2018年「クルマ業界」10大ニュース

平昌オリンピックでの日本選手の活躍や藤井聡太七段による新人王最年少記録更新など、明るいニュースも多かった一方で、西日本豪雨や大阪、北海道と相次いだ地震など、自然災害も多く発生した2018年。みなさんにとって、どんな1年だったでしょうか?

続々と発表された新車からモータースポーツまで、クルマ業界もニュースの多い1年でした。今年も10のトピックで、クルマ業界を振り返ります。

1:ロングライフモデルが続々とモデルチェンジ

スズキ・ジムニー、トヨタ・センチュリー、メルセデス・ベンツ Gクラスが、6月に相次いでフルモデルチェンジを発表しました。ジムニーは20年ぶり、センチュリーは21年ぶりのフルモデルチェンジ、Gクラスは40年目にして初のフルモデルチェンジとなりました。

どれも長く愛されてきたモデルだけあって、大きくキャラクターやスタイリングを変えることなく、それぞれの持ち味を強めたモデルチェンジとなっています。みなさんの中にも「新型モデルを見かけた」、あるいは「購入した」という人もいるのではないでしょうか?

2:往年の人気モデルやブランドに復活の兆し

20年以上にわたって途絶えていたフランスのスポーツカーブランド「アルピーヌ」が、新型車「A110」によって復活。2019年1月には、トヨタが「スープラ」の名を冠したスポーツカーを発表することがアナウンスされています。また、しばらく日本市場では販売されてこなかったホンダ「CR-V」の新型が8月に国内発売され、さらにはトヨタも新型「RAV4」を2019年春ごろに発売する予定だとか。

2018年は、往年の人気モデルやブランドの復活が目立った年でした。また、12月にはマツダが「MX-6」の名前を商標登録してきたことも、明らかに。MX-6は、1990年代に販売されていた2ドアクーペで、「同名の新型車が発売されるのでは?」と期待が持たれます。

3:「コネクテッドカー」が続々登場

トヨタが6月に発売した「クラウン」と「カローラ スポーツ」は、車載通信機「DCM」を全車に標準搭載する“トヨタ初のコネクテッドカー”としても注目されましたが、メルセデス・ベンツの「Mercedes me Connect」や、BMWの「BMW Connected」を始め、新しいコネクテッド機能や搭載モデルが続々と登場しました。

コネクテッドカーは、クルマがインターネットにつながることで、スマートフォンからナビゲーションなどの操作ができたり車両情報の確認ができたりするほか、交通事故など緊急時に自動的にコールセンターに通報したり、車両盗難時に追跡できたりするもの。また、車両に取り付けられたセンサーがさまざまなデータを収集してデータセンターに送ることで道路情報をシェア・活用できるほか、将来的には自動運転にも役立てることが可能となります。

4:未来を感じる技術が市販車に

コネクテッド機能のほかにも、未来を感じる機能を搭載した車が続々と登場しました。レクサス ESにオプションで装着できる「デジタルアウターミラー」もそのひとつ。このミラーは、従来のドアミラーの位置に小型カメラを装着。車内に設置されたディスプレイにその映像を映し出すというもの。カメラ化により、夜間や雨天時にもクリアな視界が得られるほか、ウインカー操作時や後退時などに拡大表示することが可能となっています。

メルセデス・ベンツが新型「Aクラス」で採用したインフォテイメントシステム「MBUX」は、「Hi,Mercedes」と語りかけることで起動する対話型の音声認識システムを搭載。これまでにも音声認識システムはありましたが、AIの応用により自然な対話を実現しているのがポイント。Amazon EchoやGoogle Homeが車に内蔵されたようなイメージといえばわかりやすいでしょうか。目に見える形で、AIが車の中に入ってきた一例です。

5:ラグジュアリーSUV市場が活況

アルファロメオ「ステルヴィオ」、ランボルギーニ「ウルス」、ロールスロイス「カリナン」と、高級ブランドからSUVモデルが相次いで登場。BMWも「X7」で、高級大型SUV市場に参入しました。アストンマーティンも、初のSUVである「DBX」を2019年に発売することを発表しています。

