年末に多いのは勘違い? 高速道路の工事はどんなことをしているのか

高速道路を走っていると、たまに見かけるのが道路工事。「渋滞になってしまう」とマイナスイメージを持つ人もいるかもしれませんが、道路の安全を保つための大切な作業が行われています。そこで、道路工事の具体的な作業や、最近の工事事情などを東日本高速道路株式会社 広報課の天神正博さんにお聞きしました。

■道路工事はどんな作業をしているの?

高速道路の道路工事には、具体的にどんな種類があるのでしょうか。

「お客さまに安全に走行していただくためには、日々の維持管理は欠かせません。日常的行われる作業は、路面・トンネルなどの点検や清掃、道路端の植物の剪定や草刈り、事故が起こった場所の復旧工事などがあります。また日々の点検から発見された損傷に対して抜本的な補修が必要だと判断した場合に、大規模な補修工事が行われます。主に、舗装の打換えや橋梁などの構造物からのコンクリート片の落下防止対策、老朽化した標識や遮音壁などの附属物の更新工事です。」

NEXCO東日本では、さらなる「安全・安心」のために、「SMH(スマートメンテナンスハイウェイ)」と呼ばれるものを計画しているそうです。

「SMHは、ICT(情報通信技術)や機械化を積極的に導入しつつ、技術者とも融合したメンテナンス体制を確立するための計画です。平成32年(2020年)までに実現するように、現在取り組みを進めています」

SMHが導入されると、インフラ管理力の高度化・効率化が期待できるとのこと。高速道路の工事や管理もどんどんハイテクになっているようです。

■年末に多いわけじゃない? 道路工事が多い時期

特に年末に多いイメージがある道路工事ですが、工事が増える時期などはあるのでしょうか。

「『年末によく工事をしている』と思われがちですが、実は、そうではないんです。点検や工事は年間を通して行われているので、特別、年末に集中して行っているわけではありません。また、計画的な工事時期については、大型連休を避け、なるべく夜間の時間帯に行うなど、お客さまのご利用が少ない時期を考えて行っています」

渋滞をなるべくおこさないよう、工事にも配慮がされているんですね。

■現在は「高速道路リニューアルプロジェクト」実施中!

高速道路は現在、老朽化の問題などから、NEXCO東日本だけではなく、全国的に「高速道路リニューアルプロジェクト」を実施しているそうです。

「高速道路は開通から30年を超える道路が約4割もあります。さらに近年では、大型車交通量や車両総重量の増加や、凍結防止剤の散布、短時間異常降雨の多発などもあり、老朽化がますます進行しているんです。そこで、最先端の技術を駆使して、機能の向上と長寿命化を図るために、行われているのが、この『高速道路リニューアルプロジェクト』です」

主な内容は、古い構造物を最新技術で再施行する「大規模更新」と、補修、補強を行い建設当初と同等またはそれ以上の性能や機能を確保する「大規模修繕」の2つだそうです。

「床版に使用されている高性能床板鉄筋コンクリートをより耐久性の高いプレストレストコンクリートと呼ばれるものへ取り替え、劣化を抑制するための防水を施工したり、鋼橋は疲労などによる変状に対し緩和するための補強部材を入れたり、トンネルには、道路の底面を逆アーチ型にして、側面とつなげるインバートと呼ばれる構造物を施工をしたりしています。これは、路面の隆起を防ぎトンネルの安定性を向上させます。」

他にもさまざまな工事内容があり、すべてが終了するのは2029年度を予定しているとのこと。

「長期間のプロジェクトということもあり、通行規制によるご迷惑をおかけしています。社会的な影響を軽減するために、迂回ルートのご案内や、工事の過程など、プロジェクトの情報は随時発信をしていますので、こちらをご確認いただければと思います」

こちらの高速道路リニューアルプロジェクトについては、下記URLで情報を確認することができます。
高速道路リニューアルプロジェクト(http://www.e-nexco.co.jp/renewal/

道路工事はドライバーにとって、マイナスイメージが多いかもしれませんが、私たちの安全を確保するための大切な作業です。また、工事渋滞に巻き込まれたとしても、イライラすれば事故を招きかねません。ゆとりをもった出発、迂回ルートの事前調査など、ドライバーとしての安心・安全を確保するようにしましょう。

<監修>
東日本高速道路株式会社 広報課天神正博
http://www.e-nexco.co.jp/

(取材・文:ヤマウチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)