東南アジアでアルファードやヴェルファイアが人気のワケ

人気のミニバン、トヨタ・アルファードとヴェルファイアがマイナーチェンジしましたね。単に外観のデザインをブラッシュアップしただけでなく、夜間でも歩行者が検知できる次世代の先進安全システムを初搭載。さらに構造用接着剤の採用拡大や高剛性ガラス接着剤の採用によりボディ剛性を上げて乗り心地や操縦性を高め、V6エンジン車のATを6速から8速へと進化させるなどメカニズム面でもしっかりバージョンアップしているのが印象的です。
ところで、アルファードやヴァルファイアの人気があるのは日本だけではないのをご存知でしょうか?

たとえばタイ。
首都バンコクの中心部では、東京よりも頻繁にアルファードやヴェルファイアを見かけるほど、たくさん走っているのだから驚きます。日本から正規輸入されていて、バリエーションはヴェルファイアが2.5Lガソリン、アルファードはハイブリッド&3.5Lガソリンとより上級の位置付けで売っているんですよ。

日本人として驚くのは価格。価格は日本円にして1,200万円から1,700万円程度と、関税の関係で日本の倍以上! しかも、日本の1/3ほどとも言われる物価を考えると、とんでもない高額車です。それでもたくさんの人が買うのだからすごいですよね。

タイにおけるアルファードは、かつて正規輸入がなかった先々代モデル時代からハイブリッドを中心に、バンコクの街で頻繁に見るほど並行輸入として数多く販売。先代モデルからは、正規輸入がはじまりました。

また、世界で2番目に日本車率が高い(日本よりも高い!)、と言われているインドネシアでも、首都ジャカルタでは「なんでこんなに見かけるの?」と思うほどアルファード/ヴェルファイアがたくさん走っています。

こちらもタイと同様にヴェルファイアは2.5Lガソリン、アルファードはハイブリッドと3.5Lガソリンが日本から正規輸入されており、価格は約750~1,400万円。タイほどではないにしても、かなりの高価格車ですね。感覚的には日本でロールスロイスを買うくらいの感じでしょうか。

それにしても、驚くほどの価格にも関わらず、なぜこれらの国ではアルファードやヴェルファイアが高い人気を得ているのでしょうか? そこには、アルファード/ヴェルファイア固有の長所の他に、お国柄も反映されているのです。

その1 とにかく車内が広い

アルファード/ヴェルファイアの最大の特徴は、広い室内ですよね。ゆったりと足を組んで座れる2列目と3列目の広大な空間は日本車のミニバンで最大。そして実は、パッケージングに優れているのでより車体の大きな海外のミニバンと比べても勝っています。まずは、これがタイやインドネシアの富裕層のハートをつかんだのでしょう。

その2 豪華で快適な装備が整っている

上級仕様では電動でリクライニングやオットマンが動く立派な2列目シートをはじめ、アルファード/ヴェルファイアには、豪華で快適な装備が多数盛り込まれています。その充実度は欧州製ミニバンをリード。ライバルよりも豪華装備が充実していれば、お金持ちは振り向くというわけですね。

その3 ラグジュアリーなスタイリング

スタイリングが現地の人たちの好みに合っているのも重要なポイント。メッキを多く使ったきらびやかな雰囲気は、日本人だけでなく幅広くアジアの人たちに響くのです。

その4 乗り心地が快適

タイやインドネシアでアルファードのライバルといえば、メルセデス・ベンツVクラスやフォルクスワーゲン・マルチバンですが、アルファードやヴェルファイアとは大きな違いがあります。それはクルマの成り立ち。アルファードやヴェルファイアは純粋な乗用車ですが、Vクラスやマルチバンは商用車をベースに装備を豪華にした乗用仕様。だからアルファードやヴェルファイアは、ライバルに対して乗り心地が圧倒的に優れているのです。この違いは大きいですね。

その5 日本車ラブな国

それでは、Vクラスやマルチバンではなく豪華装備を備えた快適なミニバンを選べばいいと思うかもしれません。確かに欧州やアメリカには、それに近いミニバンも存在します。ところが、日本車が販売の中心となっているタイやインドネシアでは、日本車とドイツ車以外のラージミニバンは皆無。だからアルファードやヴェルファイアが圧倒的に人気を得るというわけです。

こうして人気の理由を並べてみると、室内が広くて装備が豪華というアルファード/ヴェルファイア独自の特徴に加えて、乗り心地というライバルとの相対的な長所、そして日本車が好まれるという現地の事情という背景まで含めた様々な要素があって、結果的に大好評となっていることが理解できます。
なんか、ますますアルファードやヴェルファイアが魅力的に思えてきますよね。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]