【首都高ドライブ講座】竹岡圭さんに学ぶ首都高の安心安全な走り方
2018年4月7日(土)、東京都千代田区平河町にある首都高速道路株式会社東京西局で、モータージャーナリストの竹岡圭さんによる「首都高ドライブ講座」が行われました。
「快適で安全・安心なドライブのために」と銘打ったこの講座の参加者は16人で、そのうちの約半数が首都高の走行経験がない方。講座は、ドライビングポジションを確認したのち、バスに乗って首都高を走りながら要所で重要ポイントを聞くというもので、みなさん竹岡さんのお話に熱心に聞き入っていました。では、当日の様子をご覧いただきましょう。
安全運転の基本は正しいドライビングポジションから
- スマートのホメパトを使ってドライビングポジション講座。みな熱心に聞き入っていた
まずは、安全運転の基本中の基本、ドライビングポジションから。交通安全プロジェクト「東京スマートドライバー」で活躍する”ホメパト”を使って、ドライビングポジションのレクチャー行われました。ポイントをまとめると次の通り。
(1)シートには深く腰かける。運転中に体がぶれず、正しい操作をするため
(2)シートは高めで見通しよく
(3)スライド位置(前後調整)は、床につけたかかとを支点にアクセルとブレーキペダルを踏みやすく、膝が折れるくらいの位置に
(4)シートバック(背もたれ)はハンドルをぐるぐる回したときに肘が曲がる位置に
(5)ヘッドレストは耳の位置とヘッドレストの上下の中心を合わせる
(6)シートベルトは腰の位置でしっかり締める
(7)ルームミラーとサイドミラーを正しい位置に合わせる
ルームミラーは、ミラーの全面に後方が見えるように。サイドミラーはボディの一部が見え、両サイドにいるクルマがちゃんと見えるようにするのが、正しい合わせ方。空を見るような位置にしている人もいますが、これはNGです。
- 「床につけたかかとを支点にアクセルとブレーキを正しく踏めるように。ひざはこのくらいで」(竹岡さん)
- 「ハンドルの頂点を持ったときの肘の具合はこんな感じです」(竹岡さん)
希望した一人が正しいポジションを体験しました。この方に話を聞いてみたところ、「いつものポジションはシートバックを寝かせ気味で、ペダルやハンドルからも遠い位置にしていましたが、これからは教えてもらったポジションで運転してみようと思います」とのことでした。そうなんです、正しいポジションは窮屈に感じられるものなのです。
- 「ドアミラーはボディ、路面、他のクルマがよぉく見える位置に」(竹岡さん)
バスから見た首都高の注意点と、道路に施された工夫の数々
ドライビングポジションのチェックができたら、今度はバスに乗って首都高を実際に走りながら、走行のポイントを教わります。
- 首都高走行は、三菱ふそう・エアロクイーンに乗って行われた
今回、バスで走行したルートは次の通り。
「霞ヶ関からC1都心環状線外回りへ」→「江戸橋ジャンクション」→「6号向島線」→「箱崎ジャンクション」→「両国ジャンクション」→「7号小松川線」→「小松川出口」→「小松川入口」→「錦糸町本線料金所」→「両国ジャンクション」→「6号向島線」→「箱崎ロータリー」→「江戸橋ジャンクション」→「C1都心環状線」→「銀座S字カーブ」→「浜崎橋ジャンクション」→「1号羽田線」→「平和島出口からB号湾岸線大井南入口」→「東京港トンネル」→「有明ジャンクション」→「11号台場線」→「芝浦PA」→「浜崎橋ジャンクション」→「C1都心環状線」→「霞ヶ関出口」
このルート、首都高を走行したことがない方にはイメージが湧きづらいかと思いますので補足すると、交通量が多く、左から合流して、短距離で車線変更しながら右に抜ける難易度が高い場所を中心に、料金所、首都高に施された工夫が見えやすい場所、逆走や誤進入防止対策が施された場所を通るというもの。首都高のポイントを網羅する、よく考えられたルートが設定されていました。
- フロントカメラの映像を見ながら竹岡さんが解説。トヨタ86のホメパトがときどき追い越しと車線変更をして、車間距離の取り方などのコツを伝授。「ほかのクルマにブレーキを踏ませない運転を」と竹岡さん
- カーブは注意喚起のために赤舗装。滑りにくい舗装でもあるそう
- 誤進入防止策が施された小松川入口。音、光、スピーカーからのメッセージで警告する
- どの車線を通ってどのETCレーンへ進入するかを早めに決めて、迅速に車線変更するおくことが大切
- 逆走防止にこんな表示も。台場入口にて
聞いていて、「ほほう」と思うようなこともいくつかありました。首都高では、歩行者や125cc未満の二輪車などの誤進入が、年間162件もあるそうです。二輪車の場合、ナビを使っていると当然のように首都高に入るルートを案内され、その通りに入ってしまった……というケースもあるとか。なるほど。
筆者も今回、初めて知ったのですが、首都高では「右からの合流」や「右への出口」も多いため、首都高では追い越し車線の設定はないそうです。そういうことなので、右車線をゆっくり走っているクルマが前にいても、ルール違反とはなりません。もしかしたら、手前で合流してきたばかりかもしれないし、その先の出口から出ようとしているのかもしれませんから。とはいえ、「可能であればできるだけ左側を走行するようにしてほしいと思います」と、竹岡さんとともに解説を担当されたCS推進部長の池谷勝之さんは話していました。
- バスでも着席とシートベルト装着はマストなので、走行中も座って解説
多少窮屈でも、安全確実な操作のために正しいドライビングポジションをとる重要性、車線変更をはじめ、何かするときは早めの合図をすること、ゆっくりとした動きをすること、そしてほかのクルマにできるだけブレーキを踏ませない運転をすることが、安全に首都高を走るために大切なことだということを学んだ1日でした。
(取材・写真・文:大田中秀一 編集:木谷 宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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