【D1GP】GRスープラも走った!平成最後の「お台場D1」開催される

ドリフト競技の元祖にして国内最高峰「D1グランプリ」のエキシビションマッチ「モンスターエナジープレゼンツ D1 GRAND PRIX ALL STAR SHOOTOUT!!」が、3月23日(土)、24日(日)の2日間、東京・お台場の特設会場で行われました。

ラストお台場になるかもしれない……

今シーズン新車レクサスRCを投入する上野選手。今大会はラストD1お台場であると共に、長年親しまれた30ソアラのラストランの場所だったのかもしれない
今シーズン新車レクサスRCを投入する上野選手。今大会はラストD1お台場であると共に、長年親しまれた30ソアラのラストランの場所だったのかもしれない

今年で19年目のシーズンを迎えるD1グランプリ。2004年のエキシビションマッチを皮切りに2008年から毎年、お台場で興行が行われていました。ですが、2020年の東京オリンピック開催に伴ない、特設会場だった広場は再開発されることに。東京都港湾局によると、オリンピック終了後の用地利用については未定とのことですが、民間売却もありうるそうです。よって都内でドリフト競技が見られるのは今回が一旦最後、平成では確実に最後となりました。そのためか、会場には朝から多くの方が来場しました。

会場は無料エリアとエキシビションが観戦できる有料エリアに分かれており、無料エリアには自動車関連パーツメーカーやショップの出展ブースがズラリ。さらにチューニングカーの展示も行われ、写真を撮る人があとを絶ちませんでした。

さて、今回のエキシビションに参加したのは、現役D1ドライバー16名のほか、引退した野村謙さん、熊久保信重さん、そしてD1の下位カテゴリ「D1ライツ」で活躍する女性ドライバー3名の計21名。通常のD1グランプリのシリーズ戦では見ることができない面々が揃いました。

今シーズンから参戦する中村直樹選手
今シーズンから参戦する中村直樹選手

イベントは、日中に行われる第一部と、夕方から行われる第二部の二部構成。いずれも1台が走りドリフトの美しさを競う単走と、2台が走行し後走車が前走車にどれだけ近づけるかを競う追走。そして2台が同時にスタートして違うコースをドリフトしながら走行してタイムを競う新競技「ショットガントーナメント」の3種目のほか、野村さんと熊久保さんによるスペシャルマッチというファンにはたまらないプログラムが用意されました。

しかし、野村さんのマシンは1日目の第二部でメカニカルトラブルが発生し、2日目の出走は叶わぬことに……。なお、イベント前には日本トップレベルのフリースタイルモトクロスのトップライダーによるバイクパフォーマンスも披露され、お台場の空を舞台にした華麗なるアクロバットに会場からは拍手が沸き起こりました。

日中は迫力のハイスピードドリフト

日中の見どころは、視界のよさからくる思い切りのよいドリフトパフォーマンスでしょう。各選手とも思い切りのよい、切れ味鋭いドリフトを見せてくれました。注目は今年からD1グランプリに復帰する中村選手。初日、二日目ともに第一部の単走優勝を遂げました。

その後、野村さんと熊久保さんによるスペシャルマッチが行われ、ショットガントーナメントがスタート。選抜4名によるタイムアタック合戦は、途中3回交差が行われる危険なもので、ときどきヒヤリとする場面も見られました。

インターバルには、かつてD1グランプリで活躍し、現在はSUPER GTで活動しているアップガレージの人気レースクイーンユニット「ドリフトエンジェルズ」が新曲を含む2曲のパフォーマンスを披露。愛らしい笑顔と歌声で、春とは思えない冷たい風がふく会場を温めました。

そして単走上位8名による追走トーナメント。初日の第一部で優勝したのは、昨シーズン3位の末永直登選手。タイヤスポンサーの変更に伴いカラーリングを一新した愛機S15シルビアに乗る末永選手は、最初は調子が悪かったものの、徐々に取戻して昨シーズンのような切れ味の良さを見せました。

