富士山とクラシック・マセラティに魅せられた2日間「マセラティデイ」
マセラティを所有し、愛する人たちが集うマセラティ・クラブ・オブ・ジャパン(以下MCJ)が主催のイベント「マセラティデイ2017」は、今年で24回目となります。単なるマセラティが集うミーティングではなく、交流の場であり、かけがえのない体験ができる場所です。今年も11月11日・12日の2日間、長野県八ヶ岳高原ロッジをベースに開催されました。錦秋と評するのがまさにふさわしい、そんな深まる秋の中で開かれた、年に一度のマセラティのお祭りに参加したので、当日の様子を紹介します。
- 八ヶ岳高原ロッジの駐車場の一角はマセラティデイのために区切られた
オーナーだけじゃない。家族参加も多いイベント
11日はガラディナーが開かれ、マセラティ・ジャパンのグイド・ジョヴァネッリ社長が現状のマセラティのビジネスの現状に関して報告。またMCJの越湖会長からは、ちょうど50年前の1967年から本国マセラティ社でメカニックになった伊藤義敦氏の話、そして「ミストラル」でモデナからユーラシア大陸を経て日本へ来たという“冒険旅行”のエピソードなどが紹介されました。
とかくこうした自動車のミーティングでは、愛車とオーナーだけが参加しているケースも少なくありませんが、このイベントは家族での参加者も多いのが特徴です。参加者たちにとって、マセラティが豊かな人生を過ごすための、大切なひとつの要素になっていることがよくわかります。
- 2日目の早朝に滋賀県から参加した3500GT。マセラティが初めてGTという名前を冠したモデルだ。ボンネットを開ければ、参加者同士の会話もさらに弾む
- 近年その価値が再評価されるビトルボシリーズ
ミニツーリングで見られた美しい大合唱
2日目は八ヶ岳高原をマセラティで駆け抜けるミニツーリングからスタートしました。最近のモデルはその必要はありませんが、朝晩ともなると氷点下にまで気温の下がる八ヶ岳高原、古いモデルのオーナーは出発時間のかなり前から愛車のもとにやって来てクルマを暖機させる光景もみられました。そして1台、また1台とそんなクルマが増えていくにつれ、朝の八ヶ岳高原に響く、マセラティたちが奏でる勇ましいバリトンの大合唱に思わず胸が熱くなりました。
- 「少し温めないと。-4度以下で幌を開けないこと、と説明書には書いてあるので」とオーナーが教えてくれた。幌にまとわりついた氷の粒がキラキラと宝石のように輝く
- 温まってきたところで丁寧に幌を下ろすミストラル・スパイダー
- 熱心なマセラティ愛好家としても知られる堺正章氏は愛車のミストラルで参加。MCJからは、昨年に引き続き、マセラティ大使として表彰された
- ミニツーリング直前のブリーフィング。途中で撮影班が待つポイントや、曲がる場所の目印、路面の荒い箇所のアナウンスなどを真剣に聞く参加者たち
ミニツーリングで見た名車コレクション
- 白樺の木々の間をマセラティが行く。セブリング、3500GT、ミストラルと続く
- 大変希少なミストラル・スパイダー
- 現在も販売されているギブリはセダンですが、初代ギブリは高性能なクーペ。さらにスパイダーが続く
- 素晴らしいコンディションの初代クワトロポルテが走る姿はなかなか見ることができない。優雅だが凛とした雰囲気はほかのサルーンにはない魅力
- 3200GTに4代目のクワトロポルテが続く。ビトルボ時代と現代のマセラティの過渡期的なモデルたち。少し前の時代のクルマだが、今でも褪せない魅力がある
- ビトルボ系マセラティも多数参加。低重心でコンパクトなボディ。八ヶ岳高原のような場所を走るのにはもってこいの1台だ
クラシック・マセラティと富士山を眺めながらのランチ
1時間ほど八ヶ岳高原をドライブしたのち、一行はそのまま八ヶ岳高原音楽堂へ。規模は小さいながらも素晴らしい音響と、はるか彼方には富士山を拝むこともできるロケーションが楽しめる、大変贅沢な音楽ホールで立食形式のランチを取りました。庭園に囲まれるように建つこの音楽ホールのホワイエ(コンサートなどの休憩時間を過ごすホールのロビー)に立ち、片側に富士山、片側には3500GTや初代ギブリ、ミストラルのクーペとスパイダー、初代クワトロポルテという珠玉のクラシック・マセラティを眺めながらの贅沢な時間。昼食の後は、この音楽堂でミニライブも開かれました。
その後行われた閉会式では、マセラティへの情熱を持って活動する仲間たちへの表彰や、この日ちょうど誕生日を迎えた参加者への祝福のセレモニーなども行われ、週末の渋滞が始まる前にイベントはお開きとなりました。
- この日は朝から午後まで天候にも恵まれ、八ヶ岳高原音楽堂からは富士山が彼方に見えた
- 立食形式の昼食。ミニツーリングの後なので会話も弾む
マセラティの仲間と過ごす貴重な時間
イタリア車の中でも屈指の伝統と格式を併せ持つ名門のマセラティ。このイベントでは、「同じマセラティを愛する」仲間たちとの出会いや、ともに過ごす時間を大切にする雰囲気にあふれていました。もしかしたら、こういった仲間との交流こそ、自動車文化の本質なのではないでしょうか。
- 八ヶ岳高原音楽堂にて記念撮影
(取材・写真・文:中込健太郎 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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