日本では見たことのない「日本車」がいっぱい! ジャカルタ道路事情

先日、インドネシアのモーターショーを見るためにジャカルタへ行ってきました。

皆さんは「インドネシアの自動車事情」って、どんなイメージでしょうか。実はインドネシアは2016年に約106万台売れた乗用車のうち97%以上が日系ブランドという“日本車ラブ”な国。その比率は日本よりも高く、パキスタン(なんと日本車が100%!)に続いて世界2位と言われています。

そんなインドネシアの首都、ジャカルタの道路事情を紹介しましょう。

●道路は激しく渋滞。移動時間は読めない

首都ジャカルタの交通渋滞は「世界一」と言われています。朝と夕方に混むのはあたりまえ。昼間も突然渋滞が始まることがあるので、「クルマで移動する場合は時間が読めない」というのが人々の共通認識なのだとか。

約40kmあるジャカルタ市内とモーターショー会場の移動も、行き(夕方)は約2時間半、戻り(昼過ぎ)は1時間程度と、所要時間が全く違いました。

道路に対してクルマの数が多すぎるというのもありますが、急に車線が減ったりする道の構造や、交差点の信号タイミングなども、渋滞を激しくしている理由の一つだと感じました。

ちなみにインドネシアの道路は日本と同様に左側通行で、車両は右ハンドル。ウインカーレバーもイギリス流の左側ではなく日本と同様に右側についています。

●とにかくバイクが多い。バイクも渋滞する

バイクの数が多いのは東南アジアでよくある風景ですが、ジャカルタも例外ではありません。電車や地下鉄の整備が整っていないこの街で、クルマに比べると気軽に購入・所有できる労働者の足として重宝されています。

クルマの脇をすり抜けていくバイクは渋滞にも比較的強い……はずなのですが、ラッシュ時になるとバイクも渋滞。日本では見かけない光景ですね。

●必要なのは”あうんの呼吸”。クルマの運転はかなりスリリング

クルマの運転はどうか?日本に比べるとカオスです。

まず、道路にはとにかくバイクが多いので、右左折や車線変更時はもちろん、まっすぐ走っているときだってそれらを巻き込まないように気をつけないといけません(逆走バイクにも注意!)。

走行中に危険がなくてもクラクションを頻繁にならすドライバーもいますが、それはバイクにクルマの存在をアピールしているように感じました。

また車線をキープせずはみ出したり、フラフラと車線変更を繰り返すクルマも多い印象。そのうえ渋滞でも高速道路でも写真のようにかなり車間距離を詰めて車線変更するなど、日本人が現地でクルマを運転するには相当の慣れが必要でしょうね。あうんの呼吸はなかなかつかめません。

●背の高い車種が主流。そして見たことのない日本車がたくさん!

「インドネシアは日本車率が高い」と書きましたが、実際に現地で道路を観察していると、そんな実感がわきません。「日本車」といえども異国情緒たっぷりなのです。

なぜなら、日本メーカーのクルマとはいっても、多くは日本では売っていない現地向けのクルマで見慣れないデザインだから。

現地で主流となっているのは、背の高い車体に3列のシートを組み込んだ小型MPV。比較的リーズナブルかつ多くの人が乗れる実用性の高いパッケージングで、最低地上高が高めなのは悪路や冠水でも走りやすいようにです。

人気車種はトヨタ・アバンザ、ダイハツ・セニア、スズキ・エルティガなど。それらより一回り大きなMPVのトヨタ・イノーバなども多く見かけました。

道路上はそれらMPVとSUVで大勢を占め、セダンは極めて少数派。これはセダンの税金が高いことも影響しているのでしょうね。

●アルファードが頻繁に走っている

広くて快適で豪華なアルファードはジャカルタの富裕層に大人気。見かける頻度は東京よりも高いと思えるほどでした。

アルファードは現地生産でなく日本から輸入されていて、販売価格は関税が高いこともあって高価。日本円にして約750~1400万円もします。物価を考えれば、日本でロールスロイスを買うような感覚でしょうかね。

ちなみに、先日からヴォクシーも正式販売が始まり、こちらは約370万円也。

●ボディカラーはブラックが流行中?

街を走っている車両を見ていたら、黒系のボディカラーが妙に多いことに気が付きました。流行っているのか、それとも伝統的に黒が定番なのか?

かつて日本で、白のボディカラーが大流行した時代を思い出しました。

●役人はクラウンが大好き!

海外なのにクラウンを頻繁に見かけてびっくり。パトカーの先導を受けているクラウンも時々見かけるなと思ったら、クラウンは上級役人や政府高官の公用車として流行っているのだとか。

そういえば、インドネシアモーターショーを訪れていたインドネシアの工業大臣もクラウンに乗って訪れていました。日本人としてはうれしい反面、海外の公用車がクラウンというのは不思議な感覚ですね。

●パトカーはアテンザ! 妙にかっこいい

パトカーでもっとも多く見かけたのはアテンザ。なんかカッコいいですね。写真の車両はなんとサンルーフまでついていますよ(笑)。

しかし、マツダはインドネシアではそれほど大きな販売ボリュームがあるわけではないし、そもそも現地では作られておらず日本からの輸入車。なぜ産業保護のために自国で作られた車両を採用しないのか不思議ですが、カッコいいので許します。

●ときにはこんな旧車も。そして珍車?も……

ごくまれに極端に古いクルマも見かけます。これは使い倒している感がいい雰囲気の3代目カローラ。部品供給とかメンテナンスは大変そうですが、いつまでも愛し続けてほしいですね。

たった1回だけでしたが、こんな珍車も見かけました。詳細はよくわかりませんが、カーテン?や飾りがついているところを見ると、祭典もしくは観光客用に使われる車両でしょうかね。珍しいものを見られてなんだか幸せな気分です。

(工藤貴宏+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road