【TMS特集】クルマの未来が見える? サプライヤーブースで見つけた、気になるアイテム9点

東京モーターショーの華といえば、それはやっぱり自動車メーカーが出展するコンセプトカーでしょう。自動車メーカーがクルマの未来をどう考えているのか、ワクワクさせてくれます。しかし、マニアックなクルマ好きが注目するのはちょっと違います。各自動車メーカーに部品を供給するサプライヤーやタイヤメーカーなどが出展する部品ブースで、貴重なアイテムや未来のアイテムを見つけ出すこと。そこで今回は、東京モーターショー2017で見つけた気になる部品を紹介しましょう。

燃費が良くなり、資源の節約にも貢献できる軽量タイヤ

横浜ゴムのブースで見かけたのが軽量タイヤ「ブルーアースair EF21」。従来品に対して約25%も軽いというから驚きです。タイヤが軽くなることで燃費が良くなるほか、省資源にも役立つ一石二鳥のアイテム。軽くなったことで性能に不安を感じる人もいるかもしれませんが、「体脂肪を落としたようなもので、必要ない部分は落としましたが筋肉は減っていません」とのこと。205/55R16のワンサイズですが、年内に限定販売するそうですよ。

ヘッドライトに反射して光るタイヤ、そのメリットは?

タイヤの溝などに反射材が塗られていて、後続車のヘッドライトに反応して光るタイヤ。その狙いは、後続車の高度安全運転支援システムのカメラに反応させることで、雨の日などでも車間を正確に測定させるサポートをするのだそうです。雨の夜は路面に反射したテールライトを誤認識することによってカメラでの距離の測定が不正確になることがあり、その対策というわけ。こちらも横浜ゴムブースで見かけたものですが、提案でありまだ研究段階なので実際に販売されるかは未定だそう。

すでに実践投入されている、履くだけでダウンフォースを生むタイヤ

こちらは人気レースの「スーパーGT」に実践投入されているアイテムで、履くだけでダウンフォースを得られるタイヤ。つまり車体の浮き上がりを防止する機能があるのです。秘密はタイヤ側面の突起で、これが空気の流れを整え、タイヤを地面に押し付けることでグリップが上がる仕組み。タイヤがダウンフォースを生むとは驚きですね。横浜ゴムの展示でした。

ドライ路面から雪道まで対応するタイヤ

コンチネンタルのブースで見つけた驚きのタイヤは、1本でドライからウェット、そして雪道まで対応できる高機能が自慢。実はタイヤ接地面がウェット、不整地、滑りやすい路面、そして標準と4つの特性に分かれていて、スイッチ操作によりホイールの幅が変化。路面に合わせて最適な特性の部分を接地させることで、幅広い路面で最適なグリップを得られるという発想なのです。単純にいえば、夏タイヤとスタッドレスタイヤが合体していて、ドライ路面なら夏タイヤ部分を、雪道ではスタッドレスタイヤ部分を接地させるというもの(実際にはより多くの特性が組み合わせてある)。まだ提案段階ですが、こういうタイヤははやく欲しいですね。

水に反応して滑りにくくなるタイヤ!?

一方で住友ゴムが「ダンロップ」ブースで提案したのは、路面状況に応じて特性そのものが変化するタイヤ。舗装路からウェットや凍結など路面や気温に応じ、タイヤ素材のゴム自身がアクティブに特性を変えるというコンセプトです……といわれてもピンとこないけれど、イメージとしてわかりやすいのは高野豆腐。乾いた状態だと固くて表面積も狭いけれど、濡れると柔らかく大きくなって表面積が増えてグリップを高められる可能性を秘めている、というわけ。まだ構想に過ぎないものの、2023年頃にはさらに具体的なコンセプトタイヤを発表したいというから期待しておきましょう。

パンクしないタイヤは空気を入れない!?

住友ゴムがクルマ用として、ブリヂストンが自転車用として提案していたパンクレスタイヤ。ポイントは空気ではなく樹脂で重さを支えることで、空気を入れないからパンクがしないというものです。住友ゴムは将来を見据えて開発中、ブリヂストンは2019年にこのタイヤを採用する自転車を発売する予定だというから楽しみ。

F1マシンに使われているブレーキ

曙ブレーキのブースでちょっと変わったブレーキを発見。実は、F1のマクラーレンチームに採用されているブレーキシステムなのです。300km/hを超える速度からのブレーキングにもしっかり対応できるよう、とても大きなサイズで作られていますね。分厚いローターは高熱にも耐えるカーボン製。キャリパーにもカーボンファイバーが使われていて、見た目の美しさにもウットリ。

ドラムでもディスクでもない、MR流体ブレーキ

ブレーキシステムといえば「ドラム」や「ディスク」が常識ですが、曙ブレーキのブースにはそれらとまったく違う「MR流体ブレーキ」というシステムがありました。これは磁力を使って制動力を生み出すもので、電気を流すことで内部の液体が反応。磁力で液体の粘度が高まることで制動力を生むという仕掛けです。現在、使われているブレーキよりも反応がいいので、自動運転車の高度な減速制御に向いているほか、摩耗する摩擦材を使わないので環境に優しいというメリットもあるのだとか。現在はアイデア段階ですが、未来のブレーキとして実用化を目指すといいます。磁石でブレーキとはおもしろいですね。

長さが自由に変わるサスペンションアーム

ベアリング会社の日本精工(NSK)が展示していた「バリオリンクサスペンション」は、アームの長さが自由自在に可変する常識を覆すもの。アームの長さを変えてハンドルを左右に切るのをはじめ、タイヤの接地角度や車体に対する取り付け角度を自由に変更できるという、独自の発想です。まだ研究段階ですが、実用化すれば高速道路では抜群の走行安定性を誇りつつ駐車場では小回りが利く、なんていうクルマも作れる。なんとも独特で非常に将来性のあるアイデアですね。

すでに実用化されているものから、未来の技術まで、9つのアイテムを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか? こうした新しい技術の数々を見ていると、5年先、10年先に出てくるクルマが楽しみになりますね!

(取材・文・写真:工藤貴宏 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road