車歴20台の筆者がマイカーを手放してカーシェアリングにした理由

福岡県北九州市に住む筆者は今年、大きな決断をしました。マイカーを手放して、カーシェアリングを利用することにしたのです。

18歳で免許を取得し、父親に買ってもらった1973(昭和48)年式の「ホンダ・ライフ」を皮切りに国産車を数台乗り継いだあと、1972(昭和47)年式のフォルクスワーゲン・ビートルで輸入車デビュー。それからフォルクスワーゲン・ゴルフ、マーキュリー・モナーク、フィアット・パンダ、ランチアY10、アルファロメオ166、プジョー605、BMW Z3、フォルクスワーゲン・ポロ、BMW 525i、ポルシェ・ボクスターS、ミニ・クーパーS、ボルボV70、フィアット500などなど、これまでに計20台ものクルマを乗り継いできた結果、たどり着いたのがカーシェアリングでした。

毎月のコストや精神的な負担から解放されたい

輸入車ユーザーが経験する車両トラブルは一通り経験して「免疫」はできていたものの、娘が生まれたのと同時期に乗り始めたフィアット500では、燃料ポンプの故障で真夏の炎天下、幼い娘と2人で数時間もJAF待ちする羽目に……。それをきっかけに自動車を所有するに当っての金銭的なコストだけでなく、精神的な負担も考えるようになりました。

愛車遍歴のうちの1台、変顔で知られるアルファロメオ166は、リアビューも特徴だった
愛車遍歴のうちの1台、変顔で知られるアルファロメオ166は、リアビューも特徴だった

金銭面では、月極駐車場1万3,000円に加えて毎月のガソリン代が1万円前後、それに修理代やオイル交換などのメンテナンス費用と任意保険の月換算を合わせると約2万円。合計で毎月4万円強の維持費がかかっていることに気づいたのです。

また、フィアット 500に乗り換える少し前に、住宅地のマンションから繁華街のアパートに住み替え、居住面積が約2/3になったことで「生活をもっとシンプルに」したいと思い始めたことも理由のひとつ。このとき同時に「輸入車に乗り続ける自分」というスタイルからの解放も試してみたいと思いました。

「タイムズカープラス」一択

自宅が繁華街(主要駅にも近い)にあるため、タイムズカープラスのステーションが徒歩3分程度の範囲内に3カ所(計4台)ありました。どれも、それまで借りていた月極駐車場より近いこともあり、利用するカーシェアリングのサービスはタイムズカープラス一択となりました。

妻も運転することが多いため、加入したプランは「家族プラン」(月額1,030円)に。カード発行手数料が1枚あたり1,550円で、初月に支払った金額4,180円です。この内1,030円は利用金額に充当されます。

金銭的にも精神的にも大幅なコストダウンに

主な利用目的は、打ち合わせや取材といった仕事の場合と、入院している父親のお見舞いや大きな買い物などプライベートの場合と半々くらいの割合です。1回の利用は1,000円~4,000円程度とばらつきはありますが、過去半年の履歴を見ると月8,000円~1万2,000円程度でした。

筆者が住んでいる北九州市は「西鉄バス」の路線が充実しているので、移動の多くを公共交通機関でする場合も多く、毎月5,000円~1万円程度をICカードにチャージしています。それらを鑑みて月の交通費をざっと計算すると、毎月4万円かかっていたものが1万5,000円~2万円ほどに、大幅減となりました。

「輸入車に乗り続ける」ことから脱皮したことで、それまで心の奥底で思っていた「かっこよく思われたい」から解放された気もします。輸入車専門の自動車雑誌も買わなくなり、書店の店頭で一瞥することもなくなりました。それはそれで寂しい気もしますが。

カーシェアリングで注意すべきこと。特に子どもがいるご家庭は……

ひとつは、カーナビとスマートフォンをBluetooth接続したときです。タイムズカープラスのクルマには、たいていBluetooth接続できるカーナビが付いて、筆者はPodcastを聴くためiPhoneを接続します。このとき、「電話帳」を同期するかどうかを尋ねられるのです。もちろん、カーナビに自身の電話帳を残す理由はないので必ず「残さない」を設定。加えて、降車時に必ず(面倒ではありますが)設定を削除するようにしています。