土曜日1部の追走決勝戦の様子。先行する藤野選手にピタリとつける末永選手
土曜日1部の追走決勝戦の様子。先行する藤野選手にピタリとつける末永選手

夕方からはナイトドリフトを堪能

夕方から行われた第二部は、2019年D1グランプリシリーズの公式テーマソングとして使われることも決定し、モンスターアーティストになったばかりのThe BONEZによるライブでスタート。本年D1グランプリのテーマソングをはじめとする6曲がお台場の空に響き渡りました。

第一部同様、バイクパフォーマンスで会場がヒートアップしたところで単走がスタート。照明が照らされる中、白煙を上げながら走行するドリフトマシンは幻想的な風景となります。その夜に強さを見せたのが、べテラン勢。初日は川畑真人選手、二日目は末永直登選手が優勝を果たしました。川畑選手は今年からチーム体制が変更。それに伴い昨年まで乗っていたGT-Rではなく、180SXにマシンを戻しました。

野村さんと熊久保さんによるスペシャルマッチのあとに行われた夜のショットガントーナメントは、危険度がさらにアップ。その中、初日に女性ドライバーである下田選手が見事優勝! 速さをみせつけました。

初日第二部のショットガントーナメント決勝。手前が下田選手
初日第二部のショットガントーナメント決勝。手前が下田選手

そして追走決勝は、両日ともに末永選手が圧倒的な強さで優勝。終わってみれば計4回行われた追走トーナメントで3勝! 昨年のリベンジに燃える末永選手、今年はチャンピオンを戴冠するか注目しましょう。

ニューマシン続々!注目のGRスープラD1GP競技車両がアンベール

今回の大会では、昨年までは見かけなかったマシンがいくつか見られました。時田選手はお台場に黒い86を投入。しかもよく見ると、レクサスのスピンドルグリルのような形状のフロントバンパーが取り付けられています。

このマシンは、2017年に引退した手塚強選手が愛用していた通称「カラス86」に手を加えた車両とのことでした。

注目は、今春発売予定のトヨタ・GRスープラをベースとしたD1グランプリ競技車両。トップドリフトドライバーである斎藤太吾選手と川畑真人選手それぞれが今年ステアリングを握ります。

土曜日にアンベールされた齋藤選手のGRスープラは、エンジンを2JZ-GTEをベースにHKSの3.4L排気量アップキットを組み込んだものに換装。出力はお台場に持ち込んだ状態で800馬力を誇り、タービンを交換すれば1000馬力も狙えるそうです。

早速デモンストレーション走行をしたところ、その挙動に齋藤選手も満足そうな様子。華麗なドリフトパフォーマンスを披露し、会場を沸かせていました。ですが、土曜日第二部のデモ走行中に突然エンジンから一瞬炎が……。

開場は騒然としましたが、幸いなことに大事に至らず、翌日も元気に走行していました。一方、川畑選手のGRスープラも基本的には齋藤選手と同じ仕様です。

室内をみると、ロールケージで覆われた室内に2座席のフルバケットシートと、すでにD1グランプリのレギュレーションに準拠。内装はすべて取り払われ、ダッシュボードはカーボン製に換装するなど徹底的な軽量化がなされていました。ドリフト車両らしく、長いサイドブレーキが印象的です。

齋藤選手同様のライトでクイックな動きが印象的でした。この両雄がシリーズ戦でどのような走りを見せてくれるのか今から楽しみです!

写真撮影:RISA
写真撮影:RISA

D1グランプリは6月29日(土)に筑波サーキットで行われる開幕戦を皮切りに、7月に北海道・十勝スピードウェイ、8月に聖地である福島県・エビスサーキット、11月にオートポリスで最終戦と全国横断で行われます。近くの会場でぜひ迫力のドリフトバトルをチェックしてみてはいかがでしょうか。

(取材・文・写真:栗原祥光 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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