【eスポーツ】「グランツーリスモSPORT」のアジア・オセアニア最速プレイヤーが決定! #GTSPORT #eCircuit

10月6日(土)~8日(月)の3連休で行われた「東京モーターフェス」。その会期中、イベント会場のひとつ「MEGA WEB ライドスタジオ“e-Circuit”」にて、「グランツーリスモSPORT」のアジア・オセアニア地域におけるチャンピオンを決定するeスポーツ大会が開催されました。

「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2018 ネイションズカップ アジア・オセアニア選手権 ワールドファイナル 出場者決定戦」、そして「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2018 ネイションズカップ アジア・オセアニア選手権 決勝」です。今回は、アジア・オセアニア最速ドライバーの座をかけて戦われる「アジア・オセアニア選手権 決勝」の様子をお伝えします。

ネイションズカップとは?

まずは、今回行われたネイションズカップについて、ご説明しましょう。「グランツーリスモSPORT」は、FIA(国自動車連盟)認定のオンラインレースモードが実装されている、国際的なレーシングゲーム。「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」は、世界一のグランツーリスモ アスリートを決めるために2018年に開幕したeスポーツの選手権で、ネイションズカップは、この選手権の国・地域別対抗戦です。このネイションズカップで各国・地域のチャンピオンになると、世界選手権への切符を手にすることができます。

ワールドファイナル 出場者決定戦の様子。SUPER GT顔負けの3ワイド!
ワールドファイナル 出場者決定戦の様子。SUPER GT顔負けの3ワイド!
ワールドファイナル 出場者決定戦で見事ワールドファイナル進出を決めたKokubun選手(左)、Yamanaka選手(右)
ワールドファイナル 出場者決定戦で見事ワールドファイナル進出を決めたKokubun選手(左)、Yamanaka選手(右)

今回、アジア・オセアニア地域(日本、オーストラリア、香港、ニュージーランド、台湾)の上位30名が集結し、ワールドファイナルへの出場権をかけて戦う「ワールドファイナル 出場者決定戦」と、30名の中でチャンピオンを決定する「アジア・オセアニア選手権 決勝」が行われたのです。

マシンとコースを変え、3つのレースで戦われた決勝

それでは、「アジア・オセアニア選手権 決勝」の様子をお伝えしてきましょう。決勝は、15分間の予選タイムアタックと3つレースで行われ、各レースの順位によって与えられるポイントの合計で勝者が決定します。

解説に土屋圭市氏が参加し、終始彼らのドライビングテクニック、マナー、戦略に感銘を受けていた。レース中の観戦の表情もSUPER GTと同じく真剣な表情だった。
解説に土屋圭市氏が参加し、終始彼らのドライビングテクニック、マナー、戦略に感銘を受けていた。レース中の観戦の表情もSUPER GTと同じく真剣な表情だった。

ちなみにマシンは、レースごとにクラスが指定されています。どのマシンを選んでも「BOP(性能調整)」により「数字上」のパワーは均一化されますが、出力特性や車両特性はそのままなので、マシン選択から勝負は始まっているのです。

○予選+第1レース(N500クラス、鈴鹿サーキット 8周)
予選と第1レースは、「N500クラス」という市販車(=N)でピークパワーを500馬力に制限したマシンで戦われます。市販車でスリックタイヤが使用できないので、より無駄のないドライビングが要求されます。

決勝レースが始まってみると、お互いにプレッシャーを掛け合ってミスを誘う地味ながらもハイレベルなレースが繰り広げられました。結果は、ポールポジションスタートのKokubun選手が2位に4秒ものリードを築き、第1レースを制しました。Kokubun選手は、強力な加速が得られるRRの「ポルシェ911GT3(997型)」を選択したことも、勝因のひとつでしょう。

○第2レース(Gr.3クラス、ドラゴントレイル・ガーデンズⅡ 13周)
第2レースは、「Gr.3クラス」。このクラスは、現実世界のFIA-GT3マシンに相当しますが、そこは「グランツーリスモ」、フォルクスワーゲン・ビートルやスバル・WRX STIといった実在しないGT3マシンも登場するバラエティ豊かなクラスです。コースは、中高速域のレイアウトにアップダウンや鋭角なコーナーもあるグランツーリスモオリジナルの「ドラゴントレイル・ガーデンズⅡ」。

