18回を迎えるツーリングラリー「チェント・ミリアかみつえ」。往年の名車からスーパーカーたちが九州の大自然を走破

2001年の開催より、毎年春に行われてきたツーリングラリーイベント「チェント・ミリアかみつえ」が2018年で18回目を迎えました。一昨年は平成28年に発生した熊本地震の影響で中止(同年の秋に代替イベントを開催)となりましたが、大分から熊本・阿蘇にかけての大自然を感じながら走るこのイベントは、回を重ねるごとに参加台数が増加。今回は79台が参加しました。2018年4月14(土)・15日(日)の2日間に渡って行われたラリーの様子をレポートしていきます。

1日目:大分県日田~熊本・小国町杖立温泉~オートポリスなど

スタートは例年通り、大分県日田市(ひたし)にある「パトリア日田」から。特設会場には、普段見られないクラシックカーやスーパーカーがズラリとならび、多くの地元民も見学に集まっていました。事務局が配布した応援フラッグを手にして、スタート付近でお見送り。ゼッケン番号は年式の古い順で決められており、1934年式の「ライレー 12/4 スペシャル」(下の写真)が1番となっています。

受付を終えた参加者はパトリア日田の大ホールに集結し、開会式がスタート。安全運転が宣言され、出発の準備に取り掛かります。この日の大分・熊本エリアには強い雨の予報が出ており、特にオープンカーの参加者はレインウェアでしっかりと雨対策をしていました。バイク用ヘルメットも決して大げさではありません。そして迎えた11時、いよいよスタートの時刻となりました。各車両が30秒毎にスタートゲートから飛び出していきます。

最初のチェックポイントは、日田の温泉街でもある豆田町。レトロな商店街の雰囲気とクラシックカーの組み合わせが、よく似合います。そこから南へ進み、熊本県との県境でもある阿蘇郡小国町の杖立(つえたて)温泉へ。ちょうど「杖立温泉鯉のぼり祭り」が行われている時期と重なっており、杖立川にかかる無数の鯉のぼりをくぐるようにチェックポイントへ。

井上陽水の「リバーサイドホテル」は、ここ杖立温泉を舞台に書かれた曲とのことですが、歌詞の都会的なイメージからはちょっとかけ離れていますよね。しかし、歌詞をよく読んでみると間違ってはないおもしろさもあったりします。

さらに熊本県を南に進み、阿蘇の外輪山にそって東に進んだ「うぶやま牧場」が3つめのチェックポイント。「ミルクロード」に添って牧場に近づくにつれて雨足が強くなり、標高が高いことを実感できます。それでも往年の名車たちは力強い走行で、確実に到着。悪天候をものともしない姿にぐっとくるものがありました。ここでちょうどお昼となり、地元「あか牛」のハヤシライスでエネルギーチャージ。ミルクロードを戻り、再度県境を超えた日田市のサーキット「オートポリス」へ向けて出発します。

オートポリスではサーキット走行を2周するというルールとなっていましたが、暴風雨によって参加者の任意参加となりました。ここで無理をせず、車両が動かなくなってしまう恐れもあり、それぞれの判断で初日のゴールへ向かいます。

参加者全員、この日は「阿蘇リゾートグランヴィリオホテル」に宿泊することとなっており、ホテル併設の温泉や懇親ディナーパーティーで、さらなる親睦を深めました。

懇親会には南阿蘇村の吉良清一氏が来場し、感謝の言葉を述べるシーンも見られました。

2日目:阿蘇・草千里~宮崎県・五ヶ瀬ワイナリー~熊本・宇城市三角西港など

2日目の朝を迎え、参加者は早朝から出発の準備を開始していました。この日の天気予報は昼前から晴れの予報。スタート時は濃い霧と、時折強く雨が降っていましたが、ルートを進めていく内に晴れ間が見えてきました。

阿蘇リゾートグランヴィリオホテルをスタートし、最初のチェックポイントは阿蘇五岳の登山道を登った「草千里」。当初、中岳火口手前がスタンプポイントに設定されていましたが、火山活動が活発化している影響によって、手前にある「阿蘇火山博物館」に変更されました。そこから阿蘇パノラマラインを下り、南阿蘇村の「阿蘇白水温泉 瑠璃」へ。さらに東へ進み高森町から山都町を経由して、宮崎県の五ヶ瀬町までやってきました。

宮崎県西臼杵郡(にしうすきぐん)五ヶ瀬町にある「五ヶ瀬ワイナリー」では、参加者に「はちみつ五ヶ瀬ぶどう地サイダー」が配布されましたが、参加者たちの中は、さらに自分たちのお土産にとワインを大量に購入する人も。

このころになると雲の合間から青空が見えており、気温も上昇。オープンカーの参加者たちは、いっせいに幌を開けて次のチェックポイントに向かいました。次のポイントは、五ヶ瀬ワイナリーにもほど近い「五ヶ瀬町総合公園 木地屋」。ここで2日目のランチです。

お腹が満たされたあとは、再び熊本県内に戻り西を目指すルート。「山都町観光文化交流館(やまと文化の森)」という、2017年4月にできたばかりの観光情報の発信拠点に立ち寄ります。夏には「八朔祭(はっさくまつり)」という農作物収穫の感謝祭が開催されており、草木を使用した巨大な作り物(大作り物)と呼ばれる山車が出迎えてくれました。

残すチェックポイントは、ゴールを含みあと2箇所。県道218号線をひたすら西に向かい、九州自動車道をまたいで八代海沿岸を目指します。6箇所目となるスタンプポイントは美里町の「道の駅 佐俣の湯」。多くのギャラリーが待ち受けており、特に子どもたちにはランボルギーニ・ムルシエラゴなどスーパーカーが大人気。記念写真を撮る姿が多くありました。

いよいよゴールポイントとなる三角西港へ。2日間、目まぐるしく変わった天候に翻弄されながらも、涼しい表情でドライビングする参加者の姿に、本当のクルマ好きであることがヒシヒシと伝わってきました。

2015年に世界遺産に認定された三角西港は明治の産業革命を支えた物流の重要拠点として知られており、当時の建築物をそのまま活かしたレストランや資料館が立ち並ぶ港となっています。通常は一般の車両が立ち入ることができない港内の白い石畳にゴールしてきた車両が並べられたその様子は、圧巻の一言。ほかの観光客も集まってきて、珍しいクルマの大群にシャッターを切っています。

そうして迎えたゴールセレモニー。各クラスの表彰が行われ、1件の交通事故も起こすことなくチェント・ミリアは終了しました。2001年の開催以降、無事故記録が続いていることからも、素晴らしいイベントであることがうかがい知れます。参加者同士の交流やスタッフの献身的な動きが、イベント全体の雰囲気の良さを形作っていることが、チェント・ミリアの参加台数が増え続けている要因でもあるでしょう。

遠くは関西からの参加者もいるとのこと。西日本の広いエリアから集まる「チェント・ミリアかみつえ」、古いクルマを所有している方は、ぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか? 「そんなクルマは持っていない」という方は、ラリーのルートに合わせて旅をすると、きっと素敵な旅行になると思いますよ!

(取材・写真・文:赤坂太一 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]