目指せ、プロドリフター! ドリキン土屋圭市が審査する「2018ドリフトキングダム第2戦」
走り屋から発祥したクルマを横滑りさせるテクニック「ドリフト」。プロドリフト競技としては、2001年から行われている「D1GP」が知られていますが、今年から新たなドリフト競技が開幕しました。「ドリフトキングダム」です。この競技では、4輪駆動のスポーツカーやステーションワゴンが豪快にドリフトしているんですよ!
「ドリフトマッスル」の新たな形
「ドリフトキングダム」は、“元祖ドリフトキング”土屋圭市さんと日本初の自動車チューニング専門誌『Option』を立ち上げた稲田大二郎さんの両名が、D1GPの第一線から退いて発足した「ドリフトマッスル(2011年~17年)」が名称変更する形で誕生した競技です。
- なかには自走でやってくる選手もいる。
D1GPと大きく違うのは、主役であるマシン。現在のD1GPマシンは、レーシングマシンと同等の車体強化を行うなど、高額な資金を投入して作られた競技専用マシンです。一方の「ドリフトキングダム」の出場マシンは、「公道走行可能(=車検対応)な改造まで」としています。出場ハードルを下げ、より多くの人にドリフト競技を楽しんでもらおうというものです。
- 競技専用車での参戦ハードルは高い。そこで、ドリフトキングダムでは改造範囲を狭めて参戦へのハードルを下げている
審査方法も異なり、D1GPのような「ドリフト計測機器+コース審判員」によるものではなく、審査委員長・土屋圭市さんと「SUPER GT」で活躍する松田次生さんの2人が、コースに設けられた「競技区間」での「進入スピード」「区間タイム」「走りの美しさ」「ダイナミックさ」を総合的に判断し審査をする形に。「区間タイム」が一定以上の早さであれば、ボーナスポイントが与えられます。(第2戦は「SUPER GT」公式テストと重なったため松田次生さんは欠席)
- クラウンエステートやランサーエボリューションⅥなど、参戦マシンの幅が広いのも特徴。ランサーエボリューションⅥは4WDで出場し、この日の「チャレンジ・エキスパート」クラスの最高得点99.3点を記録している
「ドリフトキングダム」には「プロクラス」「クラブマンクラス」、そして「チャレンジ・エキスパート/ビギナークラス」という、3つのクラスが存在します。「チャレンジ・エキスパート/ビギナークラス」は、走行会に近い形で、「プロクラス」や「クラブマンクラス」に出場するドライバーと同じ日に走行できるのが特徴。プロドリフターたちと同じように審査されます。プロクラスのドライバーやチームにアピールでき、成績を残していけばステップアップのチャンスが得られるかもしれない、アマチュアドリフターにとって魅力的なクラスなのです。
単走には31名のドライバーが参戦!
ここからは、栃木県・日光サーキットで行われた「2018ドリフトキングダム第2戦」プロクラスの様子をお伝えしていきましょう。日光サーキットは有名なドリフトコースで、コの字型のコーナー外側は傾斜になっていて早すぎるとコースアウト、遅すぎるとドリフトが続かず得点にならない……という難しいコース。
まずは「単走」が行われ、上位入賞者が「追走トーナメント」に進むという流れは、D1GPと同じ。プロクラスにエントリーした31名のドライバーは、2グループに分かれて審査され、上位16名が「追走」にコマを進めました。
- 川井健太郎選手は大柄なチェイサーで130km/h近いスピードからドリフト。巧みにコントロールしてトップで通過!
- 単走3位の「ZESTINO オディエイティー」の前田選手は、昨年の「ドリフトマッスル」チャンピオン
単走をトップでクリアしたのは「トヨタ・チェイサー」の川井健太郎選手で、1本目で100点超えを記録。2位にはD1GPにも出場していた「マツダ・RX-7」の平岡英郎選手、3位はタイヤメーカー・ゼスティノのワークスサポートを受けた「日産180SX」の前田翼選手が続きました。上位3名はみな100点超えを記録!
- AE86使いの森田登選手は、タイヤのマッチングミスで結果を残せず。ミッドシップのMR2使いの金田健人選手も2回目でキレイなドリフトを魅せたが、速度不足で点数を伸ばせず敗退となった
追走2連勝を飾ったのは箕輪慎治選手(奥さんのチェイサーで)
メインイベントは、2台同時に走行しポイント競う「追走トーナメント」。先行するマシンには、豪快なドリフトと同時に後続マシンを引き離すスピードが求められます。一方で、後続マシンは、先行するマシンの「ふところ」に入り込めるかがポイントですが、それに気を取られてラインをカットするドリフトは、加点されないどころか減点対象になります。
- 箕輪選手(チェイサー) vs 益山選手(シルビア)による決勝戦。バンパーが落ちかけながら益山選手に迫った箕輪選手が僅差で勝利を収めた
- 土屋圭市さんが絶賛したベスト8、前田選手 vs 中村選手。2台ともコース外にタイヤを落としても安定したドリフトで会場を沸かせた
追走トーナメントが始まってみると、単走上位3名は苦戦。トーナメント前のファン投票で優勝候補筆頭だった平岡選手は、ベスト16を制した直後にマシントラブルでリタイアを喫してしまいます。前田選手は、ベスト8で対戦した同じ日産180SXの中村大介選手と「サドンデス(延長戦)」の末、惜しくも敗退。単走トップの川井選手は、準決勝で敗れて3位決定戦で中村選手と対戦。後追いでマシンが膨らみグリップ走行に戻ってしまい、4位となりました。
- 優勝は箕輪慎治選手、2位は益山航選手、3位は中村大介選手。賞金とオイルメーカー・WAKOSからオイルがプレゼントされた
優勝したのは、D1GP出場経験のある箕輪慎治選手。自身が代表を務めるドリフト向け足回りパーツメーカー「HEY MEN PRODUCTS」のチェイサーで出場。このクルマは、なんと箕輪選手の奥さんのマシンだそう。自身のマシンである黄色いマークⅡは、シーズン前に破損し、いまだ修復が間に合わず。
より社会に認められる競技にしたい。土屋圭市さんのチャレンジは続く
- 土屋圭市さんとMCの勝又智也さんによる「トークショー&サイン会」、来場した子どもたちを対象とした「コースde宝さがし」、「優勝者当てコンテスト」といった催しも行われた
アマチュアの選手たちが、プロドリフターと同じ舞台で戦えるのは「ドリフトキングダム」ならでは。ここからステップアップしていくアマチュアドリフターが増えれば、ドリフト人口は増加し、競技の知名度もより上がっていくのではないでしょうか。「ドリフト」をより社会に認められるようにしてきたいという、土屋圭市さんのチャレンジはまだまだ続きます。第3戦は、5月12日(土)~13日(日)。奈良県・名阪スポーツランドで開催されますので、関西方面の方はぜひ足を運んでみてください!
(取材・文・写真 クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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