【オートパーラー上尾】自動販売機のうどんやトーストに「昭和のドライブ」を感じる

コンビニが全国拡大する以前、長距離ドライブの強い味方だったのが「オートレストラン」です。オートレストランは、うどんやそば、トーストなどが買える自動販売機が並び、その場で食べられる無人のサービスエリアともいえる施設。映画『トラック野郎』では、菅原文太演じる星桃次郎と愛川欽也演じる松下金造が、自動販売機のそばやうどんを食べるシーンもありました。

すっかり目にする機会も減ったオートレストラン。でも最近、食品自販機ブームが起こったことで再び注目されているのだそうです。一体、オートレストランの魅力はどこにあるのでしょうか? 現在も関東で人気のオートレストランである、埼玉県上尾市の「オートパーラー上尾」を訪ねてみました。

お店の手作りで提供するそば・うどん自販機

国道17号線沿いにある同店は、もっとも首都圏に近いオートレストランです。店内は、食事用自販機とゲーム筐体が置いてある1980年代のスタンダードともいえるもの。注目は、やはりなんといってもそば・うどんの自販機です。店主さんに話を聞くと、なんと30年以上も前から使っている年代ものなのだとか。そば・うどんは、お店の手作り。朝に10食ほど作り、お昼時や夕方、場合によっては夜間にも補充しているそうです。

「古くなったものを売るわけにはいきませんからね。少しずつ作って新しいものを出しています」と店主さん。どうやって温かい麺類を提供しているかについて聞くと、「麺にお湯を入れると、中で回転する装置があって、それが湯切りをしているんですよ」とのことでした。

この自動販売機で「天ぷらそば」を購入して食べてみました。調理中のカウントを表示する「ニキシー管」も昭和な雰囲気。実際に食べてみると、生麺で味もしっかりして予想以上においしかったです。天ぷらのほかにウズラの卵も入っていて、ちょっと得した気分。これで250円ならお得ですね。

オートレストランの定番、トーストの自動販売機もあった

うどん・そばと同じく、オートレストランの定番とも言える自動販売機が、トーストです。オートパーラー上尾では、トーストの自販機も現役で稼働中。購入すると、中のヒーターで温める仕組みになっています。同店では、トーストも手作りなのだそう、店主さんは「昔は業者が補充していたこともあったけど、今はうちもふくめて今は全部自前です」と話します。

トーストはハムチーズとコンビーフがあり、軽食にちょうどよさそう。過熱が終わるとアルミホイルにつつまれた状態で出てきます。昔は専用のアルミホイルがあったそうですが、今は自前のものを使っているとか。ハムチーズをいただくと、懐かしさを感じる味がしました。こちらもおいしい!

ほかに注目したいのは、飲み物の自販機。なんとビンのコーラやファンタが置いてあるんです。ビンでコーラを飲むと、缶よりもおいしいと感じた経験ありませんか? それ、実は気のせいではないかもしれません。ワインなどと同じで、ビンの方が缶やペットボトルよりも飲料の鮮度が落ちないと言われています。

今はなかなかみかけなくなったゲーム筐体も充実

ゲーム筐体では、大型のアミューズメント施設で見かける最新のマージャン筐体などもありましたが、レトロな筐体もかなり充実していました。オススメは、高難度アクションゲームとして家庭用版でも多くの子どもを泣かしてきた「魔界村」。最近ではほとんど目にする機会もなくなった、かなり珍しい筐体です。

この作品は、家庭用版よりもアーケード版の方がマイルドに調整されているという話ですが、久しぶりにやってみるとやっぱり難しい……。取材中、プレイ慣れしている常連さんがやってきたので攻略のヒントを聞いてみたところ、「まずは、ジャンプの着地位置を理解すること。武器は初心者の場合、短剣以外はとっちゃダメですね」とのことでした。

オートパーラー上尾は、中山道に面してアクセスも良好。もちろん、駐車場も広いので安心です。この雰囲気を味わいにくる人も多いという、現代に残るオートレストラン。みなさんもここで、昭和を感じてみませんか?

▼オートパーラー上尾
住所:埼玉県上尾市久保70−2
営業時間:24時間営業

(取材・文・写真:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road