運転すると目が疲れるのはなぜ? ドクターに聞いたオススメ疲れ目対策

運転中に目の疲れを感じることはありませんか? とくに長い距離を運転するときは、体だけでなく目にも疲れが出やすいものです。そこで、医療法人星明会南眼科の南院長に、運転時に目が疲れる原因や知っておきたい対策についてお聞きしました。

■運転時に目が疲れやすいのはなぜ?

――クルマを運転すると目が疲れるのはなぜなのでしょうか?

ひとつは、目のピント調節による影響です。運転中は、遠方のクルマや歩行者、信号、クルマのメーター、カーナビなど、遠くを見たり近くを見たりを繰り返すほか、動いているものを見続けることでピント調節が頻繁に必要となります。それが目の疲労につながると考えられます。

もうひとつの原因は、目の乾きです。運転やパソコン作業など、何かを集中して見ているときはまばたきの回数が減ります。まばたきが減ると涙が出る量も減って、目が乾いてしまいます。涙には目を守る働きもあるため、涙が減ると目に負担がかかって疲れを感じやすくなるのです。

また、最近では、目が乾くと目の表面がデコボコになることがわかっています。デコボコになると光の屈折が変わるのですが、それでもなんとかピントを調節しようとがんばって目が疲れてしまうんです。乾き目と目の疲れは、とても結びつきが強いですね。

■ドライブの休憩中、目の疲れにおすすめの対策は?

――休憩のタイミングはどれくらいのペースが理想ですか?

一般的には2時間に1回くらいが目安なのかなと思いますが、個人差がありますね。日頃からパソコン作業などで目を酷使している人だと、目が疲れやすいでしょうし。やっぱり、疲れたと感じたときに休憩することが大切です。

15分程度休んだからといって目が完全に回復するわけではありませんが、目薬を使ったりリフレッシュしたりして、一度、目の緊張をとくことには効果があるでしょう。

――目の疲れを和らげる対策はありますか? 目を動かしたりするのがいいのでしょうか?

目をグルグル動かすことには、あまり意味はないでしょうね。むしろ、目が疲れてしまうと思います。

目にとっては、手元のものを見ることが一番の労働になります。なので、遠くを見るほうがいいでしょう。ただし、遠くを一生懸命見るのではなく、ぼんやりながめるのがポイントです。あとは、本当に疲れたときは目を閉じること。目が乾くのも防げます。

――目薬の種類がいろいろあって迷うのですが……。

基本的には、目に水分を足してあげられるものがいいですね。どの目薬でも目のうるおいは戻りますので、疲れ目や乾き目、ドライアイ用などどれでもいいと思います。なかにはスッキリする成分が入っている目薬もありますが、ドライアイの人には刺激が強いこともあるようです。

あと、信号で停まっているときに目薬をさすのはよくありません。目薬をさすとしばらく見えにくくなるのでとても危険です。駐車が可能な場所にクルマを停めてから使いましょう。

■目の疲れを防ぐために気をつけたいことは?

――メガネやコンタクトの度数が合っていないと、目の疲れを感じやすいですか?

疲れやすくなりますね。度数が合っていないまま使っている人もおられるのですが、きちんと合わせる必要があります。少なくとも、2年に1回は眼科でチェックすることをおすすめします。

定期的に眼科を受診することは、度数の調整だけでなく病気の発見にも役立ちます。実は、眼位(目の向き)が少しずれている人が意外に多いんです。

自分では気づきにくいのですが、放っておくと眼位がずれるのでヨッコイショと寄せて見る。ずれが大きい人ほど目が疲れやすくなり、疲れてきて目を寄せきれなくなると、ものが二重に見えてきたりする。そんな人もおられます。

――そのほか、何か気をつけることはありますか?

クルマのダッシュボードの上には何も置かないほうがいいでしょう。何かがあると一度そこでピント調節が必要になるので、目が疲れやすくなります。フロントガラスをキレイに磨いて、視界をさえぎらないことも大切です。

あとは、十分に睡眠をとっておくこと。寝不足のまま運転すると、目だけでなく体にも負担がかかりますし、事故のリスクも高まります。とくに長い距離を運転する日の前夜はゆっくり寝て、コンディションを整えておきたいですね。

疲れ目の状態が続くと眼精疲労を起こしやすくなり、日常生活に支障を来すことも考えられます。パソコン作業ほどではないにしても、運転でも疲れが積み重なれば、病的な状態につながる可能性はあるでしょう。適度に目を休めるのと同時に、気になるときは早めに眼科を受診してください。

(取材・文:藤田幸恵 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]