、立てかけてあったボードを当て飛ばすマイク選手。対戦相手はCARGUY Racing 玉川艶哉選手
- アドバンコーナーの進入で後輪をコース外に落とし姿勢が乱れるBMW1シリーズ。ドライバーはジェームス・タン選手
午後になると雨が降り始め、コースはより滑りやすくなりました。その中で安定した走りを見せてこの大会を制したのは、「Team BOSS with POTENZA Z34 フェアレディZ」を駆る箕輪慎治選手! 2位には、D1GPにも出場中の「D-MAX S15」の横井昌志選手、3位はスコットランド出身のトヨタ・チェイサー使い、アンドリュー・グレイ選手となりました。イベント中、ずっと歓声やコールがあがっていたフォーミュラドリフトの人気ドライバー、マッド・マイク選手はベスト4で横井選手に敗れてしまうという結果に。
- 決勝戦:箕輪選手(右)。箕輪選手が後方についた際に終始ピッタリ横井選手の背後にくっつき勝利!
- 久々の追走となった時田選手。福田忠弘選手とのベスト32追走、福田選手先行の2本目で接触してしまい敗退
- マイク選手vs高橋邦明選手。マイク選手の勝利が確定すると観客エリア、そして海外のプレスからも「Yeah!」と歓声があがった
D1と似ているようで異なるフォーミュラドリフト。アジア、ヨーロッパ、そしてアメリカからの参加者もおり、マシンの作り方も多彩でした。また「DOSS」といったD1で採用している機械計測を使用していないため、いい意味で審査が“あいまい”で、「ワン・モア・タイム」の審査が下されての再戦も何度かありました。フォーミュラドリフトのトップドライバーは、やはりD1経験ドライバーが多いですね。
本国アメリカのプロシリーズに参戦するドライバーとマシンがより多くエントリーするようになれば、さらに派手なイベントになりそうです。次戦は9月23(土)~24日(日)、滋賀県・奥伊吹モーターパークで行われます。アメリカ由来の派手なドリフトイベントにぜひ注目してみてくださいね!
(クリハラジュン+ノオト)
[ガズー編集部]
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