エアロパーツとは?部品の種類や装着する魅力・注意点などについて解説
愛車を自分の好みのに仕上げる手段の一つ、エアロパーツ。車をドレスアップしたり、走行性能を上げたりしてくれるため、こだわりの強い方に特におすすめの方法です。本記事では、エアロパーツを検討している方に向けて、パーツごとの特徴や魅力、装着にあたって注意すべき点などを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
エアロパーツとは
「エアロパーツ」は、走行性能を高めるために空気力学(以下、空力)をもとに設計された自動車の外装部品の総称です。英語では「Spoiler(スポイラー)」と呼ばれ、もともとは航空機の翼に設置されたパーツで、空気の流れを変えたりせき止めたりすることで揚力を「阻害する(=spoil)」ためのものでした。
レース専用車には強力な効果のあるエアロパーツが使われていますし、公道でも使うことができるエアロパーツを使ったレースもあり、種類や効果も多種多様なものがあります。
エアロパーツの魅力
- 愛車をドレスアップできる
- 高速走行時の安定性を上げてくれる
- 軽量化ができる
エアロパーツの魅力は大きくわけて3つ。レース用は速く走るための性能や機能を重視していますが、公道用は見た目の印象チェンジに期待する方も多いようです。
愛車をドレスアップできる
サーキットなどを走行しない方で公道用エアロパーツを愛車に装着する方は、ドレスアップを目的にしている場合も多いでしょう。現在販売されているエアロパーツは機能性はもちろんデザイン性の高いものも多く、装着することにより高級感やスポーティーさが増します。また、パーツの組み合わせにより個性が出せる点も魅力的です。
あわせて読みたい!
好みのエアロを組み合わせたキメラ仕様のBRZ
高速走行時の安定性を上げてくれる
エアロパーツは空気力学をもとに設計されており、空気の抵抗を減らしたり、ダウンフォース(車を地面に押さえつける力)を得ることで走行を安定させる効果があります。ダウンフォースが発生することでタイヤが地面に押し付けられ、タイヤの摩擦力、グリップ力が高くなることで車の動きが安定し操縦しやすくなります。
ただし、街中の走行ではその効果をあまり感じることはできず、サーキットや高速道路などの高速域での走行ではその効果を実感することがでるでしょう。
軽量化ができる
前後のバンパーやボンネットなど大きなパーツを軽量なものと交換することで、車重を軽くすることが可能です。ただし追加で取り付けるタイプのエアロパーツの場合は重量が増加します。
エアロパーツを交換し空気抵抗の低減や軽量化などにより燃費が向上すると言われることもありますが、高速道路での長距離を移動した場合などでは多少の向上がみられる場合があります。
あわせて読みたい!
知ってる? 愛車の燃費を計算する方法
エアロパーツの種類
主なエアロパーツの種類を紹介していきましょう。ちなみに、フロントスポイラー・サイドステップ・リヤスポイラーの3点を装着した状態を「フルエアロ」と呼び、空力性能を向上や車の印象をガラッと変える手段として人気です。
フロントスポイラー
主にバンパー下部に追加されるパーツで、前面に受ける走行風を導く方向を決める重要な役割を果たします。車体に沿って流れる空気と車体の下に流れる空気を、整えてきれいに流してあげることでダウンフォースを発生しやすくしてくれます。
また、ブレーキダクトやラジエターへ空気を流すと冷却性が向上して、ブレーキやエンジンの本来の性能を発揮させることができます。
フロントバンパー自体の形状を大きく変更し、スポイラー機能を向上させた「フロントバンパースポイラー」はフロントスポイラーの発展形でより効果が高いものです。
サイドステップ(サイドスカート)
左右のドア下部にフロントタイヤの後方からリアタイヤの前方まで追加されるパーツで、車のサイドを流れる空気を制御するパーツです。走行中に空気が抵抗にならないように後部へ流すほか、ボディ上面から巻き込んで車体下に潜り込もうとする流れを止めて、車体下でのダウンフォースの発生を助けてくれます。
レーシングカーでは地面すれすれまで板状のパーツを伸ばすことがあり、より高いダウンフォースを発生することができます。
リヤアンダースポイラー
車の前方から後方にかけて空気の流れを整えて、フロントとリアの空力のバランスを最適化してくれます。
後述の「ディフューザー」が一体化し、バンパー全体で設計することでより効果を高めた「リヤバンパースポイラー」も存在します。
ディフューザー
