フリーペーパー『せいび界』というコアな世界
クルマを所有する人なら誰もが経験する、車検。「いつもお世話になっている自動車整備工場はここ!」という人もいるでしょう。専門的で少々ニッチな、自動車整備業界。そんな現場で働く多くの人が愛読する冊子に『せいび界』というフリーペーパーがあります。このコアなフリーペーパーには、どんな情報が載っているのでしょうか?
- 「せいび広報社」の皆さん
自動車整備の情報ならおまかせ!
『せいび界』は、主に整備工場や部品会社の人々に向けて発信する自動車整備業界初のフリーペーパーです。全国2万社、およそ10万人が愛読しています。発行するのは「せいび広報社」。自動車整備業界の専門誌を出版する会社で、他にも業界のリサイクルの現状を伝える『月刊自動車リサイクル』などを出版しています。同じフロアーには、関連会社で自動車の中古部品を販売する「ユピック」があります。
- 創刊号の表紙。過去号は資料として数冊まとめて製本されていた
創刊40年以上の老舗
「『せいび界』の歴史は古く、創刊は1970年6月。当時は100ページ超の販売雑誌でした。立ち上げのきっかけは、日本自動車整備振興会連合会の広報を担当していた弊社の創業者が、全国の整備工場に足を運ぶ中、業界新聞やディーラーに属する整備情報を発信するものはあっても、『町場の整備工場が欲するような情報を掲載する媒体がない』という点に着目したことにあります」
そう教えてくれたのは、『せいび界』編集長の八木正純さん。現在では、自動車整備振興会も会報誌を発行しており、こちらでは法整備や業界スケジュール、イベントやその報告といったものを主な内容としているそう。
「そのため『せいび界』では、工具会社の新製品紹介や、上向き経営の整備工場が取り組んでいる事例、はたまた業界への問題提起など、整備業界の『今』を取り巻くあらゆる情報を発信し、業界の活性化を促す内容となっています。創刊以来、そのコンセプトは変わりません」(八木さん)
もちろん、50年近くの歴史の中では、さまざまな変化を経験しています。創刊からしばらくのタイトルは、カタカナの「セイビカイ」で、中面は文芸雑誌さながらの「読ませる」構成だったそう。時を経て、次第にカラー写真が多用され、ビジュアルも重視されるように。2000年代に入ると、タイトルは「月刊 整備界」と漢字になり、ページ数72ページ(600円)という形になります。
- 雑誌からフリーペーパーに変わっていった
「フリーペーパー化したのは2011年です。背景には、ネットの台頭による読者数減少があり、打開策として、業界団体の会報誌と同梱できる薄い形、ということで生まれ変わりました。タイトルも有料末期は『月刊 整備界 カーメンテナンスマネジメント』、そしてフリーペーパーとなって『CMM 月刊整備界 Car Maintenance Management』に変わり、2013年10月号から現在の『せいび界』になりました」(八木さん)
『せいび界』になったタイミングでクーポンが添付するようになり、キャラクターにメガネをかけた「ミナちゃん」も登場。八木さんによると、過去のタイトルのマイナーチェンジはその時その時の現場のトップ(編集長とは限りません)の意向によるものだそうです。ページ数は36ページ。現在、整備工場の取材は1号あたり1~3社、行うそうです。
- フリーペーパーになり登場したキャラクター「ミナちゃん」
業界のコミュニケーションツールとして成長
フリーペーパーといえば、駅や商業施設に設置されていることが多いものですが、コアな情報を発信する『せいび界』は、業界団体の事務所に置かれていたり、協力会社による発送、もしくは手配りが行われています。現在は、部品会社と整備工場をつなぐコミュニケーションツールとしての役割が高く、部品会社からの要望で、2014年7月号から表紙に白窓を設けるようになりました。部品会社の営業担当はそこに自社のハンコを押して営業に回る、というわけです。
八木さんは、「ある会社の営業さんが営業先の整備工場に行ったとき、その整備工場の方が部品会社の商品説明そっちのけで、その場で『せいび界』を読み始めてしまったという話を以前、聞いたことがあります。作り手としては実にうれしいですね」と自分たちが発行するフリーペーパーが現場で役立っていることに満足の様子です。
- 整備工場へ出向き取材することも多い
取材・執筆を担当する編集部の石川竜平さんは「パッと読んで教養が得られるものを目指しています。お昼休みなどに読んでもらいたいですね」と話します。また八木さんは「有料末期のころは1万部の発行でしたが、フリーペーパーにして2万部に増やしました。全国には整備工場は9万弱あります。保険会社などを入れると業界関係者はもっと多くなります。目標は10万部です」と意気込んでいました。
自動車整備業界というコアな世界。『せいび界』は、その業界の内部を切り込み、しっかり取材し、情報を発信する貴重な情報源として重宝されているのですね。
(取材・文・写真:別役ちひろ 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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