スライドドア車が増えている今こそ知っておきたい、そのメリットと最新事情
小さな子どもや足腰の弱った年配の家族に便利なのが、ミニバンなどのスライドドアを組み合わせたクルマです。今日は、そんなスライドドアについてあらためて考えてみましょう。
そもそもスライドドアとは?
人が乗り降りするためにクルマについているドアは、大きく2種類にわけることができます。ひとつは「スイングドア」。羽根のように開くごく一般的なドアで、ヒンジにより支えられているので「ヒンジ式ドア」とも呼ばれます。もうひとつは、引き戸のように開閉する「スライドドア」。ミニバンや背の高い軽自動車のリヤドアは、このタイプが多いですね。
乗り降りしやすいだけじゃない、スライドドアのメリットは?
スライドドアの最大のメリットはやはり、「狭い場所でも全開にできること」でしょう。スライドドアは、開いた状態でもクルマの横に大きく張り出すことがありません。だから車両の左右にゆとりのない狭い駐車場でもスイングドアと違って大きく開けることができ、乗り降りがしやすいというわけです。また、間違ってドアを勢いよく開けてしまっても、隣のクルマや壁などにドアをぶつける心配がほぼありません。
ドアの開閉を電動化しやすいのも大きな特徴。スイングドアの開閉操作を電動化しているクルマはほぼありません(ロールスロイスくらいです)が、スライドドアは軽自動車でも電動式が一般的となってきました。スイッチを操作するだけでドアが開いたり閉じたりするのは、とても便利です。
あまり知られていませんが、実はドアの開閉を「大人がコントロールできること」もスライドドアの大きなメリットです。例えば、後席がスイングドアのクルマに子どもを乗せる場合、子どもが誤って走行中にドアを開けないようにチャイルドロック(内側からのドアノブ操作ではドアが開かないようにする仕掛け)を作動させる必要があります。しかしそうすると、降りるときに誰かが外からドアを開けなければならず、不便です。
そんな状況でも、電動スライドドアなら運転席からの操作でドアを開けられるので、いちいち外からドアを開けなくても済むのです。後席に乗る子どもはドアを開けられないけれど、運転席からの操作ではドアが開く。そんな「ドア開閉のコントロール」ができるのも(電動式)スライドドアのメリットですね。開けたときもドアが邪魔にならないので、抱きかかえた子どもをチャイルドシートに座らせたり抱き上げるのも楽ですよ!
スイングドアとスライドドアでは乗降姿勢が違う?
多くの人は意図せずにやっていると思いますが、実はスイングドアとスライドドアでは、乗り降りする際の乗降姿勢が大きく変わります。
想像してみてください。スイングドア車に乗り込む姿勢は、ベンチに腰掛けるようにお尻からスッと横にスライドしていきますよね。降りるときは足を先に出して、クルマの外で立ち上がります。一方でスライドドアは、玄関のドアを通るかのように立った状態(に近い姿勢)で車内に出入りします。どちらのほうが身体への負担が少なくて楽でしょうか? スライドドアですよね。だからスライドドアは身体能力の衰えた年配の方にも乗り降りしやすいのです。
そのデメリットも知っておきたい
安全性が高く乗降性もいいスライドドアですが、デメリットも存在します。まずは使い勝手に影響する部分。特に全長の短いクルマの場合に気を付けなければいけないポイントです。
それはドア開口部の幅。開いたドアがスライドするスペースを用意しておく必要がある都合上、開口部の左右幅がスイングドアに比べて狭くなりがちなのです。軽自動車やコンパクトカーのスライドドア車を買おうとする場合は、実際に乗り降りをして、スライドドアの開口部を確認した方がいいでしょう。これは全長との兼ね合いなので、中型車(トヨタ・ヴォクシー/ノア/エスクァイアや日産セレナ、ホンダ・ステップワゴン程度)以上では、あまり気にする必要はありません。
使い勝手以外の部分では、スイングドアに比べて構造が複雑になるので(スイングドア車に比べると)車両価格が高くなること、車両重量が重くなりその分燃費も悪くなること、故障した際には修理金額が高くなることなどもデメリットといえます。
スライドドア最新事情
最後に、スライドドアの最新事情もお伝えしましょう。多くのミニバンで、スライドドアが電動化されているのはご存知の人も多いと思います。電動式スライドドアなら、開閉操作はボタンを押すだけ。また、ドアが閉まるのを待ってからドアロック操作しなくても、スライドドアが閉じたら勝手にドアロックする機構(予約ロック)を持つクルマも増えてきました。
足元にセンサーを備え、足の動きだけでドアを開閉できるクルマもあります。初めて使ったときには衝撃を受けるでしょう。両手に荷物を持っていたり赤ちゃんを抱きかかえていたりしてもドアを開け閉めできるので、とても便利。ホンダのステップワゴンやNボックスなどにオプションで用意されています。
ところで先日トヨタから発表された「JPNタクシー」。今後は急速にこのタクシーが増えるはずですが、こちらも助手席側のリヤドアはスライド式でした。乗り降りのしやすさを求めると、やっぱりスライド式がいいんですよね!
(文:工藤貴宏 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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