ヘリテージカーを手に入れるチャンス!? 「オートモビルカウンシル 2018」~オークション編~
クルマの「遺産」を間近で見て、触れ、そして自分の愛車として手に入れられる「AUTOMOBILE COUNCIL(オートモビル カウンシル)」。最終日には、スペシャルコンテンツとして「ACビッターズ」というカーオークションが開催されました。このオークションは、出展ショップが選りすぐりの1台を出品し、落札希望者の中で最高価格を提示した人が、購入権利を獲得するシステムです。
カーオークションは、海外では比較ポピュラーですが、実は日本では今年1月に「東京オートサロン」内で行われた「BHオークション」が初めてで、まだまだ馴染みの浅いもの。今回の「ACビッターズ」は、オープンな形で行うことで、楽しみながら愛車を手に入れられるチャンスを多くの人に知ってもらう目的もあるそうで、5台の名車が出品されました。
どれもほしくなる? 出品された5台のヘリテージカー
■1968年製 アルファロメオ ジュリア1300TI(出品:ワールドビンテージカーズ)
アルファロメオ ジュリア1300TIは、イタリアンヘリテージカーを代表するコンパクトスポーツサルーン。「醜いジュリア」と呼ばれることもありますが、今もファンの多いクルマです。
この個体は、前オーナーがフルレストアを行ったのち、大切に保管されていたもの。アルファロメオというと「赤」をイメージする人が多いかもしれませんが、ベージュのボディと暖かみのあるキャメルカラーの内装は生活感のある色合いで、当時の雰囲気を感じさせてくれます。
- このクルマは、事前の聞き込みの中で、もっとも人気が高かった
出品した「ワールドビンテージカーズ」は、広島県広島市にある専門ショップで、1960~1970年代のイタリア車・フランス車を中心にしたヘリテージカーの販売をしています。
■1989年製 フェラーリ 328 GTB(出品:オート・スペチアーレ)
1985~1989年に生産されたフェラーリで、「スモールフェラーリ」として人気を得ていたクルマです。コンパクトかつ1300kgを切る軽量な車体と、270馬力を発生する3.2L V8エンジンはとても軽快で、当時のF1フェラーリチームのドライバーが、移動用のクルマとしてフラッグシップモデルの「テスタロッサ」ではなく、この328を選択したといいます。328のエンジンはトラブルが少なく、所有がしやすいということで価値が上がっているようです。
- フェラーリとしては地味な感じであるが、それこそが運転を楽しむ「スポーツカー」かもしれない
出品は、静岡県清水区の「オート・スペチアーレ」。フェラーリ正規ディーラーで、この個体もフェラーリ・アプルーブドカー(認定中古車)なのだそうです。
■1980年製 ダイムラー リムジンDS420(出品:ガレージイガラシ)
イギリス最古の自動車メーカー「ダイムラー」が、1968年から1992年の34年間にわたって生産したモデルです。乗る人の「余裕」を感じさせる柔らかなボディデザイン、広々とした後部座席、格調高いインテリアの装飾などを見ていると、当時の英国王室皇太后や政府高官の移動車として採用された理由も頷けます。映画『007』の劇中で、主人公ボンドの上司「M」もこのダイムラー リムジンに乗っていました。
- 後部座席の前にある小さな座席は秘書官や「お付」の方が座る場所?らしい。
出品された個体は、内装のウッドパネルや運転席はキレイにリペアされていました。パワートレインは、ジャガーの4.2L 直列6気筒エンジンと3速ATの組み合わせ。家族を乗せて優雅にドライブ……なんてのもいいかもしれませんね。出品者、埼玉県さいたま市の「ガレージイガラシ」は、ロールスロイス、ベントレー、アストンマーチン、フェラーリのメンテナンスや販売に長けたショップです。
■1988年製 メルセデス・ベンツ 560SEL(出品:はらモータース)
長いボディ、落ち着いたデザインなのにどこか迫力のあるフロントマスク。これぞ「ベンツ」と思わせる560SELは、1979~1991年に生産された2代目「Sクラス」の上級グレード。当時の最新装備として「エアバッグ」、「トラクションコントロールシステム」、「ABS」、車高を一定に保つ「セルフレベリングサスペンション」などが装備されています。当時の新車価格は約1400万円で、経営者や富裕層に好まれました。まさに「成功の証」ともいえるクルマです。
- 右向きのパワーウィンドウスイッチはオークションでもなかなかお目にかかれない希少品!
