みんなでポジティブに考える交通安全。SMART DRIVER FORUM
「ホメパト」というピンク色のパトロールカーをご存知でしょうか?
基本的にパトロールする範囲は東京の首都高速道路(&イベントなどで展示)だけなので、馴染みがない人も多いことでしょう。ホメパトは「スマートドライバー」という組織が交通安全啓蒙活動として走らせているものです。
2007年に首都高速道路とのジョイント企画で誕生した市民主体型の交通安全プロジェクトであるスマートドライバーは、発足以来「東京スマートドライバー」という名称で活動していました。そして2017年7月からは、さらに活動範囲を広げるため「ジャパン スマートドライバー」として生まれ変わっているのです。
“叱る”のではなく“褒める”交通安全
スマートドライバーのパトロールカーをどうして「ホメパト」と呼ぶのか? そこに活動の特徴が表れています。通常、パトカーといえば違反した人や運転に問題がある人を「叱る」もの。しかしスマートドライバーでは素晴らしい運転やおもいやりのある走りをしている人を褒め、そのポジティブな気持ちを波及させることで交通事故を減らそうと考えているのです。「ほめるパトカー」で「ホメパト」というわけですね。
もうひとつ面白いのは、自分たちで創造していることを重視していることです。従来、交通安全運動といえば警察など上から押し付けられるという感覚が強いものでした。しかし、スマートドライバーは命令するスタイルではなく、広くアイデアを募集しながら自分たちで考えて行動することを重視しています。市民参加型の新世代交通安全運動の姿といっていいかもしれません。
新世代の交通安全を考えるフォーラムが開催された
2018年3月1日。虎ノ門ヒルズにてそんなスマートドライバーのイベント「スマートドライバーフォーラム」が開かれました。
当日はスマートドライバーの賛同者を中心に全国の交通安全組織、メディア、そして自動車メーカー関係者など約250人が参加。いろんな意見を聞きながら、新世代の交通安全について考えました。
ブルックリンの街作りと交通安全の共通性!?
今回のフォーラムのメインとしてスピーチしたのは、ニューヨーク州のブルックリンの街作りをまとめ、わずか5年で賑わう街に変化させた「ダウンタウン・ブルックリン・パートナ―シップ」元代表のタッカー・リード氏。最近でこそニューヨークのなかでも元気のいい街として人と投資が集まっているブルックリンですが、かつてはさびれた街としてくすぶっていました。そこで街の再生に腕を振るったのが、現在はニューヨーク大学の教授として活躍している彼です。
交通安全と街づくりは一見したところ全く関係がないように思えます。しかし、街の再生を成功させた手法の細かいところや大きな考え方に交通安全のヒントが隠されているのではないか? として招かれたのです。
交通安全のイベントに街づくりのキーパーソンを招き語ってもらう。そんな発想からもこのスマートドライバーが従来の交通安全イベントとは一線を画していることが理解できますよね。
「ベンチなどを設けて寛げるようにし、道を人が集まる場所にした」という交通安全にかかわる大きなヒントのほか「政府や自治体が動くのを待っているのではなく、自分たちで行動しよう。まずは自分で動いてまわりを動かそう」というアドバイスも。そんな意識の持ち方の重要さも今さらながら実感しました。
国土交通省や警視庁からも参加
タッカー・リード氏によるスピーチに続き、都市戦術家の泉山塁威氏、モビリティジャーナリストの森口将之氏、DeNA社オートモービル事業本部本部長の中島宏氏、国土交通省道路局の森山誠二氏、福岡スマートドライバー代表の片山英資氏、日産自動車グローバル技術渉外部の長谷川哲男氏、そして警視庁交通部の浪川和大氏がプレゼンテーション。交通安全にとどまらず交通の共存など、今後の交通社会の在り方にいて、ときには脱線しながらそれぞれの想いを語ってくれました。
そしてステージはスマートドライバーの発起人である放送作家の小山薫堂氏が起業家の家入一真氏や予防医学研究者の石川善樹氏を迎えてのディスカッションへと続きました。
いい動きだな、と思ったのはこういった市民型の交通安全運動にもかかわらず国土交通省道路局や警視庁など「お上」の人も参加してくれたこと。彼らも従来ながらの交通安全に限界を感じていて、新しい交通安全運動のスタイルを模索しているようでした。
「民間と手を結んでよりよい道路を作りたい。道路を活用したい」という、国土交通省道路局の森山誠二氏。また警視庁交通部の浪川和大氏からは3月13日の19時から渋谷ヒカリエにて「みん転100人会議」というイベントを開くことも告知されました。「みん転」とは「みんなで、たまには自転車交通安全の未来を語り合ってもいいんじゃないか会議」の略とのこと。あの堅そうな警視庁が渋谷でイベントをおこなうこと、堅苦しくない名前をつけて略称まで使っていること、そして何より市民参加型の交通安全イベントを企画するとは驚きですね。
交通安全にはひとりひとりの小さな意識が大切
スマートドライバーが目指すのは交通安全であり、それは立場や年齢が違っても誰もが願っていること。しかし、これまでの交通安全運動はどこか受け身だったように思えます。
しかしこれからは、自分たちで考えて作り出し、小さなことからでも始めていくのが大切。そんなことをあらためて思ったイベントでした。
(文・写真:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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