【独占取材】FIA公認「ドリフト世界一決定戦」の概要やビジョンをサンプロス代表 齋田功氏に聞いてみた
公道から発祥した「ドリフト」も今や日本の「D1GP」、アメリカの「Formula Drift」をはじめ、世界各地でプロ競技として成立するまでに成長。そして、D1GP発足17年目となる今年9月30日(土)~10月1日(日)の2日間、東京・お台場にて、FIA(国際自動車連盟)公認の世界統一ドリフト大会「FIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ2017」の開催が決定しました!
とはいっても、競技規則や車両規則などその詳細は不明……。そこで、「これは直接、聞きに行くしかない!」と、今大会のプロモーターを務める株式会社サンプロスを訪ねました。
インタビュー取材に快く対応してくださったのは、株式会社サンプロス代表取締役社長の齋田功氏。今回、齋田氏にはFIA国際ドリフトの詳細と同社が描く「ドリフト競技のビジョン」について伺いました。
――FIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ2017開催の経緯を教えてください
2015年にFIA側からアプローチがありました。FIAは、近年のモータースポーツ人口の減少を食い止めるためにさまざまな試みを検討する中、「ドリフト」が将来のプロレーサー、あるいはラリードライバーを生み出す競技であると期待しているようです。そこで、今回の世界統一戦を開催することとなりました。
――どのようなドライバーが参加するのでしょうか?
現在、世界で40以上あるドリフトシリーズの中からFIAが認定したドライバーを招待します。日本、アジア諸国、欧州、北米、中東、アフリカなど、20ヶ国程度から、最大32台がエントリーする予定です。なお参戦するドライバーは、各国の自動車連盟が発給する「国際ライセンス」を取得する必要があります。
――車両規定について教えてください
初年度は、ドリフト競技各シリーズの規定に準じます。しかし、セーフティ面(消火器、バケットシートなど)については、FIAが定める国際モータースポーツ競技規則「FIA-J項」に準じていなければなりません。
- 年々、競技スピードは速くっており、アクシデント時の乗員保護など、セーフティ面の重要性は増している
――レーススケジュールや審査システムはどのようになりますか?
大会は2日間で、両日とも「SOLO(単走)」と「BATTLE(追走)」を行い、それぞれの勝者を決定。2日間の合計ポイントで、トップのドライバーをチャンピオンとします。審査については、D1GPで採用している採点システム「DOSS」と、審査員によるハイブリット形式を予定しています。
――テレビ放送などは行われるのでしょうか?
今大会については、テレビ東京、インターネット配信、海外のTVネットワークでの放映を予定しています。それ以降のシリーズ戦については検討中です。※現在シリーズ戦は「ニコニコ生放送」にて生配信サービス中
――来年以降も開催するのでしょうか?
F3のマカオGPと同じ位置づけで、来年以降も世界一決定戦として開催していく予定です。開催場所については、弊社が決定権を保有していますが、現在は検討している段階です。
――D1GP主催者として、ドリフト競技の将来をどのようにお考えですか?
今大会の開催にあたり、FIAはドリフト競技の発展性を期待しており、3大陸以上での世界選手権開催を目標としています。
弊社サンプロスは、いわばドリフト競技の生みの親。その立場からすれば、世界中でドリフト競技が行われるのはうれしいことですね。それには、必ずしもD1GPやフォーミュラDのようなトップカテゴリーでなくてもいいと考えています。ドリフト競技の下地がない中でいきなりトップカテゴリーの競技を開催しても、憧れの対象にはなりませんからね。私たちはそういったノウハウを持っているので、さまざまな面でお手伝いしていきたいと考えています。
そうして生まれた新しいドリフト競技が発展して、D1GP以上の競技になってもいいと思っています。ドリフト競技の創始者として、「世界中でドリフト競技が浸透してほしい」というのがサンプロスの考えです。
- D1GPは選手とファンとの距離がとても近い。モータースポーツに興味を持つ若年層を増やすきっかけにもなる
選手とファンとともに新たなチャレンジをしていきたい!
ドリフト競技がプロ競技化して17年目、「FIA格式」という大きなステップに到達しました。しかしながら、ドリフト競技そのものがマンネリ化している点は否めず、サンプロスもそういった声が上がっていることは受け止めており、齋田氏も「選手とファンとともに新たなチャレンジをしていきたい」と話していました。
比較的、手軽にチャレンジできるのがドリフトのいいところ。D1GPを始めとしたプロドリフト競技がよりおもしろいものに発展していき、モータースポーツ、そしてクルマ文化がより発展していくことを願ってやみません。
(取材・文・写真:クリハラジュン、編集:木谷宗義+ノオト、取材協力:株式会社サンプロス)
[ガズー編集部]
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