【スーパーフォーミュラ】より熱いバトルが見られる? 2019年からの新型マシン「SF19」が発表に!

2019年からの新型マシン「SF19」が発表に!

F1に次ぐ速さを持つ「全日本スーパーフォーミュラ選手権」は、日本で行われているフォーミュラカーレースの最高峰で、SUPER GTのスタードライバーも多く参戦している、人気のカテゴリーです。

現在のマシンは、2014年シーズンからイタリア・ダラーラ社が設計した「ダラーラ・SF14」に、トヨタまたはホンダのNRE(Nippon Race Engine、SUPER GTのGT500向けにも供給されている)の2.0L直列4気筒ターボエンジンを搭載。さらに、レース中の追い抜きを容易にする「オーバーテイクシステム」が組み込まれており、1回につき20秒間、パワーアップが図れます。

スーパーフォーミュラ現行車両:ダラーラ・SF14(撮影:栗原祥光)
スーパーフォーミュラ現行車両:ダラーラ・SF14(撮影:栗原祥光)

F1マシンをしのぐ速さを見せるSF14ですが、2014年のデビューからすでに4年目。技術の進化にともなって年々その速さは増しているものの、安全性の確保が急務となりました。

そこで、スーパーフォーミュラを運営するJRP(日本レースプロモーション)とダラーラ社は、2019年シーズンから採用するニューマシン「SF19」を発表。7月4日(水)、富士スピードウェイにてメディア向けの発表会と、日本で最初のシェイクダウンテストを行いました。

この日お披露目され、シェイクダウン走行が行われたSF19
この日お披露目され、シェイクダウン走行が行われたSF19

オーバーテイクの増加でさらに激しいバトルが見られるかも?

新しい「SF19」は、これまでの「SF14」のコンセプトである「Quick&light」を継続・進化させると同時に、安全性を向上。スーパーフォーミュラの魅力である“抜きつ抜かれつのバトル”をより際立たせるため、空力コンポーネントの見直しも図られています。

マシンの各部は、F1マシンのトレンドを応用したものに仕上がっている。空力の最適化と各コンポーネントの冷却にも効果的な設計になっている模様
マシンの各部は、F1マシンのトレンドを応用したものに仕上がっている。空力の最適化と各コンポーネントの冷却にも効果的な設計になっている模様

発表会には、JRPの倉下明社長とダラーラ社でSF19のプロジェクトリーダーを務めるファビオ・グリッパ氏が登場。ニューマシンの開発エピソードを話してくれました。

倉下氏:2年前にダラーラ社を訪問して関係者と昼食をご一緒したとき、ダラーラの関係者が「観客動員数が、レース中のオーバーテイク回数に比例していることを知っているか?」と聞いてきました。さらに「オーバーテイクとラップタイムと最高速度では、どれが一番大事なんだ?」と。そこで私は「追い抜き、ラップタイム、最高速度の順でお願いします」と答えました。

ファビオ・グリッパ氏:ダラーラが日本のレースで活躍できるのはとても光栄です。日本は弊社にとって非常に重要なマーケット。SF19をデザインするにあたっては、「ピュアレース」という日本のレースらしさを表現する、アグレッシブなデザインを重視しました。「オーバーテイクの増加」については「前方マシンに追いついたときの、安定したダウンフォースの確保を重要項目としました。マシン底部からダウンフォースを得ることで、後方に追いついたときのマシンバランスの変化を抑え、ドライバーに不安感を与えない設計としています。

リアウイングにはLEDライトを新たに追加し、レインレースでの安全性とカッコよさをアピール
リアウイングにはLEDライトを新たに追加し、レインレースでの安全性とカッコよさをアピール

「2016年FIA安全基準に従ったマシン製作」については、「SF19はHALOを設置できる設計で開発されており、すでにFIAのホモロゲーション(認証)ではHALOあり/なしの両方で取得している」とのこと。シーズン後半にスタートするメーカーテストにて、ドライバーの意見を聞いた上で導入を判断するようです。それ以外の変更点は、ワンメイクタイヤで供給されるヨコハマタイヤのサイズが拡大されたこと。ヨコハマタイヤは「パフォーマンス向上によるオーバーテイクの機会増加を狙ったもの」と説明しています。

そのほかの新技術として、車両情報やドライバーの心拍数などをリアルタイム表示する「スカウター」風ヘッドアップディスプレイ(ヘルメット正面の四角い物体)もテストされた(写真:池田正行)
そのほかの新技術として、車両情報やドライバーの心拍数などをリアルタイム表示する「スカウター」風ヘッドアップディスプレイ(ヘルメット正面の四角い物体)もテストされた(写真:池田正行)

セットアップが決まれば富士100Rは全開で行けるかも!?

テスト走行後には、今回ドライバーを担当した「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」の野尻智紀選手が取材に応じ、ニューマシンの手応えを伝えてくれました。

「速くなればドライバーの負担も増えるけど、速いほうが楽しいよね」とテストを楽しんでいる様子がインタビューから感じられた
「速くなればドライバーの負担も増えるけど、速いほうが楽しいよね」とテストを楽しんでいる様子がインタビューから感じられた

野尻選手:強大なダウンフォースがあることがSF19の特徴です。ただし、そのダウンフォースの使い方やセッティングが難しく、エンジニアとチームにとってチャレンジしがいのあるマシンだと言えます。セットアップが完璧に決まれば、ものすごい速さを引き出せるかもしれません。

HALOについては、サーキット側の対応(フラッグの提示方法の変更、旗ではなく電光板での提示など)ができればさして気にはならないと野尻選手
HALOについては、サーキット側の対応(フラッグの提示方法の変更、旗ではなく電光板での提示など)ができればさして気にはならないと野尻選手

冗談まじりに「富士の100Rも全開で行けそうだ」と話すほど、野尻選手はSF19のポテンシャルの高さを感じているそう。今回、走行したのはホンダ製エンジンを搭載した車両のみでしたが、シーズン後半にかけてトヨタエンジン搭載マシンのテストもスタートします。来年のスーパーフォーミュラは、今年以上に見どころ満載かもしれませんね!

(取材・文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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