新メニューも続々開発! オートレストラン向け食品製造の老舗「ミトミ」

かつてはドライブ中の休憩や食事には欠かせなかった、「オートレストラン」。1980年代ごろ、頻繁にクルマで移動していた人には、そばやうどん、トーストなどが販売される自動販売機の記憶が残っているのではないでしょうか?

最近はコンビニなどが増え、すっかり目にする機会も減りましたが、実はここ最近、この食品自動販売機が注目されており、ちょっとしたブームになっています。そこで、この自販機食品ブームの仕掛け人とも言える群馬県伊勢崎市の企業、株式会社ミトミの都丸佳津行さんにお話を聞きました。

なぜ、群馬県にはオートレストランや食品自販機が多く現存しているのか?

ミトミは、約30年前にオートレストラン向け食品自販機用の食品製造を開始。現在でも「オレンジハット」や「ピットイン77」といった、県内のオートレストラン向けに食品を製造しています。群馬県はもともとクルマの所有率が高かったこともあり、オートレストランの営業には絶好の土地だったそう。

写真:自販機食堂
写真:自販機食堂

「コンビニができる前、人員も手間も最小限で24時間営業ができる業態として、街道沿いの土地の所有者など声をかけたそうです」と都丸さん。これこそ、今でも群馬県にオートレストランが多い理由。当時の自販機フランチャイズ企業の努力が、群馬県にオートレストランを根付かせたんですね。最近は県内でも減っていきているそうですが、食品自販機ブームが追い風となっており、「他県に比べると現存数は多い」と言います。

自社店舗である自販機食堂を活用して新メニューを開発!

以来、長年にわたってオートレストランに食品を供給してきたミトミ。現在は供給するだけではなく、2014年に食品自販機専門の食堂、その名も「自販機食堂」を開業し、自販機グルメを提供しています。

自販機食堂では、そば・うどん、トースト、ハンバーガーと、オートレストランの代表的な自販機を揃えていますが、驚くのはメニューの独自性です。トーストの販売機では「こしあん&チーズ」というものがあり、「あんこの甘さとチーズのしょっぱさの『しょっぱ甘い』バランスが評判です」とのこと。また、そば・うどんの自販機では、なんとラーメンを扱っていました。都丸さんの話によると、全国にみると、扱っている店舗は結構あるそうですが、個人的には珍しいメニューだと思います。

ハンバーガーの自販機をよく見ると「タルタルミート」や「メキシカン」といった珍しいメニューが。実は、自販機食堂を設立した理由には、こういった新メニューを試験的にお客さんに食べてもらって感想を聞こうという狙いもあるそう。「まずは自社の店舗で食べてもらって、評判がいいものをオートレストラン各店にご提案しています」と都丸さんは話します。

積極的にこういった新メニューを作る背景には、Twitterでの反響があったそう。「以前、前橋育英高校が甲子園で優勝したのに便乗して、スクールカラーの黄色にちなんでチーズ超たっぷりバーガーを作り、Twitterで告知しました。すると反響が大きく、自販機マニアが数多くいることの認識とTwitterの拡散力をまじまじと感じました。そこで、自販機食堂で新メニューを試験販売することにしたんです」。

Twitterなど、インターネットで情報発信していることもあり、こういった新メニューを食べに訪れるお客さんは県内からだけにとどまりません。県外からくる人も多く、なんと海外からのお客さんもきたのだとか。ちなみに、群馬といえば漫画『頭文字D』の舞台。『藤原とうふ』と書かれたAE86愛好者たちが訪れたこともあるそうです。

みそラーメンや塩ラーメンなどの新メニューも計画中!

最後に、いま企画しているメニューについて都丸さんに聞いてみると、「そばの自動販売機で、みそラーメンや塩ラーメンもやってみたいですね」と明かしてくれました。自販機食堂のある伊勢崎市は、群馬県と埼玉県の県境にあります。赤城山などを観光するときにアクセスしやすい立地です。「目的地に向かう前の休憩や、帰りに気軽によっていただければうれしいですね」と都丸さん。オートレストラン向け食品の老舗は、自販機グルメの先端を行く企業でもありました。群馬県の新観光スポットとして、ぜひ注目してみてください!

▼自販機食堂
住所:群馬県伊勢崎市富塚町293-3 1F
営業時間:10:30~24:00ごろ 金曜日のみ22:00閉店
Webサイト:http://jihankisyokudou.business.site/
Twitter:https://twitter.com/jihanki_lunch

(取材・文・写真:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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