外から見えない車内を公開! 特別仕様の馬運車に乗ってみた
馬運車。文字そのまま、馬を運ぶ車です。
サラブレッドが移動のために乗る車から見える風景はどんなものだろう……。
馬運車に乗るため、北海道苫小牧市のノーザンホースパークを訪ねました。
■馬運車の中ってどうなっている?
隣接の競走馬生産育成牧場ノーザンファームよりお借りして見せていただいた馬運車はなんと特別仕様。菊花賞優勝馬でもあるデルタブルース号(ノーザンファーム生産)が2006年にオーストラリアで開催された世界最高峰のレース、メルボルンカップで優勝した記念に作られたものです。
登録は平成18年、デルタブルース号がメルボルンカップで優勝した年と同年の日野自動車製。馬は4頭乗ることができます。特別車扱いになるからか、車検証にも車種の表示はありません。
この型はトラック仕様の形になっていますが、一般的な馬運車は、前方がバスの仕様で、後方に馬が乗る構造になっており、9頭乗りなのだそうです。馬運車によっては5,000万円くらいするとのこと。高額になる理由としては、足回りをよりしっかり作っていること、また内装がすべて馬の輸送に適した特注になっているからだそうです。具体的には、仕切って1頭ずつ乗れるようにできる、床や壁にゴムマットを貼ってある、荷台を洗ったあと、水を逃がす溝が作られてある、そして、荷台にエアコンを設置してあるなど、きめ細かな仕様になっているとか。
■こんなときにも便利!
バス仕様の馬運車には、モニターがついていて、車内の馬の様子を見ることができるものもありますが、このクルマの場合は、あまり長距離移動に使用することがなく、モニターがついていないため、車内の馬の様子に細心の注意を払いながら運転するそうです。
馬が乗りこむ車内も見せてもらいました。扉の開け閉めは完全手動式。かなりの重さで、上げ下げは結構な重労働です。
意外と狭いでしょうか? 馬はこの斜面を誘導され車内へと入っていきます。中へ入ったら、取り付けられたリングに手綱を繋ぎます。
- 中の様子はこんな感じです
- 馬からも窓の外の景色が見えます!
- 天井にも換気のための小窓があります
馬も窓からの景色を見ながら快適に移動……というわけですね。
■馬運車の運転手インタビュー
普段、馬運車を運転する、観光乗馬ユニットチーフの太田和明さんにお話を伺いました。
――馬運車に乗っているとき、馬は鳴きませんか?
「鳴いたりしますよ。不安だったり、さびしいんでしょうね。だから、2頭で乗っているときは、おとなしくしています。また、サラブレッドは馬運車に乗り慣れているので、あまり鳴くことはありません。乗馬用の馬のほうが鳴きますね。初めて乗る馬は、抵抗することもありますよ」
――運転しているとき、注意する点は?
「急ブレーキ、急ハンドルは絶対しません。普通の運転でも当たり前のことですが、ここに一番注意します。速度もゆっくり走ります。長距離を移動する方の話だと、高速道路でもスピードを出さないように心掛けていると聞きます。繊細で高価な生き物を運んでいるわけですし、絶対に事故を起こすわけにはいきませんから」
■デルタブルース号とご対面
ここで、この馬運車のデザインとなった、デルタブルース号が登場。数々のレースを勝ち抜いてきた彼は2009年に引退、現在はノーザンホースパークで馬術競技馬として活躍しています。
堂々たる雄姿。この日は少しお疲れ気味とのことでしたが、しっかりポーズをとってくれました。
■大型シャトルバスも走行中! 馬と自然のテーマパーク
ノーザンホースパークは新千歳空港からのアクセスもよく、年間約30万人の方が訪れるそうです。園内では約80頭の馬がお出迎えしてくれます。
乗馬や馬車を楽しむことはもちろん、近頃リニューアルしたホースギャラリーでは、ノーザンホースパークの強い競走馬作りの歴史などを知ることができます。
- 新千歳空港を往復するシャトルバスも桁違いに大型
北海道らしい風景と馬とのふれあいに心和む場所でした。
<取材協力>
ノーザンホースパーク
〒059-1361 北海道苫小牧市美沢114-7
TEL. 0144-58-2116
https://www.northern-horsepark.jp/
※馬運車には今回特別な許可をいただき乗せていただきました。常時見学はできません。
(取材・文・写真:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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