「CO2削減、アクセル全開!」がテーマ! 電気自動車の祭典「ジャパンEVフェスティバル2017」

11月3日(金)「文化の日」、茨城県・筑波サーキット「TC1000」にて「日本EVクラブ」が主催する電気自動車の祭典「ジャパンEVフェスティバル2017」が開催されました。

昨今、日本でも急速に電気自動車(以下EV)の普及が進み、街のあちこちで電気自動車が走る姿を見かけるようになりました。ショッピングモールやコンビニに、急速充電器が設置されるところも増えてきていますよね。

しかし、「EVって運転の楽しさはどうなのかな?」というクルマ好きの方からの声を聞くこともあります。このイベントを通じて「EVの楽しみをお伝えできるのでは?」と取材してきました。

■ジャパンEVフェスティバルとは?

ジャパンEVフェスティバルは、自作EVを走らせる場として1995年から開催されているイベントで、今回で23回目を迎えます。ただのイベントではなく、メーカーの枠組みを超えてEVを活性化し、そのおもしろさを伝えていく電気自動車の祭典です。未来のエンジニアとなる学生たちが作った自作EVを披露する場にもなっています。

■世界一のEVスポーツの祭典にしていきたい

オープニングセレモニーでは、日本EVクラブ代表理事である自動車評論家の舘内端氏が、「世界一のEVスポーツの祭典にしていきたい」と、電気自動車の楽しさを伝えていく想いを話していました。舘内氏は、イベント中のコメンテーターとしても活躍。ウィットに富んだトークでイベントを盛り上げていました。

オープニングセレモニーでは、こんなレーシングカーも登場。このマシンは、FJ1600をベースに、1994年に作られた日本初の改造型EVフォーミュラカー「電友1号」です。

■最新エコカーの試乗会からフェスティバルはスタート

フェスティバルでは、最新エコカーの試乗会やEVによるレース、タイムアタックが行われました。試乗会は、環境省「COOL CHOICE」運動の一環として下妻市が主催したもの。試乗車のラインナップは、国内外メーカーのEV、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)。「COOL CHOICE」に賛同登録した参加者には、下妻市の人気スイーツである「あんぱん」のプレゼントも。

■EVカートの耐久レース「ERK30分ディスタンスチャレンジ」

EVレーシングカート「ERK30分ディスタンスチャレンジ」は、その名の通り30分の耐久カートレース。EVカートは、アクセルを踏んだ直後からパワーが出るEVの特性から高いドライビングテクニックが要求され、さらに30分間を走りきる安定したドライビングテクニックとピット戦略が勝敗の鍵となります。搭載するバッテリー出力・種類でクラス分けもされていて本格的。

この30分レースを制したのは63号車「OZ Motors ERK(リチウムイオン電池クラス)」。ERK-1(鉛電池48Vクラス)で優勝を飾った女性チーム「ODYSSEY JKB ERK」には、レーシングドライバーの塚本奈々美さんも参加していました。

■現役SUPER GTドライバーも参戦!「コンバートEV 1時間ディスタンスチャレンジ」

今回のメインイベントのひとつが、コンバートEVによる1時間耐久レースです。このレースには、EVにコンバートされたトヨタ・スポーツ800、ポルシェ911、マツダ・ロードスター、ダイハツ・ミラなど、幅広い車種が走ります。

注目は、SUPER GT GT300クラス「Team TAISAN SARD」の山田真之亮選手、ジェイク・パーソンズ選手がドライバーエントリーしていたこと。マシンは「ワーゲン・ポルシェ」の異名を持つポルシェ916(TAISAN PORSCHE 916)で、レースは終始このポルシェの独壇場。最後は、チーム・タイサン代表の千葉泰常さんがドライバー担当し、堂々とトップチェッカーを果たしました。

最後の最後で「電欠」となって「手押し」でチェッカー受けるEVレースならではの光景も
最後の最後で「電欠」となって「手押し」でチェッカーを受けるEVレースならではの光景も

■驚きの連続!「自動運転競技者タイムアタック」

イベントの最後を飾ったのは、自動運転EVによるタイムアタックです。走行したのは「Team R-T」が製作した遠隔操作式EVカート「アレス」と、「プロジェクトM」のLiDAR搭載自動運転EVカート「MM1号」の2台。「アレス」は、車載カメラの映像をVR(バーチャル・リアリティ)デバイスにライブ配信して、あたかも実際に乗っているような感覚で遠隔操作が可能だとか。

「MM1号」は、自動車部品サプライヤーの「アイシン」の有志で製作されたマシンとのこと。今回は初参加ということで、万が一に備えて遠隔操作も可能な状態で走行に臨みましたが、自動運転で無事に1周できました。誰も乗っていない無人のマシンがサーキットを走っていく様子は、ちょっと不思議。

■電気自動車は新たな“楽しさ”の可能性を秘めている

今回、初めて「ジャパンEVフェスティバル2017」を取材してみて、思っていた以上にEVはドライビングファンに溢れていて、カーライフをより豊かにする可能性があると感じました。純粋なEVはまだ航続距離の短さといった課題や、遊びクルマとしてのカスタマイズ性など、手探りな部分があります。だからこそ、この場でエントラントが考えついたアイデアを出し合って、EVの活性化に繋げていけたらいいですね。

EVは動力系が非常にコンパクトなので、この栃木県立鹿沼高校物理部が製作した「立ち乗り型EV KPCEV-06」のようなクルマも作れる。バッテリーは「エネループ」40個!
EVは動力系が非常にコンパクトなので、この栃木県立鹿沼高校物理部が製作した「立ち乗り型EV KPCEV-06」のようなクルマも作れる。バッテリーは「エネループ」40個!

EVが走る姿を見て、「CO2削減、アクセル全開!」というイベントテーマは、これからEVが普及していくためのテーマであるようにも感じました。ずっと頭から離れない、いいテーマです。

(文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力