今話題の「コネクテッド」で、クルマは何ができるようになる?【初心者向け】

近頃、次世代のクルマの話題になると、決まったように「コネクテッド」という言葉が出てきます。そこで、今回は「コネクテッド」とはどういうことなのか? どんなメリットがあるのかをおさらいしてみましょう。

まず、コネクテッドは英語で書くと「Connected」で、「つながった」「接続した」という意味です。実際にクルマ業界の言う「コネクテッド」とは、「通信で、クルマが外とつながる(接続する)」ことを意味し、そういう状態にする技術やサービスに対してコネクテッドという言葉が広く使われています。

具体的な通信方法としては、クルマに携帯電話と同等の通信機器を搭載して、電話回線やネットなどにつなげるほか、クルマとスマートフォンを接続して、そこからネットにつなげるという手もあります。さらに、携帯電話とは違う通信用電波を使って走行しているクルマ同士や、交差点の信号といった道路施設など、クルマの周囲にあるようなものと通信するケースもあります。

では、クルマが通信で外と繋がると、どういうことが可能になるのでしょうか?

すでにいくつものコネクテッドによるサービスが導入されている

実のところ、「コネクテッド」を利用したサービスは、すでにいくつも実用化されています。トヨタでいえば、クルマに搭載した通信機器とGPSを組み合わせて盗難車両を見つけるサービスや、カーナビの情報をスマートフォン経由で得て、リアルな走行距離に応じた保険料を決める「つながる自動車保険」を実施しています。

欧州でも、2018年4月から「eコール」と呼ばれるサービスが新車に搭載されることが義務付けられました。これは交通事故が発生したときに迅速に救助ができるようになるシステムです。交通事故でクルマのエアバッグが作動したり、クルマの緊急通報ボタンが押されると、専用の緊急電話番号に、クルマのGPSによる位置情報と車両情報が発信されます。通報を受け取った緊急通報センターは、クルマに付いている通話機器で乗員と通話。もしも反応がないときは、救急車両が事故現場に駆け付けるというサービスです。

さらに、クルマ同士や、クルマと道路が通信するサービスも実用化されています。前走車と追従者を通信でつなげることで、前走車に自動で追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)機能を、よりスムーズにします。また、交差点の信号機やカメラなどとクルマが通信することで、右折した先の歩道に人がいることの警告や、信号が変わるタイミングを教えてくれます。トヨタでは、ITSコネクトという名称で、こうしたサービスをすでに提供しているのです。

また、実用化はされていませんが、クルマ同士やクルマと道路(信号など)がつながることで、見通しの悪い交差点での出会いがしらの追突事故を防ぐというアイデアもあります。

コネクテッドのサービスには、まだまだ大きな可能性がある

クルマに通信機器を搭載するようになったのは、ごく最近のことです。始まったばかりの技術なので、まだまだ大きな可能性が秘められています。

たとえば自動運転技術の進化にも「コネクテッド」が大いに貢献することが期待されています。自動運転に必要な精密で膨大な量の地図データは、クルマがそれぞれに持つのではなく、「コネクテッド」でクルマに提供すれば、いつでも最新の地図が使えるようになります。

さらに、完全な自動運転技術が完成すれば、スマートフォンなどを使って「コネクテッド」で自動運転のクルマを呼び出すというサービスも可能です。また、自動運転車を利用する人は、乗車中に運転をしなくてよいため、自由な時間が作れます。そうしたときにネット利用はマストになるでしょう。そうなれば、それに付随して新しい広告サービスも生まれるはずです。

また駐車中のたくさんのPHVやEVを「コネクテッド」で管理するというものも。個々のクルマを充電させるだけでなく、放電もコントロールすることで大きな電気をためて使うことができるため、疑似的な発電所として利用するアイデアも実現に向けて実験されています。

インターネットが普及し始めたのは1990年代の後半のこと。最初はどんなことに使えるのか理解されず、「本当に必要なの?」という懐疑的な意見もありました。しかし、10年も経たずにインターネットは世界を変革してしまったのです。同じように、「コネクテッド」も、クルマを大きく変革する可能性があります。これから、どんなサービスが生まれるのか、注目していきましょう。

(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road