52年の歴史に幕を閉じた新宿「スバルビル」その後
2018年7月21日23時をもって、東京・新宿の「スバルビル」がその役目を終え、52年の歴史に幕を降ろしました。スバルビルは、富士重工業株式会社 (現・株式会社SUBARU)が、戦後初の国産軽飛行機「FA-200(エアロスバル)」の試験飛行を成功させた翌年の1966年に竣工。2014年まで、48年にわたり同社の本社ビルとして活躍してきた歴史あるビルです。
本社機能が恵比寿に移転したあともスバルビルの名前は存続しましたが、7月21日ですべてのテナントが営業を終了し、予定通り8月より解体工事が始まりました。工期は2019年4月30日までの予定です。ちなみにこのビルが完成した1966年は、今でもスバルの象徴ともいえる水平対向エンジンを初めて搭載したモデル、スバル1000が発売された年でもあります。
そこかしこにスバルを感じる館内
このスバルビルは、日本一の乗降客数を誇る巨大ターミナル新宿駅の西口に構え、屋上に掲げられた巨大な看板とともに西口に降り立てばすぐに目に入るランドマーク的な存在で、ビル内を覗いてもホールの名前が「レガシイホール」だったり、エスカレーターのベルトにスバルのロゴが入っていたりと、そこかしこにスバルを感じるビルでした。
- 手すりのベルトはSUBARUのロゴ入り
- 何もかもがスバルづくし
- レガシィホールは地下1階
また、当時としては珍しい2層構造を持つ駅前の歩行者用地下広場に面した壁面には、彫刻家 宮下芳子作「新宿の目」が設けられており、巨大な光る目のオブジェもまた新宿西口のランドマークとして知られていました。
- 歩行者地下広場から望む新宿駅西口の風景は独特な雰囲気
- 彫刻家 宮下芳子作「新宿の目」
すべての役割を終えた7月22日以降もしばらく点灯していた「新宿の目」の光も、今は消えました。スバルビルと同じ1966年に建てられた銀座の「ソニービル」も2017年に取り壊されるなど、まさにひとつの時代が終わりを感じます。
- スバルビル閉館後もしばらく点灯していた新宿の目の光も消えてしまった
- 解体が始まるといろいろな懐かしいロゴが
- こちらは2014年に撮影した写真。この案内板も……
- 2018年の閉館直前には、ご覧のとおりに
- 灯りの消えたスバルビル(2018年9月撮影)
記憶にとどめておきたい新宿のランドマーク
もちろん現在のスバル本社ビル「エビススバルビル」は、しっかりと時代のニーズに合わせた施設を備えており、これからの時代を生き抜くためには必要不可欠な進化といえるでしょう。たった2台でいっぱいになる広さだったショールームスペースは、エビススバルビルでは「SUBARU STARSQUARE」と名付けられた広々としたものとなり、スバルにまつわるさまざまな発表会やイベント、モータースポーツのパブリックビューイングなどが頻繁に行われるようになりました。ビル内には多目的イベントホール「EBiS303」もあります。
- 2台の展示が限界だったスバルビルのショールーム(2014年撮影)
- エビススバルビルの広々とした「SUBARU STAR SQUARE」
新しい本社ビルはモダンで立派になりながらも、決して敷居を上げることなく、ユーザーとの距離が縮まるような工夫が盛り込まれたビルです。エビススバルビルは、これからも多くのファンが訪れる「聖地」として進化を続けていくのでしょう。
だからこそ、都心の巨大ターミナル駅の真ん前に大きな看板を掲げ、スバルが産声をあげてから半世紀もの間、本社機能を担ってきたスバルビルの姿も、ちょっぴり記憶にとどめておきたいものです。
- マルフのマークと漢字表記も懐かしい1999年ごろのスバルビル(写真提供 株式会社SUBARU)
(取材・文・写真:高橋学 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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