オリンピック種目になるかも? レースゲームの「eスポーツ」に注目!

「eスポーツ」という言葉をご存知でしょうか? 最近、ネットニュースなどでよく目にするという方もいるかもしれませんeスポーツの「e」は「electronic」を表すもの。eスポーツは、ビデオゲームのことを指します。ゲームが、プロスポーツとして注目を浴びているのです。

スポーツなので、参加選手を“アスリート”と呼び、アスリートはそれぞれチーム・団体に所属して大会に出場します。eスポーツでは、主に格闘ゲームやミリタリーゲーム、ボードゲームなどが中心となっていますが、ここにきてレースゲームにも人気が集まってきました。

自動車メーカーがタイアップしたり、優勝者には現実のモータースポーツへの道が拓けたり。将来のオリンピック競技の候補にも挙がっているようです。今回は、eスポーツとして世界で大会が行われている、レースゲームをご紹介します。

グランツーリスモSPORT

2017年に発売されたPlayStation 4向けリアルドライビングシミュレーターの最新作『グランツーリスモSPORT』。今年4月からは、全世界でFIA(国際自動車連盟)公認のオンライン・モータースポーツレースが開幕します。

国内トップを目指し、国の代表として世界一の座を争う「ネイションズカップ」、自動車メーカーの代表ドライバーとして闘う「マニュファクチャラーシリーズ」が行われ、年間を通してチャンピオンになったドライバーは、毎年12月にフランス・ベルサイユ宮殿で行われるFIAの表彰式でF1ドライバーと同じく表彰されます。

上の動画は2月11日(日)に幕張メッセで開催されたゲーム大会「闘会議2018」で行われた、『グランツーリスモSPORT エキシビションマッチ』の様子です。

WRC(世界ラリー選手権)

昨年、トヨタが18年ぶりに復帰を果たし、注目を集めているWRC(世界ラリー選手権)。日本ではあまり知られていませんが、2015年から韓国のヒュンダイ自動車のサポートで公式大会「eSports WRC」が開幕し、2018年からは日本からもエントリーできるようになっています。

競技内容は、WRC公式ゲームの最新作『WRC 7』のオンラインモードで、実際のラリーウィーク期間中に同じステージのタイムを競うというもの(5回チャレンジ可能)。実際のラリー同様、成績に応じてポイントが付与され、チャンピオンが競われます。勝利すると、賞金だけでなくクルマのプレゼントも!

F1(フォーミュラ1)

モータースポーツの最高峰であるF1のeスポーツも行われています。F1も毎年、公式ゲームが発売されており、昨年の9月から11月にかけては、最新作『F1 2017」を使ったeSports大会「F1 eSports Series」が行われました。

同時期にマクラーレンのeスポーツ大会「World Fastest Gamer」が行われ、優勝者はなんと2018年のマクラーレンの開発シミュレーター・テストドライバーとして採用されています。F1は、モータースポーツの中でもっともeスポーツが盛り上がっており、マクラーレンのエースドライバーであるフェルナンド・アロンソ選手が、eスポーツレーシングゲーム「FA RACING G2 LOGITECH G」を設立しました。さらに今年は、F1に参戦しているフランス・ルノーのモータースポーツ部門「ルノースポール」と同国のトップeスポーツチーム「チーム・バイタリティ」とがeスポーツチームを結成。「ルノースポール・チームバイタリティ」として、eスポーツレースの参戦を目指しています。

フォーミュラE

フォーミュラEは、2014年から次世代モータースポーツの頂点としてスタートした、電動フォーミュラマシンのカテゴリー。eスポーツの世界では昨年、アメリカ・ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「CES 2017」で、世界規模の予選を勝ち抜いたプロレースゲーマーと、実際のフォーミュラEドライバーとが戦ったeスポーツレース「Visa Vegas eRace」が行われました。

予選を勝ち抜いたプロゲーマーは、10人のフォーミュラ Eドライバーとの決勝レースに挑戦。プロゲーマー側もレーシングスーツを纏って行われた真剣勝負は、実際のレースに勝るとも劣らない白熱したものになりました。賞金総額は100万ドル(1億円超)! 優勝者には賞金20万ドル(約2,340万円)が送られました。

レースゲームのeスポーツに参加するには?

eスポーツは、機材と実力、それと飽くなき向上心があれば、誰も参加可能です。最低限ゲーム機とソフト、そしてハンドルコントローラーとそれを固定する台があればOK。余裕があればゲーミングPC(ゲーム向けの高性能PC)があるといいでしょう。最近のハンドルコントローラーは、路面の細かな凹凸やタイヤの感触も手を通じてわかるぐらい緻密に作られており、ゲームの再現性もあって本当にクルマを操縦しているような感覚となります。

左は最新のステアリングコントローラー「Thrustmaster T-GT Force Feedback Racing Wheel」。右はステアリングコントローラーを固定する「GRAPHT 武者震REVOLUTION」
左は最新のステアリングコントローラー「Thrustmaster T-GT Force Feedback Racing Wheel」。右はステアリングコントローラーを固定する「GRAPHT 武者震REVOLUTION」

eスポーツの発展にはアスリートのマナーが重要!

そのほかに必要なのは、スポーツマンシップです。いくらバーチャルとはいえ、スポーツマンシップは大切。むしろ、顔を合わせないこともあるバーチャルな世界だからこそ、フェアプレーの精神が必要不可欠となります。『グランツーリスモSPORT』をはじめ、最新のレーシングゲームでは順位やタイムだけではなく、レース中の振る舞いも成績要素として採用され、あまりに悪質だと追放処分もされることも。実際に、故意の追突を繰り返したとして追放処分されたアスリートもいます。レース以外での日常の言動にも注意が必要です。SNSなどでの軽率な発言が問題になることは、一般のスポーツ以上に多いと言えます。もちろん、思う存分楽しむことも大事です。

日本でもアマチュアレベルから世界を目指すハイレベルなものまで、たくさんの大会が行われているので、レースゲームの腕に自信のある人は、チャレンジしてはいかがでしょうか? 参加するには、ゲーム内のオンラインレースモードからエントリーできます。事前にゲームの公式サイトなどでイベント告知されるので、チェックしてみてくださいね!

(取材・文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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