ジュネーブモーターショーで話題になった「スープラ」ってどんなクルマ?【初心者向け】

2018年3月にスイスで開催されたジュネーブ国際モーターショーに、トヨタからレーシング・カスタムのコンセプトカー「GR Supra Racing Concept」が発表されました。久しぶりの「スープラ」を名乗るクルマの登場は、大きな話題に。そこで、「スープラ」とは、どんなクルマだったのかを振り返ってみたいと思います。

「スープラ」のルーツは「セリカXX」にある

日本で「スープラ」が最初にデビューしたのは1986年2月のこと。ボンネットは長く、ボディの後ろ側は短くまとめられたロングノーズ&ショートデッキという、古典的なスポーツカーのスタイル。ボンネットの下には強力な直列6気筒エンジンなどを搭載し、後輪を駆動します。最終的には、当時の日本の自主規制であった最高出力280馬力のエンジンを積むグレードも登場し、トヨタの最強スポーツカーとして人気を集めます。このモデルは、型式がA70であったため、後に「70(ナナマル)スープラ」と呼ばれるようになります。

1986年に日本で発売が始まった「スープラ」。A70型なので「70(ナナマル)スープラ」とも呼ばれる。
1986年に日本で発売が始まった「スープラ」。A70型なので「70(ナナマル)スープラ」とも呼ばれる。

ただし、このモデルは、日本では初代ですが、世界的には3代目となります。どういうことかと言えば、海外では、すでに「スープラ」の名前が使われていたのです。それが日本名でいう「セリカXX」。同じクルマを日本では「セリカXX」、アメリカでは「スープラ」と呼んでいたのです。そして3代目から、世界統一で「スープラ」の名称が使われるようになりました。

1978年に誕生した初代の「セリカXX」。アメリカでは「スープラ」の名前で販売されていた。
1978年に誕生した初代の「セリカXX」。アメリカでは「スープラ」の名前で販売されていた。

ちなみに「セリカ」は、1970年に初代が誕生し、2000年代まで続いた大人気モデルです。熱血スポーツカーというよりも、デートに使うような、おしゃれなイメージがありました。そんな本家「セリカ」に対して、より本格的スポーツで、より高級なモデルとして1978年に生まれたのが「セリカXX」です。ただし、アメリカで「XX」や「XXX」は、ポルノ映画や成人指定などに使う表記。そこで別の名称として「スープラ」が用意されたのです。「スープラ」という名称は、ラテン語で「超えて」「上に」という意味からきています。そこには「セリカ」を超える存在を示したいという気持ちがあったのかもしれませんね。

日本では「セリカXX」、アメリカでは「スープラ」で発売された第2世代モデル。
日本では「セリカXX」、アメリカでは「スープラ」で発売された第2世代モデル。

本格スポーツとしてトヨタのイメージを牽引

日本やアメリカで人気を集めた「スープラ」は、1993年に最終モデルが登場します。通称「80(ハチマル)スープラ」です。型式がA80だったのが、通称の理由です。ちなみに、2018年3月に発表された「GR Supra Racing Concept」には、「90」のゼッケンがつけられています。これは、「80(ハチマル)スープラ」へのオマージュだと、開発責任者は説明していました。「80(ハチマル)スープラ」は、歴代モデルから続く、ロングノーズ&ショートデッキに直列6気筒エンジン、後輪駆動という伝統が継承されていました。

「80(ハチマル)スープラ」が登場したのはバブルと呼ばれた好景気時代の末期です。市場には、ホンダの「NSX」や日産の「スカイラインGT-R」「フェアレディZ」、マツダ「RX-7」、三菱「GTO」などの本格スポーツカーがライバルとして待ち構えます。その中で「80(ハチマル)スープラ」は、トヨタを代表するスポーツカーとして強い存在感を発揮。レースシーンでも、トヨタのフラッグシップスポーツとして活躍します。しかし、2002年に惜しまれつつ生産を終了。「スープラ」の歴史に一旦幕がおろされることになりました。

最終型として2002年まで生産された「80(ハチマル)スープラ」。
最終型として2002年まで生産された「80(ハチマル)スープラ」。

2018年「スープラ」を名乗るコンセプトカーが登場

ルーツとなる「セリカXX」が1978年に誕生してから、すでに40年という月日が流れています。そんな長い歴史を持ったスポーツカーが復活する。だからこそ、「GR Supra Racing Concept」の登場は、世間で大きな話題となったのでしょう。

(文:鈴木ケンイチ 写真:鈴木ケンイチ・トヨタ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]