毎年発表される「カー・オブ・ザ・イヤー」ってどんな賞?
例年、年末に向けて発表されるのが「カー・オブ・ザ・イヤー」です。内容はネーミングの通りに「今年を代表するクルマ」。今年に発表された新型車の中から「今年の1台」が選ばれます。大ヒットしたクルマもあれば、革新的技術を採用したクルマや、通を唸らせる出来の良いクルマであったりします。今年で最も評判の良いクルマと言い換えてもいいかもしれません。また、ベストの1台だけでなく、部門賞も用意されていたりしますので、クルマを購入するときに、「カー・オブ・ザ・イヤー」をチェックすると、非常に参考になることでしょう。
ただ、問題もあります。実のところ「カー・オブ・ザ・イヤー」は、国などの公的機関が実施しているものではありません。かといって、自動車メーカーが自ら決めるのでは、おかしな話になってしまいます。そのため第三者であるメディアなどが独自に決めているというのが実情です。そうした結果、複数の「カー・オブ・ザ・イヤー」が存在することになり、どれが正統ということもありません。「今年の1台」のはずが、いろいろなクルマが「カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれていたりするのです。ちなみに「カー・オブ・ザ・イヤー」は日本だけでなく、アメリカや欧州など各国にあり、さらに「世界・カー・オブ・ザ・イヤー」というものさえ存在します。そう考えると、毎年、膨大な数の「カー・オブ・ザ・イヤー」が生まれているんですね。
では、複数ある「カー・オブ・ザ・イヤー」はどのように異なるのでしょうか?
それは「誰が選んでいるのか?」というのがポイントです。
たとえば「日本カー・オブ・ザ・イヤー」(英語名CAR OF THE YEAR JAPANから、COTYとも呼ばれます)は、自動車専門誌などの雑誌社が中心になって運営する賞です。いわばメディアによる賞ですね。メディアが推薦する選考委員(ジャーナリストが中心)による投票で、「カー・オブ・ザ・イヤー」が決まります。
▼日本カーオブザイヤー
http://www.jcoty.org/
一方、「RJCカー・オブ・ザイヤー」はジャーナリストが中心になって運営する賞です。RCJ(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)の会員の投票によって「カー・オブ・ザ・イヤー」を選出します。「日本カー・オブ・ザ・イヤー」も「RJCカー・オブ・ザイヤー」もジャーナリスト主体の選考委員ですが、その顔ぶれは異なります。どんな人が選考委員になっているのかをチェックするのも楽しいもの。そして「日本自動車殿堂カー・オブ・ザ・イヤー」は、日本自動車殿堂という団体が定めるもの。選考会員のほとんどが大学などの先生であることが特徴です。
▼第27回(2018年次)RJC カー オブ ザ イヤー
http://www.npo-rjc.jp/commendation/coty_2018.php
選ぶ人が異なれば、重視するところも異なり、そして結果も違ったものになるのは道理。そのため「カー・オブ・ザ・イヤー」の発表や記事などを目にしたときは、どこの団体の賞なのかをチェックしてみましょう。さらに、それぞれの団体のホームページなどを見れば、どのような経緯や考えで賞が与えられたのかもわかります。さらに「カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたクルマのことが理解できるようになるはずです。
(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
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