第1レースと違い、本格的なレーシングカーで戦われる第2レースでは、タイヤ選択も勝敗をわけるポイントに。レース後半でソフトタイヤに交換して猛追した香港代表のWong選手が、勝者となりました。

○最終レース(Gr.1、富士スピードウェイ 19周)
最終レースの舞台は「富士スピードウェイ」。マシンはWEC(世界耐久選手権)に出てくるようなプロトタイプレーシングカーで構成される「Gr.1クラス」です。

先のレースでドライバーズポイントトップに躍り出たWong選手を先頭に、Yamanaka選手、Kokubun選手の順でスタート。Yamanaka選手が進路妨害で3秒のペナルティを課されたため、「Kokubun選手 vs Wong選手」の構図に。最終的にKokubun選手が逃げ切り、見事アジア・オセアニア選手権のチャンピオンに輝きました。

レース後、上位3名の選手にインタビューをすると、リアルなレーシングドライバーさながらのコメントが返ってきました。

「トップ3に入れて、すごくうれしいです。もし、もう一度最終レースに臨むことができたなら、最初のコーナーは絶対にミスしない。もっといいレースがしたかったです。」(3位 Wong選手)

「無事にワールドファイナルに行けることが決まり、ホッとしています。予選で少し失敗してしまい、その流れを最後まで戻せなかったのですが、最終的に準優勝という形になりました。ワールドファイナルでは、リベンジできるようにがんばりたいです。」(2位、Yamanaka選手)

「こういったオフラインの大会に参加するのは初めてなので、優勝できて本当にうれしいです。ワールドファイナルも、今回の優勝を誇りにして挑みます。」(1位、Kokubun選手)

グランツーリスモといえばこの人! プロデューサー 山内一典氏

会場にはグランツーリスモシリーズのプロデューサーとして知られる山内一典氏の姿もあり、ネイションズカップについてお話を伺うことができました。

――「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2018 ネイションズカップ アジア・オセアニア選手権」を終えての感想を聞かせてください。

この選手権は、今から6年前、FIAと「未来のモータースポーツを作ろう」とスタートしたものです。そのあと5年の歳月を経て「グランツーリスモSPORT」ができ、1年間各地で大会をやってきて、今日初めて公式戦を行いました。長い時間がかかりましたが、今日この日を迎えられたことはとても嬉しいです。

――ワールドファイナルでの日本人選手の活躍について、どう思われていますか?

「グランツーリスモ」の世界で、日本人選手が高いパフォーマンスを持っていることは10年以上前から分かっていました。ただGTアカデミーが日本で行われなかったということもあり、これまではあまり日の目を見るチャンスがなかったんです。

今回、「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」が全世界規模で行われることで、日本人の選手が世界で活躍する舞台が整いました。今日のレースでは日本勢が強かったですが、欧米諸国にも強豪強選手はたくさんいます。その中で、どんなレースを見せてくれるのか、いまから楽しみにしています。

――世界の「グランツーリスモ」ファンに向けてメッセージをお願いします。

僕らはいきなりNBAやF1のようなことをやりたいわけではありません。今日、参加した選手の皆さんも、普段は仕事をしながら空き時間に練習しているとおっしゃっていましたが、本来のスポーツはそうあるべきだと思います。スポーツは常に人生に寄り添い、たまに輝きを与えてくれる。「グランツーリスモ」も、そんな存在になれればいいなと考えています。

この2日間見続けた感想としてシンプルに感動と「自分もあの場に立ちたい」という思いが湧き上がってきました。「たかがゲーム」と思う人もいると思いますが、彼らの眼差しやレース後の汗で現実世界のモータースポーツと同等以上のシビアでありながらおもしろい世界であることが伝わればと思います。

グランツーリスモの世界選手権、「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」はまだまだ始まったばかり。リアルなレースとはまた違った、新しいモータースポーツの世界が広がっていきそうです。

最後に、各レースのダイジェスト動画をまとめましたのでご覧ください。また公式のYoutubeチャンネル「GRAN TURISMO TV」では今回のレースの様子をフルで見れますので、よりレースの詳細が気になる人はぜひアクセスしてみてください。

(取材・文・写真:クリハラジュン、編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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