意外と知らない疑問を解説。スタッドレスタイヤはどうして雪や氷の路面でも走れるのか?

今シーズンは暖冬と言われ雪の便りが遅れ気味ですが、東北や北海道、そして山間部では12月には雪景色になっている場所も多いことでしょう。そんな場所を走るのに欠かせないツールといえば、スタッドレスタイヤ。ノーマルタイヤ(夏タイヤ)だと雪が積もった道や凍った道路で簡単にスリップするので走れませんが、スタッドレスタイヤを履けば滑りにくくなって走ることができます。

ところで、スタッドレスタイヤはどうして雪や氷の路面でも走れるのでしょうか?

秘密は、気温が低くなっても硬くならないゴム!?

もっとも大きな理由は、温度が低くなっても硬くなりにくいゴムを使っていることです。

タイヤは柔らかいほど路面に密着してグリップしやすいのですが、しなやかさを失うと路面に密着できなくなって滑りやすくなる特性があります(たとえば路面をしっかりつかむレース用タイヤの表面はとても柔らかいんです!)。ノーマルタイヤだと温度の低下とともにゴムが硬くなってしまうところですが、スタッドレスタイヤは硬くなりにくい特性を持っているので雪や氷の道でも滑りにくいのです。

ちょっと想像してみてください。
チョコレートは温かくなると溶けるけれど冷やせば固まりますよね。

温度が低くなると硬くなるのはタイヤも同じこと。そのためスタッドレスタイヤは、あるメーカーは添加剤で硬くならないようにしたり、あるメーカーは小さな空気の泡をゴムに混ぜて硬くならないようにしたりと、各メーカーが工夫を凝らして冷えても硬くなりにくいゴムの特性としているのです。

また、表面の溝にも秘密があって、タイヤの溝に雪が詰まらない設計かつタイヤの溝で雪を引っ掻く構造にして雪が積もった道で滑りにくいように考えられています。

氷の上では、水の膜を除去するのが重要

凍った路面は、雪道よりもさらに滑りやすい状況。そんな道では、ゴムの柔らかさのほかにも滑りやすい大きな理由があります。

それは、氷とタイヤの間に薄い水の膜ができてしまうこと。それが凍結路面の滑りの大きな原因です。

そこでスタッドレスタイヤは、目には見えないほどの小さな穴がスポイトのように水を吸い取るなど、水の膜を除去するための工夫を施しているのも特徴。また、氷をひっかくように考えられた、タイヤ表面に刻まれた細かい溝も、氷の上で滑りにくい理由のひとつです。

ところで、スタッドレスタイヤの寿命ってどのくらい?

そんなスタッドレスタイヤですが、冬の道を安全に移動するためには寿命にも気を付けましょう。たとえば溝は、タイヤが擦り減って新品時の半分程度の深さになったら雪道用のタイヤとしては使えません。気になる人は、自動車販売店やカー用品店、ガソリンスタンドなどでチェックしてもらいましょう。

しかし、溝が残っていても安心とは言えません。ゴムは劣化すると硬くなるので、古くなると滑りやすくなります。できれば3シーズン程度、長くても4シーズン使ったら新しいタイヤに交換したいですね。ドライブは安全が第一ですから。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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