今年で29回目! メディア対抗ロードスター4時間耐久レースって何?
2018年9月1日(土)、茨城県下妻市にある筑波サーキットにて、マツダ「ロードスター」のワンメイクレースである、第29回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース(通称:4耐)が開催されました。筆者も参加してきたので、当日の様子を詳しく説明しましょう。
来年開催30回を迎える、歴史あるイベント
このイベントは、初代ロードスター(通称:NA型)が発売された1989年に初開催され、来年で30回を数える国内屈指の伝統レース。参加するのは自動車関連のメディアばかり。毎年、紙面やウェブサイトでは見られない(!?)、メディア同士の熱い戦いが繰り広げられています。
また、単純な速さだけでは勝てません。省燃費な運転テクニックなど規則によって制限された中でどう戦うか? といった知恵や、監督が立てた作戦通りにいかに自分の役割をこなすか、というメンタルも試されます。事前に行った緻密な計算に基づく作戦、その通りに遂行できたチームだけが勝利の美酒を味わえるのです(もちろんノンアルコールですけど)。
ただ、レースにはアクシデントがつきもの。その時々の状況の変化に応じて作戦を変更していかなければなりません。状況変化に即応する対応力も、同時に試されます。
悲喜こもごも! ピットで繰り広げられる監督とドライバーの連携プレイ
各チームにいる監督は、何か起こるたび、状況を分析して適切な指示をドライバーに出し続けます。少々燃料を多めに使っても攻める局面なのか? がまんして自分たちのペースを守る局面なのか? 指示を受けて、ドライバーも運転手法を変えていくのです。
ドライバーとのコミュニケーションは、昔ながらのピットからのサインボード、リアルタイム双方向音声通信を通して行われます。チームによっては車載映像も受信し、コースやレース状況もリアルタイムでチェックしながら指示を飛ばしているところも。終盤にさしかかるとあちこちのピットには怒号や悲鳴が轟いていました。
- クルマの調子、路面コンディションなどの情報が次のドライバーへ伝えられる
そういうシーンを見るのも、このレースの楽しみ。だからこそ、スタンドではなくパドック側であちこち散歩しながら観戦することをおすすめします。4時間耐久レースというと、観ている方は飽きるんじゃないかと思うかもしれませんが、各チームのピットを覗きながらだと意外とあっという間に過ぎますよ。
どんなクルマで走るの? 気になる車両をチェック!
使用される車両は、NDロードスター。内張りが剥がされ、レース専用装備が装着されるものの、エンジンやトランスミッション、排気系は純正品で無改造。主なレース専用装備と主な規則は次の通りです。
主な専用装備:
- マツダ製専用ロールケージ
- ビルシュタイン製車高調整機構付きダンパー
- ブリヂストン製タイヤPOTENZA Adrenalin RE003 (195/50R16)
- エンドレス製専用ブレーキパッド
- ブリッド製フルバケットシート(助手席レス)
- CUSCOレーシングハーネス6points FHR(HANS専用)
主なレース規則:
- ドライバーは4~5名
ドライバー交代時間として1回に1分間以上の停止義務
過去10年以内に主要レースで入賞経験がある助っ人は1名まで
スタートドライバーは、編集長およびそれに準ずる人物が務める - 1人のドライバーの連続運転時間は50分、合計時間は96分まで
但し、助っ人の連続運転時間および合計運転時間は40分まで - 総ガソリン給油量は60リットルまで
スタート時の満タン40リットルを含む - レース中の給油は1回のみ20リットルまで
給油時間として3分間の停止義務
規定回数以上の給油が必要な場合はペナルティが課せられる - 競技車両は完全にワンメイク
一切の改造が禁止され、アライメント調整も不可
- 緊張の給油は給油口、ガソリン缶、消化器の3人体制で行う
ドライバーは、そのメディアの編集部員及び、メディアにゆかりのある人物が務めています。
気になるレース結果は!?
総勢27チームが出走した4耐の結果はどうだったのでしょうか? 例年通りなら、チェッカー30分くらい前になると、燃費の問題でスローダウンするチーム、燃料がもつと判断してラストスパートをかけるチーム、あと数周のところでガス欠でストップするチームなどが発生。ピットの中は、「頼む~、もってくれ~!」「いけいけいけ~!」「止まれ~、ガス欠になってしまえ~!」など、阿鼻叫喚の絶叫ピットになるのですが、今年は様子が違っていました。
- ポールポジションスタートのENGINEが狙うはもちろん優勝
それは16:08のスタートから約15分後に降り出した豪雨のため。レースはトータル1時間強の赤旗中断なりましたが、レースの進行を管理する時計の針は中止の間も進んだまま。雨が止んだ時には、走行時間が大幅に短縮されながらも、各チームとも燃料がたっぷり残っていたので、3時間のスプリントレース(スピードを競うようなレース)と化していたのです。
- 豪雨のため赤旗中断
そんな例年にないレースを制したのは、カーナンバー13のチーム「ENGINE」でした。9年ぶり2度目の優勝。おめでとうございました!
- ポールトゥウィンのチームENGINEのみなさんおめでとう!
- 周回数は124と赤旗中断があったため、例年より大幅に少なかった
メディア4耐30周年記念となる来年は、記念プログラムもいろいろと企画されるようです。ぜひサーキットに足を運んでみてください。
(取材・写真・文:大田中秀一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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