自動車部品製造の技術を応用した新しいカクテル・テーブルウェアブランド「BIRDY.」。その技術と誕生の背景とは

クルマを構成するパーツの多くは、自動車メーカーだけではなくサプライヤーと呼ばれるパーツメーカーが製造し供給しています。サプライヤーはその分野に特化した高い技術を持っているため、自動車メーカーなどに納入する部品のほかに、技術を応用したオリジナルの製品を作ることも。上の写真のデキャンタは、エキゾーストマニホールドやマフラーの素材に用いられるステンレス合金を応用して作られたものです。

自動車部品だけではやっていけない時代がくる

愛知県豊田市にある「横山興業株式会社」は、自動車産業にはなくてはならない金属部品を半世紀以上にわたって製造しています。その金属加工や研磨の技術を活かし、2013年にバーテンダー向けのカクテルツールを中心としたブランドとして、「BIRDY .(バーディー)」を立ち上げました。2016年には家庭でも使えるテーブルウェアのラインに幅を広げ、「BIRDY. TABLE」をリリース。この「BIRDY.」のブランドとしての魅力や製品開発のきっかけや、製品の魅力をブランドマネージャーの横山哲也さんに聞きました。

同製品が生まれた背景には、CASE(ケース)と呼ばれるEV(電気自動車)や自動運転技術などの登場を始めとした、自動車産業を一変させると言われる大きな変化があります。2011年半ばに、自身の父親や兄が経営していた同社にUターン就職した横山さんは、日々自動車業界が激変していくニュースに触れるうち「自動車部品だけではやっていけない時代がきっとくる。既存事業だけでなく独自の製品で市場を開拓し“残れる企業”を目指したい」と思うようになったそう。では、なぜカクテルシェーカーやタンブラーといったバー用品に着目したのでしょうか?

「あるとき、ふと『カクテルシェーカーの内側表面をミクロレベルで精密に磨いたら、お酒や果汁のポテンシャルが損なわれなくなるのでは?』と思ったんです。実際に内部を研磨してカクテルを作ってみたところ、非常に味がまろやかなったので製品化に向けた開発を始めました」(横山さん)

世界的に見てもカクテル用品をメインに展開しているブランドは数えるほどしかなく、「国内だけにこだわらず、海外展開もすれば大きな市場になるのではないか?」と考えたことも、製品化を決意した理由のひとつだそうです。

クルマ部品加工の経験があるからのこその技術の高さで勝負

BIRDY.で注目すべきは、もちろん金属の研磨技術の高さです。お酒の味は、器の材質や形によって変わることが知られていますが、研磨の仕方でも味が変わると気づいたのはBIRDY.が初めてだそう。BIRDY.では、いままでの常識にとらわれず、あえて目に見えない細かい凹凸を出す製造を採用していると言います。

「BIRDY.のタンブラーには、内部が光っているものと意図的にツヤ消しをしているものがあります。光沢のあるタンブラーは内部を精密に研磨し、表面の凸凹を極限まで減らすことで、炭酸飲料の泡立ちが良くなるように工夫したもの。反対に、ツヤ消しのようになっている方は、内部を横方向に研磨し、飲み物をかくはんしたときに、より混ざりやすくしたものです」(横山さん)

左がツヤのある「BT440 ブレンディング タンブラー」。右がツヤ消しの「ST440 スパークリング タンブラー」
左がツヤのある「BT440 ブレンディング タンブラー」。右がツヤ消しの「ST440 スパークリング タンブラー」

その特性から、ツヤのあるものはビールやハイボールを注ぐのに、ツヤ消しの方は、ウイスキーや焼酎の水割りに適しているとか。もちろんタンブラーだけでなく、カクテルシェーカーやデキャンタにも、同様の高度な技術が使われています。

積極的にセミナーや展示会を開催し評価を得る

自動車部品製造で培ってきた技術の応用で、高品質の商品を開発することに成功した横山興業。しかし、研磨の最終工程で工業用ダイアモンドペーストを使用するなど、精度を求めるがゆえに製造コストが高く、一般的なステンレスやガラス製の製品よりも高価なため、当初は期待していたほど販売が伸びなかったのだそう。そこで、横山さんたちは、バーテンダーやソムリエ向けにセミナーを開くとともに、展示会などで積極的にアピールする戦略を採りました。

プロからの評価も高い「DC700 デキャンタ」(写真中央)
プロからの評価も高い「DC700 デキャンタ」(写真中央)

「やはり、体験していただくことが一番。地道にPR活動をしてきたことで、プロの方の支持が得られるようになりました。現在では、有名バーテンダーやソムリエの方にも愛用いただき、『シェイクするときのストレスが少ない』『口当たりがよくなる』と評価をいただいています。展示会に出展していることもあって、おかげさまで一般のお客様も増えてきました」(横山さん)

タンブラーは8,640円(税込)から、デキャンタは18,144円(税込)からと、価格は高めかもしれませんが、自動車部品で培ってきた技術に裏打ちされた品質の高さは、プロも認めるもの。実際に手にすれば、きっと日々の生活を豊かに彩ってくれることでしょう。最近ではほかの企業と協力してグラスタオルやキッチンタオルなど、金属以外のキッチンツールも開発・プロデユースしているそうです。どこかで「BIRDY.」の名を目にしたら、ぜひ手にとってその品質を確かめてみてくださいね。

▼横山興業株式会社
住所:愛知県豊田市大見町1丁目61番地
電話:0565-58-5558
Web:http://yokoyama-co.com/

▼BIRDY. 公式オンラインショップ
http://birdy.shop/

(取材・文:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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