車体下後端に装着され、縦フィンと斜めにせり上がった部位により車体の下を流れてきた空気を、整えてより速く排出するのに役立つパーツです。
車体の下を空気が通過する際に、車体の下は狭く断面積が小さくなるため気流が速まり負圧が発生します。これは「ベンチュリ―効果」とも呼ばれ、その負圧により地面と車体が吸い付く力※=ダウンフォースが発生します。
(※袋が真空になる際にぎゅっとくっつくのと同様のイメージです。)
リヤウィング
トランクリッド(トランクの蓋のこと)上部の左右を連結する、板のようなパーツです。板の断面は航空機の翼を逆転させた形状になっていることが多く、揚力を逆転させて車体を押し付け、比較的低速でも強いダウンフォースを発生させる仕組みとなっています。
市販品の多くは角度調整が可能ですが、立てすぎる(空気が当たる断面が広くなる)と空気抵抗が必要以上に強くなるため、取り付け時は注意が必要です。
リヤスポイラー
トランクリッドやリヤゲートに装着されるパーツで、トランクの後端部に設置したり、ハッチバック車などではルーフの延長上にスポイラーを取り付けたりすることで、空気の流れを整えて走行の安定性を向上してくれます。
エアロパーツの注意点
エアロパーツを検討するにあたり、あらかじめ知っておきたい注意点を紹介します。購入してから後悔しないよう良く確認しておきましょう。
一般車道では安定性アップを実感しにくい
前述したように高速道路ではスピードを出すため、エアロパーツによるダウンフォースの影響が大きく感じられますが、低速で進んだり止まったりを繰り返す一般車道では恩恵を受けにくいでしょう。
パーツの総重量が重すぎると逆効果
エアロパーツには空気抵抗を削減する効果がありますが、装着しすぎて総重量が大幅に増加すると、逆効果で走りにくくなったり燃費が悪化することがあります。もともと車についていたパーツを低重量のエアロパーツに変えるなど工夫することで操縦安定性の低下を回避することができます。
掃除・洗車には特別な配慮が必要
当たり前のことではありますが、エアロパーツを追加した分だけ掃除する箇所が増えます。掃除が苦手な方やまめに手入れする時間のない方にとってはハードルが高いかもしれません。また、パーツによっては洗車機に通すと破損してしまうおそれがあるため、事前によく確認しておきましょう。
あわせて読みたい!
もう一度おさらいしよう! 基本的な洗車の仕方
保安基準を満たす必要がある
保安基準 | ||||
長さ | 幅 | 高さ | 重量 | |
小型乗用車 | ±30mm | ±20mm | ±40mm | ±50kg |
普通乗用車 | ±30mm | ±20mm | ±40mm | ±100kg |
道路運送車両法により、国土交通省の保安基準に適合しない改造や装置の取付けを行ってはいけません。保安基準を守らないと車検が通らないため、エアロパーツを装着する際には特に気を付けましょう。
エアロパーツのおすすめ装着順
エアロパーツを検討する際、機能性を重視するならフロントスポイラーから始めるのがおすすめです。フロントスポイラーは空気の流れを受け止めて導く重要な役割を持っているうえに低価格なものもあり、車の顔ともいえるフロント部分のイメージを簡単に変えられます。
次はサイドステップ、リヤのパーツと、気流が流れる順番に装着するといいでしょう。もちろん求めることや車種によっても異なってくるため、疑問に思うことがあればメーカーや取り付け店に相談してみてください。
エアロパーツは注意点を参考に慎重な選択を
エアロパーツはドレスアップや走行時の安定性アップを目的に装着する部品ですが、検討する際は大きさや重量に注目してみましょう。せっかく装着しても車検が通らなければ、外すはめになるため事前の確認が必要です。
またエアロパーツは種類も多く、いろいろな組み合わせで自分好みに愛車をカスタマイズすることもできます。購入する際は、そのパーツだけでなく今後の装着したいパーツも含めて、必要な機能や最終的なスタイルなどをよく検討して選びましょう。
あわせて読みたい!
【パーツメーカー紹介】戦うエアロパーツC-WEST
エアロブランドVARIS代表に聞く「運転が楽しくなるエアロとは?」
▼株式会社トムス
URL:https://www.tomsracing.co.jp/
2019年3月5日
(取材・文:先川 知香 写真:株式会社トムス 編集:木谷宗義+ノオト)
2022年10月
(編集:GAZOO編集部)
あわせて読みたい!
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-