2002年にデビューしたポルシェ「カイエン」が開拓した高級SUV市場も、ついに「ここまできたか!」と思わずにはいられません。なお、高級車だけではなくSUVは世界的な人気ジャンルとなっており、世界で販売されるクルマの約3割がSUVモデルとなっています。

6:ル・マン24時間レースでトヨタが悲願の初優勝

6月にフランス「サルトサーキット」で「第86回ル・マン24時間レース」が開催され、TOYOTA GAZOO Racingの「TS050 HYBRID 8号車」が優勝しました。トヨタは、これまでに19回にわたり同レースに参戦し、6度の表彰台を手にしていましたが、優勝は果たしておらず、通算20回目となる今回が悲願の勝利に。

日本メーカーでル・マン24時間レースで勝利したのは、マツダに続いて2社目。また、中嶋 一貴選手の勝利は、ル・マン史上初めての、日本人ドライバーと日本の自動車メーカーによる総合優勝となりました。

7:ルイス・ハミルトンがF1で史上3人目となる5冠を達成

10月28日に行われたF1第19戦「メキシコGP」で、2018年のシリーズチャンピオンがルイス・ハミルトン選手に決定しました。ハミルトン選手は、18戦終了時点で2位のセバスチャン・ベッテル選手に対して70ポイントもの大差をつけており、7位以上に入賞すればチャンピオンになるという状況。そんな中で2位を獲得し、チャンピオンとなりました。

ハミルトン選手が、F1ワールドチャンピオンに輝いたのは今回が5度目。F1で5冠達成となったのは、ファン・マヌエル・ファンジオ選手、ミハエル・シューマッハー選手に次いて3人目の快挙です。

8:日本カー・オブ・ザ・イヤーでボルボが輸入車史上初の2連覇

その年を「代表するクルマ」を選出する賞典、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。今年はボルボXC40が、その栄冠に輝きました。XC40は、3月に発売されたボルボの中でもっともコンパクトなSUV。

ボルボは昨年もXC60で同賞を受賞しており、39回におよぶ日本カー・オブ・ザ・イヤーの歴史の中で、輸入車メーカーとして初めて2連覇を達成しています。ボルボは今年、1996年以来22年振りに新車受注台数が年間2万台を超え、名実ともに“乗りに乗っているブランド”と言えそうです。

9:トヨタがWRC参戦復帰2年目でマニュファクチャラーズタイトルを

WRC(世界ラリー選手権)第13戦オーストラリアで、ヤリ-マティ・ラトバラ選手がドライブするTOYOTA GAZOO Racing WRTのトヨタ・ヤリスWRCが優勝。同じヤリスWRCに乗るエサペッカ・ラッピ選手が、4位入賞を果たしたことで、トヨタのマニュファクチャラーズタイトルが決定しました。

トヨタは2017年、1999年の参戦以来、17年ぶりにWRCに復帰。“学びの年”と位置づけた2017年シーズンで、いきなりマニュファクチャラーズランキング3位を獲得。参戦復帰2年目となる今年、念願のマニュファクチャラーズタイトルに輝き、その強さを見せつけました。

10:2019年度「税制改正大綱」が発表。初めて自動車税が減税へ

12月14日、自民・公明両党が「2019年度税制改正大綱」をまとめました。注目は、1950年に創設された以来、自動車税が初めて減税されること。対象となるのは、2019年10月1日以降に購入(新規登録)される新車で、燃費性能の良い小排気量車ほど減税幅が大きくなります。もっとも減税が大きくなるのは1.0L以下で4500円減(29,500円→25,000円)。

自動車取得税もこのタイミングで廃止に。ただし、「エコカー減税」の対象車縮小や、「グリーン化特例」の廃止といった、減免制度の見直しも盛り込まれています。また、燃費に応じて課税する「環境性能割」を導入する方針も打ち出されており、今後さらに自動車の税制は変わっていきそうです。

2017年が自動運転や無人運転という言葉に湧いた1年だとしたら、2018年はコネクテッドやAIといった未来のテクノロジーがぐっと身近になった1年だったと言えるのではないでしょうか。2020年代になると、当たり前のようにコネクテッドやAIが搭載されていくのかもしれませんね。みなさんはこの1年のクルマを取り巻く環境に、どんな変化を感じましたか?

(文:木谷宗義 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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