モーターショーウォッチャー大田中がオススメする「世界のモーターショー」後編

世界のモーターショーめぐりをライフワークとするモーターショーウォッチャー、大田中秀一が独断と偏見でお届けしているこのシリーズ。今回は、前編よりもさらにローカルなモーターショーの楽しみ方に迫ってみたいと思います。今回の旅はまずトルコとスリランカです。

イスタンブール・オートショー:奇数年4月

トルコのイスタンブール郊外にある「Tüyap Fair Convention and Congress Center」で隔年開催されています。会期中は空港からのシャトルバスも運行されますし、街中からメトロバスで会場横まで行けるのでアクセス性もよく、初心者にとっても難易度の低いモーターショーだと言えるでしょう。2018年は開催されませんが、オススメしたいモーターショーのひとつです。

オススメ度:★★★★
難易度:★★

東西の交差点であるイスタンブールは、観光地としても魅力的で何度訪れても飽きません。日本でもおなじみのケバブやトルコアイスなども、本場の味で楽しめます。お茶を飲む習慣もあり、トルコ式グラスに熱いお茶を注いで飲んでいる姿が、ショー会場のあちこちで見られました。ショー自体はさほどの規模でもありませんが、男女ともコンパニオンの顔ぶれの多彩さから、この地が“文化の交差点”であることを実感できます。

ショー会場で目立つのは、豪華仕様に改造されたミニバン。実は、トルコではこうしたカスタマイズミニバンを作る、コーチビルダー(架装業者)が多いのです。基本的にはフルオーダーで、2つとない“自分仕様”をオーダーして仕上げます。日本からのオーダーにも応えてくれるそうなので、気になった方は一度ショーを見に行って、自分仕様のカスタマイズミニバンを発注してみてはいかがでしょうか。右ハンドル車でもいいそうです。

豪華なカスタマイズが施された、メルセデス・ベンツVクラス。こうしたカスタマイズを施すコーチビルダーがトルコには多い
豪華なカスタマイズが施された、メルセデス・ベンツVクラス。こうしたカスタマイズを施すコーチビルダーがトルコには多い
上のVクラスのインテリア。顧客は中近東とロシア方面に多いとのこと
上のVクラスのインテリア。顧客は中近東とロシア方面に多いとのこと
防弾車を製造するコーチビルダーもある。こちらも日本からオーダーできるそうだけど、こんなクルマが必要ない世の中でいてほしい
防弾車を製造するコーチビルダーもある。こちらも日本からオーダーできるそうだけど、こんなクルマが必要ない世の中でいてほしい

http://autoshowistanbul.com/

ちなみに今年は、10月2日~7日に商用車と二輪車、パーツメーカー系のショーがあります。コーチビルダーの出展も何社かあるので、バスが好きな方なら楽しめるでしょう。

http://tuyap.com.tr/en/exhibitions/diyarbakir-autoshow-2018-4th-automobile-commericial-vehicles-motorcycle-biycle-and-accessories-fair#scope-of-the-fair

コロンボ・モーターショー:毎年10月、今年は10月19日~21日

スリランカのコロンボで行なわれる「コロンボ・モーターショー」は、会場に入った瞬間から「なんでわざわざこんなところに来てしまったのか?」と思うほどローカル色豊か、かつアジア的雑多な雰囲気の強いモーターショーです。でもそんなところが、未開拓モーターショーを見に行く楽しみでもあります。会場への公共交通機関はなく、タクシーをチャーターするしかないので初心者向きではありませんが、おもしろいショーなので紹介します。

オススメ度:★★★
難易度:★★★★★

新車ではコンパクトカーが人気なので、インドからマルチ・スズキ製の、マレーシアからプロドゥア製のリッターカーが並んでいます(上の写真は、プロドゥアAXIA。ダイハツ・アイラの兄弟車)。わざわざ「新車では」と書いたのは、中古車の輸入が盛んで、日本からのハイブリッドカーが人気だからです。プリウスを街で目にする機会は本当に多く、海外随一のハイブリッド率で、その割合は日本並み。そういう街中の景色も楽しんでほしい部分です。クルマはさらっと見て、紅茶を探して茶園巡りをしたり、陶器を見に行ったりするのもいいでしょう。

こちらは、お隣インドからやってくるマルチ・スズキ・アルト。このサイズのクルマは大人気
こちらは、お隣インドからやってくるマルチ・スズキ・アルト。このサイズのクルマは大人気
レンタカー会社の宣伝。これらのクルマをレンタルできる。この国には意外にクラシックカーが多く、愛でる文化もあるようだ
レンタカー会社の宣伝。これらのクルマをレンタルできる。この国には意外にクラシックカーが多く、愛でる文化もあるようだ
日本車ファンは多く、スバル・インプレッサの姿も。ハイブリッドもスポーツカーも、日本からの中古車輸入は盛ん
日本車ファンは多く、スバル・インプレッサの姿も。ハイブリッドもスポーツカーも、日本からの中古車輸入は盛ん

自分なりに世界各地のショーを楽しもう

モーターショーを見る楽しみは、ワールドプレミアやスーパーカーを見るだけではありません。お宝を探してミニカーショップを巡るのも、ご当地B級グルメを食べ歩くのも、その楽しみのひとつです。もちろん、上に紹介したような「なんだこれは?」と思うような、おもしろいクルマに出会うこともあります。筆者はそういうおもしろい発見を「目」で、あるいは「口」で味わうことも目当てにして、世界のモーターショーを回っています。

ご当地の買い食いを楽しめるのも海外モーターショーの魅力のひとつ。ジャカルタ「ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS)にて
ご当地の買い食いを楽しめるのも海外モーターショーの魅力のひとつ。ジャカルタ「ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS)にて

世界のモーターショーを調べるときは、下記のサイトが便利。これらのサイトには、ショー情報以外にもさまざまなデータが掲載されていますので、探ればおもろい情報がたくさん見られます。

▼oica
http://www.oica.net/category/calendar/
▼JETRO:世界の見本市・展示会情報(J-messe)
https://www.jetro.go.jp/j-messe/
▼FOURIN(過去のモーターショー情報が見られる)
http://www.fourin.jp/info/sitemap.html#ms

しかし、情報が簡単に手に入るショーであっても、すべてが紹介されているわけではありませんし、情報がないショーは、すべて現地での宝探しです。ショーの開催地や開催規模によって、クルマそのものを楽しむショーから周辺観光を楽しむ方寄りのショー、行くことそのものがアドベンチャーなショーまで、ひとくちに「モーターショー」といっても多種多様です。現地でしか見られないもの、得られない情報、肌で感じる楽しみ。みなさんもそれぞれのモーターショーの楽しみ方を見つける旅に出かけてみてください。

ちなみに筆者は今年、まだ行ったことがないナイジェリアの「第13回ラゴス・モーターフェアー」と、ケニアで行われる「第21回アフリカ・オートエクスポ・ナイロビ」に行ってみようと思っています!

(取材・写真・文:大田中秀一 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]