スマートフォンを接続するときは、自身の情報を残さないように注意が必要です。前に利用したユーザーの登録が残っていることもあります。自分の設定を削除するついでに、余計なものを見なくて済むようにこれも削除しています。

必ずチェックする後席ドアの「チャイルドロック」
必ずチェックする後席ドアの「チャイルドロック」

筆者の場合、最後の自家用車が2ドアのフィアット 500だったこともあり、後部座席に子どもを乗せたときに心がけるべきことに気がついていなかったのですが、いざジュニアシートに座らせて発進してしばらくすると、娘がドアノブをカチャカチャいじっている音が聞こえて背筋が凍りました。以降、後部ドアのチャイルドロックは必ずするようにしています。ちなみに、装備されているのはチャイルドシートではなくジュニアシートなので、4才未満のお子さまがいるご家庭は、ご自身でチャイルドシートを用意しなくてはいけません。

利用時にあると便利なもの

あれば便利なスマートフォンホルダーとUSBチャージャー
あれば便利なスマートフォンホルダーとUSBチャージャー

自家用車の時代も本格的なカーナビを装備したことはなく、近年はずっとiPhoneのカーナビを利用していました。なので、エアコン吹き出し口に装着する「スマホホルダー」やシガーソケットに装着するUSBアダプターなどは必ず持ち歩くようにしています。USBアダプターは車内においてある車両もありますが、ない場合もあるので持っておくと便利(100均のもので十分)でしょう。

トラブルらしきものは一度だけ

タイムズカープラスに加入して約半年、大きなトラブルは経験していませんが、つい先日こんなことがありました。台風が近づいてきたある日、いつものように利用しようとすると、クルマを出したあとに置いておく「スタンド看板」がないことに気づいたのです。利用には問題ないためそのまま出庫したのですが、用事を済ませて帰ってくると、カーシェア車両を止めるべきスペースに一般車両が……。

通常、カーシェア車両のスペースにはスタンドサインを置いておくのがルール
通常、カーシェア車両のスペースにはスタンドサインを置いておくのがルール

会員専用のフリーダイヤルに電話し、ほかの駐車スペースに停めて事なきを得ましたが、奥のフェンスにスタンド看板が縛り付けられていました。オペレーターさんいわく、台風通過によって飛ばされるのを懸念しての措置だそうです。その台風は逸れて大した風も吹かなかったのですが。

タイムズカープラスのTipsとして

実質0円で利用することもできます。保育園の送り迎えなど30分以内で済ませられる用事のとき、ガソリン残量が少ない車両を使えば、開始15分前から使えることを利用し、給油割引(マイナス206円)を適用させることで、30分未満の利用料金が0円になります。ただし、返却時間が迫って焦ってしまい、事故など起こさないような心の余裕も必要です。

それから「急発進」や「急減速」を繰り返すとポイントが付与されなくなり、アップグレードが遠のきます。急発進・急減速のセンサー感度は車両によってまちまちで、個人的な感覚で言えば、「フィット」や「ノート」はかなり敏感で、ちょっと踏み込んだだけで「キンコンキンコン♪」と急発進の警告音が鳴りますが、「デミオ」や「ハスラー」は、同様の踏み込みでも警告音が鳴りません。クルマごとの特性をみきわめた優しい運転の心掛けが必要なようです。

しばらくカーシェアリングライフは続きそう

カーシェアリングのクルマは、それまで保有した自家用車のどれよりも燃費がよく、さらに「借り物」であることもあり、運転がマイルドになりました。ガソリンが利用料に含まれているとは言え、ガソリン消費が格段に減った気がしてエコなライフスタイルを実感できています。加えて優しい運転になったことで家族の受けもよく、国産のリッターカーが多いとはいえ、常に新しく清潔なクルマに乗り続けられるのもいいところ。しばらくは「カーシェアリングライフ」が続きそうです。

(テッド・オオタニ+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road