カーナビから計測機器まで! 「オートモーティブワールド2018」で注目した技術とサービス
2018年1月17(水)~19日(金)の3日にわたって、アジア最大級のクルマの先端技術展「オートモーティブワールド」が、東京ビッグサイトで開催されました。
「カーエレクトロニクス技術展」「クルマの軽量化技術展」「自動車部品&加工EXPO」「EV・HEV駆動システム技術展」「コネクティッド・カーEXPO」「自動運転EXPO」の6展からなるこのイベントには、約1100社が出展。クルマを構成する部品や電子機器、計測機器、自動運転などの最新技術の展示会としてだけでなく、クルマづくりに関わる人たちの商談の場として多くの人が訪れました。今回は、その中から筆者が気になったサービスや技術をご紹介します。
スマホの操作性をそのままカーナビで使える!?
オートモーティブワールドは技術屋さんとメーカーとの商談イベントでもあるため、一般のクルマユーザーにとって難しい展示が多いもの。そんな中でも、私たちの生活に密着しているサービスを見つけました。
すっかり日常にとけこんだスマホでの道案内。スマホをカーナビ代わりにしている人も少なくありません。今回NAVITIMEは、スマホとカーナビをつなげることで、普段使っているスマホの操作性をそのままに、カーナビの大きな画面で操作や表示が使えるサービスを提案していました。
こちらの技術は、スマホと車載器をつなぐオープンソース技術・SDL(Smart Device Link)を使ったもの。まだ試作段階とのことですが、いつも使っているNAVITIMEがそのままカーナビで使えるようになったら、いつでも地図が最新状態になるしたしかに便利! 自分たちのクルマに載る日が楽しみです。
六本木ヒルズでも稼働中! 日本で1台の自動宅配車
かわいい見た目の小さなクルマ、実は六本木ヒルズなどですでに実験稼働中の自動宅配車なんです。
下の映像は会場でも紹介されていた走行実験の様子です。日本の道交法の関係で、歩道を走るときはリードをつけなければいけないそうですが、その姿が逆にかわいい! シニアカーや車いすなどの高さにあわせた大きさで、使い勝手も考えられているのだとか。
2017年には銀のさらや六本木ヒルズ、そして福島県相馬市でも実証実験も実施。六本木ヒルズの実験では、平面を走るだけでなく、なんとエレベーターに乗って目的の階まで自走で移動しているのだそう! ちゃんとエレベーターが満員のときには乗らないようになっているとのことで、「かしこい子!」とヨシヨシしたくなります。
現在は、一緒に事業を展開するパートナーを探しているそうです。アイデア次第でいろいろな分野で活用できるとのことなので、興味がある方はぜひ! こんなかわいい無人運転車が家まで来てくれる日も近いかもしれませんね。
クルマのさまざまな技術を支える
京都に住んでいる人には馴染み深い企業、ローム。半導体などを作っているこの企業は、知名度こそ高いものの、具体的にどんな技術を持っているのか、イメージしづらい部分もあります。ロームのブースでは、一般の人でもわかりやすく自社技術を紹介していました。
たとえば、ここ数年で採用車種が増えている、フル液晶のデジタルメーター。さまざまな情報を表示できる反面、デジタル化すればするほど、システムトラブルなどの不安も出てくるものです。パソコンならフリーズしても使用している人が死ぬことはありませんが、クルマのトラブルは命にもかかわってきます。こちらでは、たとえエラーが起きて一部の機能がダウンしたとしても、速度表示など必要な情報をきちんと表示させる技術を紹介していました。“もしも”に備えた技術ですね!
ほかにも対向車を認識してヘッドランプの一部を消灯するLEDの技術や、クルマとスマホを連携させて、スマホをセットすると記憶していたシートポジションなどを呼び出してくれる技術などをクルマの模型で紹介していました。
見えないところで行われている涙ぐましい努力
次はちょっとコアな技術をご紹介しましょう。こちらは、振動や騒音などのデータをとる検査機です。
試験車に設置したセンサーのデータが、映像と一緒に取れるというもの。クルマづくりにとって計測機器はとっても大切なもの。ボディや足回り、シートにいたるまでさまざまな計測が行われ、ものすごい量のデータ解析をして、より安全快適かつ低コストなものを設計していくのです。気が遠くなるような地道な努力を重ねて、わたしたちの快適なカーライフが成り立っているんですね。
技術展の一画にカフェが!?
およそ1100社にもなる出展企業の中には、こんな技術展らしくないデザインのブースもありました。
カフェのようなデザインが目をひくこちらは、エンジニアとデザイナーが半々で所属しているというめずらしい会社、sdtech(エスディーテック)のブース。技術だけでなく、デザインもよくすることでお客さまが満足する「利用時品質」も高めていくことが目的だそう。瞳孔をチェックして、ユーザー好みのUIを判断する機械などの体験展示も実施していました。
商談に来ている人が来場者のメイン層だったため、自動車ユーザーからみて難しいように思える展示でも、よく話をきいてみると興味深いものが多かったオートモーティブワールド。部品からソフトウェア、そしてさまざまな試験・計測機器など、クルマ産業を支える様々な技術に触れることができるイベントでした。
(取材・文・写真:ミノシマタカコ、編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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