高速道路の逆走にミノムシみたいな車両!? タイのおもしろ交通事情2019

サワディーカー!
先日、現地のモーターショー取材のためにタイへ出かけてきました。よく「ところ変われば……」なんて言いますが、タイの交通事情も日本とはかなり違っていて独自ルールや変な車両(?)がたくさん。今回は、タイの路上で見かけた興味深い光景をお届けしましょう。
ちなみにタイの交通ルールは日本と同じく左側通行で、車両は右ハンドルです。

高速道路の車線だって臨機応変に活用!

空港からタクシーに乗って十数分後、とんでもない光景が目に飛び込んできました。写真を見て、おかしなことに気が付きますか?

なんと、右側の車線は「逆走」になっている! 片道3車線のうち、いちばん右の車線が臨時の「反対車線」になっているのでした。もちろん交通警察の管理下で行われています。どうして?

理由はなんと渋滞を減らすため。朝の通勤ラッシュ時に交通量が増す方向の車線を増やして、できるだけ渋滞させないというわけですね。こういう臨機応変さはなんともタイらしいと思います。
アメリカでも交通量に応じて車線の数を変更する高速道路がありますが、それは(専用の重機をつかって)中央分離帯を変化させておこないます。しかし、タイはパイロンで区切っただけで対面通行させちゃうのだからさすが!

渋滞の高速道路では路肩も車線になる!

タイの首都バンコクは、世界でも有数の渋滞都市。東京の首都高速道路のような都市高速もありますが、そこも頻繁に渋滞します。実はこの写真の左側車線(のような部分)は、車線ではなく路肩。渋滞が発生すると、路肩まで車線になるのはバンコクでは当たり前の光景。法律的に許されているのか?に関しては諸説ありますが、取り締まられることはないようです。
よく見ると、その右隣の車線クルマは、ちゃーんと右側に寄って(車線より少し狭い)路肩をクルマが通れるようにしていますね。それがバンコクの常識みたいです。
でも、これだけ路肩に幅があってそこを日常的に車線として活用しているのなら、最初から「車線」にすればいいんじゃないでしょうかねぇ?

パトカーはいろんな車種があるけれど、妙にカッコイイ

街で見かけるパトカーはセダンからSUVまでいろんな車種があり、写真はトヨタ・カムリ。車体側面のストライプやドアのマークが妙にカッコイイですね。アメリカンな雰囲気です。

タクシーはカラフル! 現地の物価で考えても料金は安い

ピンクにイエロー、そしてグリーンとタイのタクシーは色鮮やか。初乗り料金が日本円に換算して100円ちょっとと安いので、近距離でもついつい使ってしまいます。ただ、バンコク市内は渋滞が激しいので「歩いたほうは早かった!」なんてことも多々(とはいえ蒸し暑いので歩くのは辛いんです)。ちなみに、タイのタクシーはトヨタ・カローラがほとんど。さらにいうと、街を走るクルマの9割弱は日本車で、なんとそれは東京の日本車比率よりも高いほどなんですよ。

現地のドライバー同士の阿吽の呼吸がスゴイ

そんなタクシーに乗って移動しているときに感じるのが、現地のドライバーの阿吽の呼吸の絶妙さ。渋滞中は接触するんじゃないかと驚くくらいに距離を詰めたあと、入られる側がスーッと道を譲って巧みに合流します。日本人の感覚としては「近づきすぎだろ!」とちょっとビビるのですが(笑)。
ただ、そんな“ギリギリ戦法”もさじ加減を間違えて接触事故になることも少なくないようですよ。やっぱりね。

道路にはヘンな車両が走っているんです!

おや、なんかミノムシみたいな車両が走ってきました。ナンダコレハ?
どうやらステッカーなどの雑貨を売る屋台みたい。しっかり周りが見えているのかは不明です(笑)

後ろから見ると、実はバイクをベースにした3輪車だということがわかりますね。もはや芸術的とすら思えるのはワタシだけでしょうか?

細かいことは気にしない……のか?

タイには「マイペンライ」という言葉があり、その意味は「まあいいじゃない」とか「平気だよ」といった感じ(韓国語でいう「ケンチャナヨ」ですね)。“なあなあ”として上手に物事を動かすのがタイの人たちですが、時にはそんな国民性のおかげで道路がカオスになることも。
中央を走っているリヤカーつきのバイク、明らかに逆走ですよね……。無事に目的地までたどり着けることを祈っています。

大型トラックだってドレスアップが大好き!

タイの人たちはカスタマイズが大好き。たとえばバミーと呼ばれるラーメンのようなタイの料理でも、最後の味付けは自分で調味料をトッピングと気が済まない人がほとんど(だから最初は薄味になっている)。クルマでも同じことで、タイの路上はドレスアップカーやチューニングカーが本当に多くで驚くのです。
それは乗用車だけでなく大型トラックなども同じで……まあ日本のデコトラ文化みたいなものでしょうか。天井やリヤバンパーにミシュランマンが座っているのもお約束ですね。

バスはまるで芸術作品!

トラックだけじゃなく貸し切りバスも凄いことになっています。まるで「痛車」のように、アニメなどを描いた大型バスをとにかく多く見かけます。職人さんが手書きで書く、いわゆる「ブラシアート」ですが、素晴らしい腕ですね。
ところでこのバスのイラスト、願いをかなえるために世界中に散らばっているボールを探すマンガに似ているような気がしなくもないですが、おそらく気のせいかと。ボールに星が書いてあるのも、きっと偶然でしょう。ときどき「リンゴ5個分の身長で、リンゴ3個分の体重」という、赤いリボンが特徴のかわいいネコのイラストや、赤い短パンをはいて白い手袋をはめた黒いネズミさんの絵も見かけますが、どこかで見たことがあるような気がしても、たまたま似ているだけ……ということにしておきましょう。きっと気のせいですから。だってここはタイ。マイペンライです……!?

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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