水没した車内はどんな状況になる? JAFが制作した360度VR動画で疑似体験してみた

以前、『Ocean Descent(オーシャン ディセント)』なるPlayStation VR用のソフトを体験したことがあります。深海の闇の中、巨大な人食いサメと遭遇するアレです。もう、椅子から転げ落ちそうになりましたね……。だって、すぐそこにサメがいる(気がする)んだもの!

ちなみに、「VR」とは「ヴァーチャル・リアリティ」の略。あたかも自分がそこにいるかのような感覚が体験できる“仮想現実”のこと。そしてこの技術を、なぜかあのJAFが活用しているのです。

今年の5月29日(火)よりJAFホームページと公式YouTubeアカウントにて公開された動画「車の水没編 ~360動画でVR体験! 水没車両からの脱出~」が、大きな反響を呼んでいます。

足元に忍び寄る浸水、開かないドア、不穏な角度の車体に感じる恐怖

気になるその内容は、突然のゲリラ豪雨や台風等で冠水した道路に誤って入り、水没してしまうクルマの内部を疑似体験できるというものです。それ、怖いって! もちろん動画では怖さを喚起するだけではなく、車内に閉じ込められてしまった場合、どのように脱出すれば良いかもレクチャーしています。

「近年は集中的な豪雨が多く、道路冠水による車両水没被害も多発する傾向があります。JAFではすでに車両水没実験を行った動画を公開し、多くのユーザーにご活用いただきました。また、今回は新しい映像技術であるVRと掛け合わせることで、より臨場感を高めた訴求力の高い映像になるのではと考えました」(JAF交通環境部 以下同)

まずはこちらのVR動画を体験してみてください。できれば、VRゴーグルを着用した状態で!

クルマが水の中へ突っ込み、ハンドルを回しても操作が効かなくなる場面は、まだ“恐怖の入り口”。エンジンの重さのため、車体前方から沈んでいくその角度は完全に不穏。ドアを開けようとしても、水圧のせいでもう開けることはできません。足元を見ると浸水し始めているし、その水はあっという間に胸のあたりまできてしまいます。怖えーっ!

脱出を試みんとスタントマンが窓ガラスを割ると、大量の水が侵入してきた! そして水が天井まで達しようかというタイミングで、運転席の女性は割れた窓から脱出に成功します。映像だけ見ていても鬼気迫るものがありますが、VRゴーグルを着けて観ると疑似体験になってしまうのです。いやぁ、まだドキドキが止まらないわ……。

「万が一の状況を疑似体験することがコンセプトでしたので、このような危険があるということをご理解いただければと思いました。注意喚起になればと思います」

どのようにこの動画を撮影したのか?

ところでこの動画、どうやって撮影したんでしょうか? だって、完全に生き死に関わる空間だったので。こんな修羅場、よく映像に収められたよな……。

「水深150センチ(満水)のプールに女性スタントマン1名乗車の車両を進入させ、車両浸水の様子ならびに浸水後の脱出時の様子を助手席ヘッドレスト部に取り付けた特殊な車載360度カメラにて撮影しました。また、降雨も再現したものです。脱出時は、ハンマーによる運転席側サイドウィンドウの破砕を行いました」

ああ、スタントマンさんでしたか! それなら安心です。逆にいえば、スタントマンくらい修練を積んだ人でなければ再現できないシチュエーションを、この動画では体験できるわけです。

「YouTubeでの再生数が120万回を超えたこともあり、『水(富士山のふもとの湧き水を使用)が綺麗過ぎる』、『あまり体験することはないと思うが、ハンマーの準備が必要だということがわかった』、『ガラス割った瞬間の映像も観たかった』、『脱出した後の映像が寂しかった』など、さまざまなご意見を今までにいただいております」

たしかに、スタントマンが脱出した後の車内の寂しさは異常。しかも、バックミラーに写った平泳ぎするドライバーの後ろ姿は、妙にやりきった感があるし!

衝突した車内の惨状もVR化

JAFが手掛ける“360度VR動画”は、この「車の水没編」だけではありません。昨年10月には、自転車を運転するあなたが知らなかった周囲への迷惑や危険を確認する「自転車編」を、今年の6月には衝突した車内の惨状を疑似体験する「車両衝突編」を公開しています。その一例がこちら。

「『衝突編』は『水没編』と同様、万が一の状況を疑似体験することで“考えるきっかけ”にしていただきたいと考えています。『自転車編』のほうは、学生の方々が交通事故にあわないよう、より訴求力の高いVR映像とすることで興味を引き、交通ルールやマナーを考えていただけるきっかけにしていただくことを目的としています」

これらの目的は、どうやら達成されている模様。「衝突編」に対しては「走行音や衝突音が怖かった」、「臨場感があったので、シートベルトしない危険性がより伝わった」といった反響が、「自転車編」には「(学校の先生などから)学生に見せたい」といった反響が寄せられています。

JAFによるVR動画は、今後も随時追加予定とのこと。ドライバーが気を引き締めるきっかけになるし、単純に映像としておもしろかった! これからも期待したいです。

▼JAF360度VR動画特設サイト
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/360video/index.htm

(文:寺西ジャジューカ 編集:木谷宗義+ノオト、取材協力:JAF)

[ガズー編集部]

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