プロドライバーもトレーニングに使用する「レーシングシミュレータ」を体験! D.D.R秋葉原

eスポーツの大会からリアルなレーシングドライバーが生まれるように、最近のレーシングシミュレータは、実車同様にリアルなドライビングができるようになっています。モータースポーツの世界でも、レーシングシミュレータを使ってのトレーニングが常識となりつつあるようです。

では、最新のレーシングシミュレータとは、一体どんなものなのでしょうか?プロのレーシングドライバーもトレーニングに訪れるというレーシングシミュレータープロショップ「D.D.R秋葉原」を訪ね、店長の小林春海さんにお話を伺うとともに、実際にレーシングシミュレータを体験してきました。

そもそも家庭用レースゲームとは何が違うの?

まずは、本格的なレーシングシミュレータと家庭用のレースゲームについて聞いてみました。最近はグラフィック性能も向上して、家庭用ゲームでもリアリティはかなりのものですが、どのような違いがあるのでしょうか?

「たしかに最近の家庭用レースゲームは、グラフィックも挙動もリアルなものになっていますが、あくまでも“誰もが楽しんで運転できること”が重視されています。一方のレーシングシミュレータは、実車に近い運転感覚を重視しています。ステアリング操作や加減速の挙動が、レースゲームとレーシングシミュレータの一番の違いです。」(小林さん)

さらに、年々進化するレーシングカーに合わせて、シミュレータのソフトウェアもアップデートされているそうです。

「ベースとなるソフトウェアはもちろんありますが、レーシングドライバーからの意見をもとに細かな修正点を洗い出して自分たちで更新し、より実車に近いものを目指しています。また、毎年登場する新しいレーシングカーも、レーシングドライバーからの意見をフィードバックして再現しています。」(小林さん)

レーシングドライバーはどのようにトレーニングで使用する?

現在では、多くのレーシングドライバーがレーシングシミュレータをドライビングのトレーニングに使用しています。レーシングシミュレータはいつごろ誕生し、どのようにトレーニングに取り入れられたのでしょうか?

「明確な起源はありませんが、古くからレーシングシミュレータ自体は存在していました。実際に多くのレーシングドライバーがトレーニングで使用するようになったのは、ここ5年くらいですね。」(小林さん)

どんな風にトレーニングに使われているのかを聞いてみると、「コースを覚えるトレーニングが一番多い」とのこと。

「初めて走るサーキットでのレースに臨む前に、コースを覚えるためにレーシングシミュレータでイメージトレーニングをするドライバーが多いですね。特にニュルブルクリンクのような長いサーキットや、マカオのギア・サーキットのように普段走ることのできない市街地サーキットのレイアウトを覚えるときに、レーシングシミュレータは重宝されています。」(小林さん)

最近では、実際のレース前にチームメイト同士で対戦モードなどを使用してレースシミュレーションをする場合もあるそうです。

プロも使うレーシングシミュレータを体験してみた!

プロのレーシングドライバーがイメージトレーニングなどに使っていると聞くと、少し敷居が高く感じますが、D.D.R秋葉原では、誰でもレーシングシミュレータを楽しむことができます。店名の「D.D.R」は、「だれでもレーサー」の頭文字を取っているのだとか。ドライブにあたっては、踵の高くない靴とレーシンググローブが必要となりますが、シューズやグローブはレンタルもあるので、手ぶらで来てもOK。

今回は、取材時に行われていたタイムアタックイベント「ビギナーチャレンジ」に挑戦しました。コースは本庄サーキット、マシンはランサーエボリューションⅨです。

走り始めての第一印象は、何よりブレーキとステアリングが重たい!10分間の走行でしたが、空調が効いた室内でも汗をかいてしまうほど。ステアリングやシフト、ペダル操作をしたときのクルマの挙動は、たしかにレースゲームに比べて実車に近いと感じました。

操作系が重たいからといってラフに操作しては上手くいかず、クルマを速く上手に走らせるには“丁寧な運転”が必要であると、改めて感じさせられます。「シミュレータで求められる“丁寧な操作”は、実車を運転するときに生きてきますよ。」と小林さん。

ランサーエボリューションⅨでのタイムアタックのあとは、マシンによる挙動の違いなどをたしかめるために、競争女子(KYOJO-CUP)などで使われるレーシングマシン「VITA」をシミュレーションした車両で富士スピードウェイを走ってみました。

ランサーエボリューションⅨに比べて、VITAの方が運転しやすいと感じたのは、生粋のレーシングマシンだからでしょう。しかし、実車と同様にABSなどのアシストシステムをカットして走行したため、ブレーキロックやスピンをしてしまいました。タイヤが滑り出す感覚を感じ取りにくいというのが、正直な感想です。

「これは“シミュレータあるある”です。シミュレータでは実車のようにGが発生しないので、タイヤが滑る感覚を感じ取ることが難しいんですね。画面の動きを見て感じるしかありません。このあたりは、慣れが必要なところです。市販車よりもグリップやダウンフォースの強いレーシングカーの方が運転しやすいため、シミュレータ初心者の方にはエントリーフォーミュラをおすすめしています。」(小林さん)

レーシングシミュレータは、気軽にレーシングカーを体験できるものですが、レーシングドライバーのタイムに挑戦したりタイムを出す難しさを体験できたりと、奥の深いものでした。また、その難しさから、レーシングドライバーがアスリートであることもわかりました。

腕に自信がある方はもちろん、レーシングカーに憧れがある方も、一度レーシングシミュレータを体験してみてはいかがでしょうか。運転が好きな方なら、きっとその楽しさや奥深さを感じられるはずです。またD.D.R秋葉原では初心者向けを始めとした各種イベントも開催しているので、初めてレーシングシミュレータを体験する方にはオススメのスポットです!

【D.D.R秋葉原】
住所:東京都千代田区外神田3-11-2 ロックビル5F
営業時間:12時~22時
定休日:年中無休
TEL:03-6206-8480
Mail:akiba01@ddr.jp.net
Webサイト:http://ddr.jp.net/

(取材・文・写真:西川昇吾  編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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