ラリー知識ゼロでも楽しめる胸アツ映画!『OVER DRIVE』をレビュー

クルマを題材とした映画といえば、『ワイルド・スピード』や『TAXi』を始めとした洋画作品を思い浮かべる人も多いかもしれません。でも、日本映画だって負けてはいません。6月1日公開の『OVER DRIVE』を観て、「邦画だってすごいんだ!」ということをありありと感じました。

本作は『海猿』『MOZU』『暗殺教室』などで知られる羽住英一郎監督がメガホンを取ったオリジナル作品で、昨年、18年ぶりにWRC(世界ラリー選手権)への参戦復帰を果したトヨタ自動車が特別協賛。活躍が目覚ましい東出昌大さんが主演、その弟役を新田真剣佑さんが務め、モータースポーツ初心者でも楽しめるエンターテインメント作品となっています。

メカニックの兄とドライバーの弟がラリーに臨む

本作の舞台は、「SCRS(SEIKOカップラリーシリーズ)」という架空の国内ラリーのトップカテゴリー。主人公の兄・檜山篤洋(東出昌大)がチーフメカニック、弟の檜山直純(新田真剣佑)が天才ドライバーとしてスピカレーシングファクトリーに所属し、SCRSの優勝を目指すというストーリーです。

兄弟で息ピッタリなのかと思いきや、弟は兄の指示を無視して勝ち気でリスキーな走りで勝負に挑み、たびたび衝突を繰り返します。直純の暴走を誰も止められず、だんだんとチーム全体の空気が悪くなる中、直純の新たなマネジメント担当者として、ラリー知識ゼロの遠藤ひかる(森川葵)が配属。

最初はひかるも「やりたい仕事のためのつなぎ」と気が入っていなかったものの、ラリーで勝ちたいチームの想いや、兄弟が抱える“確執”に触れ、心を入れ替え始めていきます。そしてシーズン最終戦を迎えたチームは、優勝へ向けて大きな試練に立ち向かう……。

本作を鑑賞しての最初の感想は、「なんじゃこりゃ!」でした。もちろん、いい意味で。正直、「クルマの日本映画」と聞いたとき、いろいろな制約があるだろうと想像してしまい、「ちゃんと作られていないのでは?」と思ったのです。そんな思いは杞憂だったようで、全編を通して白熱のラリーシーンがこれでもかと画面から迫ってきました。

メカニックの立場から見るラリーの世界

白熱の走行シーンとあわせて目を惹くのが、東出昌大演じる「チーフメカニック」という立場からのラリーの世界です。

真面目で職人気質な兄の篤洋は、常に適切な指示を出しながら整備にあたり、そして新パーツの開発にも余念がありません。しかし、どんなにマシンをセッティングしても、ステアリングを握るのはドライバーである弟・直純。彼と噛み合わないとマシンを仕上げても上手くいかないため、篤洋を通して見える人と人、夢と悩みの間に立ちながら進む姿には、ヒリついた勝負の世界に身をおく弟よりも、感情移入してしまう人が多いかもしれません。

「ラリーって何?」な人も楽しめる!

本作はラリー知識のない人からすると敷居が高そうな気もしますが、そういった点にもきちんと配慮されていたのがありがたい部分です。マネジメント担当のひかるは、ラリーの「ラの字」も知らない素人。彼女の目線から物語が展開されるとき、「ラリーとは何か?」「ラリーのレギュレーションにはどんなものがあるのか?」が、自然と入ってくるような解説がなされるので、ラリー初心者が鑑賞しても楽しめる作りになっています。

映画の中では、SCRSの舞台としてさまざまな場所が登場し、白熱したラリーが行われます。個人的には、お台場での大会が知っている場所でもあり思い入れが深いのですが、大会ごとに裏側で展開される人間関係や状況に変化があって、兄弟の絆やチームの力と合わせて楽しむことができます。GAZOOをご覧の方なら、きっと楽しめる内容なので、ぜひ劇場に足を運んでみてくださいね!

▼OVER DRIVE
公開日:6月1日(金)より全国東宝系でロードショー
キャスト:東出昌大、新田真剣佑、森川 葵、北村匠海、町田啓太、要 潤、吉田鋼太郎ほか
脚本:桑村さや香
音楽:佐藤直紀
主題歌:WANIMA「Drive」
Webサイト:http://overdrive-movie.jp/
©2018「OVER DRIVE」製作委員会

また、本作公開にあわせて、東出昌大さんや新田真剣佑さんのスペシャル対談などが楽しめる、OVER DRIVEとTOYOTA GAZOO Racingとのコラボコンテンツも配信がスタートしています。こちらもどうぞご覧ください。

TOYOTA GAZOO Racingスペシャルサイト
https://toyotagazooracing.com/jp/overdrive/

(取材・文:おおしまりえ 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]