激暑の「夏コミ」で見つけた激アツのクルマ同人誌【コミックマーケット94】

全国各地でさまざまなイベントが行われる夏のこの時期、ひときわ賑わいを見せるのが、夏のコミックマーケット、通称“夏コミ”です。“コミケ”の愛称で親しまれるこのイベントは、世界最大規模の同人誌の即売会。今年の夏コミ「コミックマーケット94(C94)」は、8月10日(金)~12日(日)の3日間で行われ、のべ53万人もの来場者が東京ビッグサイトに訪れました。

会場のビックサイト。3日間で53万人が訪れたという。
会場のビックサイト。3日間で53万人が訪れたという。

同人誌は、あるひとつの題材に自分の持てる知識と愛情を注ぎ込んで作った自費出版本のこと。前回、冬コミケの(コミックマーケット93)」でも「クルマ」を題材にした作品の数々を取り上げましたが、今回も前回に負けず劣らずの素晴らしい同人誌に出会えたので、ご紹介します。

これを読めばニュース映像がおもしろくなるかも?

1冊目は、「パトカー」を中心に警察車両をページにみっちり紹介した『パトカーファン』。「パトカー」といっても街中をパトロールしている車両ではなく、天皇皇后両陛下、総理大臣、合衆国大統領といった要人が移動するときの警護車両や、高速道路の取り締まりを行う覆面パトカー、そしてマラソンなどのイベントで警護を行う車両に注目したものです。

ニュース映像で見る機会はあっても、それぞれがどういった役割を担っているかは、あまり知られていないもの。この本で、そうした警護車両を詳しく、全ページカラーで解説しています。この本を片手に「警察24時」やニュース番組を見ると、違ったおもしろさがあるかも?

人気スクールアイドルグループと一緒にクルマに詳しくなれる!?

2冊目は、『AqoursCars(アクアカーズ)』という本です。コミカルなクルマのイラストが印象的な本ですが、『ラブライブ!サンシャイン!!』の作中に登場するスクールアイドルグループ「Aqours(アクア)」のメンバーが描かれていることに注目。メンバーのお気に入り(?)のクルマに乗り込んだイラストとともに、そのクルマが紹介されています。

この『AqoursCars』は、今回で9巻目(特集:マツダロータリーの軌跡)となる人気同人誌です。さらに第1巻~5巻(+おまけ)が1冊に集約された「総集編-Vol.1-」も販売されていました。自分の推しアイドルが乗っているクルマで愛車を決めるのもヨシ、自分の推しアイドルが乗っているクルマと今の愛車が同じでより愛着を湧かせるのもヨシな1冊です。

オシャレ度No.1!ミニカーだけが持つ魅力を白黒世界で表現

「小さな1台がアートに!? 日本の第一人者に聞く「ミニカー写真」の世界(https://gazoo.com/article/daily/180815.html)」でインタビューを受けていたミニカー写真家、Elpacho Pamyole(通称E.P.)さんの新しいミニカー写真集『Project ZAMAC』。本物よりはるかに小さいミニカーを被写体にして写真作品を作るのは、テクニックとセンスが要求されます。

前回の「コミックマーケット93」では、そういったミニカー撮影の指南本も販売されていました。今回の本は、「ミニカー独自の魅力」を引き出した作品を掲載したものですが、表紙がオシャレなのでインテリアとして飾ってもかっこよさそうです。

「富士24時間レース」の激闘を給油マン目線で振り返るレポート本

今年6月、富士スピードウェイで、50年ぶりとなる24時間レース「ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース」が開催されたのは、まだ記憶に新しいところ。この本は、そのレースに2台のマツダ製ディーゼルマシンをエントリーさせ、上位完走を果たした「TEAM NOPRO」のレポートです。作者は、同チームの給油マンでもある「ずらやん」氏。

レーシングチームのメンバー、しかもドライバーではなく給油マンというクルーの目線で語られるレースレポートは、ほかに類を見ないもの。Youtubeで公式配信されている24時間レース映像に映る「TEAM NOPRO」を追っていくと、より楽しめる1冊です。

見たことありそうで実は日本にはいない「台湾・台北市」のクルマ写真集

「コミックマーケット93」で、ロシアで「第2の人生(車生)」を歩む日本車を撮影した写真集『極東ロシア #異世界転生編』を発売したサークル「INPINE」が、今度は日本と交流が深い「台湾・台北市」へ。『台北じどうしゃ #隣の世界線編』は、台北市内を走るクルマたちをファインダーに収めた1冊です。

サブタイトルの「#隣の世界線編」は、自動車産業でも日本と台湾の交流が活発で、日本の自動車メーカーと台湾メーカーとの提携により誕生した独自のモデルも多く走っていることから、付けられたもの。台北旅行に行くときは、ガイドブックと一緒に持ち歩いてみたいですね。

併売されていた「よいこのじどうしゃ」の1場面。各場面の作者コメントは必見!
併売されていた「よいこのじどうしゃ」の1場面。各場面の作者コメントは必見!

親子で楽しめ? ややマニアックなクルマの絵本

「ネオ・クラシックカー」と呼ばれる1980年代のクルマをフィーチャーし、SNSやブログなどで紹介している「自動車美術研究室(通称:自美研)」が発行した『じどうしゃ100(いっぱい)』『じどうしゃがいっぱい』は、登場する車種から親子でも楽しめそうな同人誌。

『じどうしゃ100(いっぱい)』は、自美研選りすぐりの100台が、1980年代の絵本風タッチで紹介されています。ひらがなで構成されているので、子供と一緒に読む絵本としても最適です。

もうひとつの『じどうしゃがいっぱい』は、「1980年代」と「現代~近未来」の2種類があって、それぞれ同じ内容で登場するクルマが異なっています。

高速道路の芸術「ジャンクション」をテーマにした同人誌

『JUNCTION MANIACS』はその名の通り、高速道路の分岐(ジャンクション)を主題した同人誌です。今回で11冊目とのこと。最新刊では、現在でもニュース番組でたびたび話題にあがる「首都高日本橋地下化」について、当時の政府の検討会などの資料を元に対話形式でまとめられたレポートや、中国・上海と台湾のジャンクションの紹介がされています。

「首都高日本橋地下化」のレポートは、一見すると固そうなテーマですが、非常に読みやすくまとめられていて、興味がある方なら資料として所有する価値のある1冊となっています。

またもや“ニッチ”が集う「コミケ」で、より“ニッチ”なジャンルを紹介してみました。今回紹介した同人誌の一部は、同人誌専門店などで委託販売されている場合もありますので、気になる方はチェックしてみてくださいね!

(取材・文・写真:クリハラジュン、編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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