当時のメルセデス・ベンツは、今以上に細かく作り込まれている部分もあり、たとえば車内のパワーウィンドウスイッチの絵は、左右のドアの形がきちんと描き分けられています(現在は左向きのみ)。この車両もそのパーツはキレイな状態でした。出品したのは、東京都江東区の「はらモータース」。最新のスーパーカーから往年のヘリテージカーまで幅広く扱うショップです。
■1970年製 アルファロメオ 1300スパイダー・ジュニア(出品:ガレーヂ伊太利屋)
ヘリテージカーの中でも、トップ10に入るであろう人気の高い「1300スパイダー・ジュニア」。1.3Lのツインキャブ直列4気筒エンジンと、1トンを切る車体は非常に気持ちのいい走りをすると聞きます。ヒストリックカーラリーにもよく登場するクルマです。
- シンプルで可愛らしいスパイダーは女性にも人気が高い
当該車両は、ダメージが出やすい革シートや純正ウッドステアリングもピカピカ。小さなCDプレイヤーがインストールされており、当時の音楽を流してゆったりと海沿いをドライブするのが似合いそう。イタリアのASI(Automotoclub Storico Italiano)というヒストリックカーの認定などを行う団体の認定を取得している、折り紙付きの車両でした。
出品した東京都江東区の「ガレーヂ伊太利屋」は、「イタリア車ならまずはここ!」というぐらいに有名なショップ。「ガレーヂ伊太利屋クラシケ」というレストアや、ヘリテージカーの紹介・購入といった事業も行っているスペシャリストです。
ゆる~い感じで行われたACビッターズの結果は?
専門ショップと「マルシェコーナー」に注目!
ここからはオークション以外の専門ショップブースや、雑貨などが販売される「マルシェコーナー」の様子をお伝えしましょう。
- 「シルバースター」が出品したレストア中の1957年製メルセデス・ベンツ300SL。お値段は2億円! 「次回までに完成車をお披露目したい」とのこと
オークション以外のブースは、終日賑やかでした。一般公開が短い初日でさえ「売約済」の札がつけられたクルマが多く、オートモビル カウンシルへの注目度が伺えます。オークションが行われた最終日に各ブースを改めて歩いてみると、初日はなかったクルマも展示販売されていました。
- 「ゴーランドカンパニー」の初日(上)と最終日(下)。ナローポルシェが売れたのでロータスエスプリSEが展示されていた
会期中の会場をいつ訪れてもある「予想外の出会い」は、オートモビル カウンシルの魅力のひとつでしょう。専門ショップのお店に行くのはちょっとハードルが高いものですが、この会場なら気軽に話を聞けるので、「ヘリテージカーに乗ってみたいけど不安も多い」という人にもおすすめです。
- フランスに出回った広告ポスターを修復し販売する「Atelier Affiches Anciennes(仏語でビンテージポスターワークショップの意)」。写真中央下のシトロエンの広告は非常に有名なイラスト
- 写真右下は、好きな文字をナンバープレートに打ち込むことができる商品!
メーカーブースを見て、オークションを見て、マルシェコーナーを見る。そして、そこで見たクルマや雑誌などを購入するチャンスがある。オートモビル カウンシルは、ヘリテージ(遺産)をリアルに体験できる、貴重なイベントです。第4回目となる次回は、どんなクルマが姿を見せてくれるのでしょうか。今から楽しみです。
(取材・文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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