回生ブレーキって、どんな仕組み?【超初心者向け解説】

ハイブリッドカーなどの電動自動車の話をしていると、「回生ブレーキ」というものが出てきます。いったい、どのような働きをするものなのでしょうか。その仕組みと合わせて説明します。

失ってしまう運動エネルギーを生き返らせる

「回生」とは「生き返る」ことを意味します。「回生ブレーキ」で生き返らせるのは運動エネルギーです。停まっているクルマを動かすのには、エネルギーが必要です。それはガソリン・エンジンで燃料を燃やして作ったものかもしれませんし、電気でモーターを動かした力かもしれません。とにかく、クルマを動かすのにはエネルギーが使われます。

ところが、赤信号などで停止しようとブレーキをかけると、勢いよく動いていたクルマの運動エネルギーは失われてしまいます。厳密に言うと、ブレーキパッドがローターを挟み込み、その摩擦の力で減速力を生み出します。ブレーキによって運動エネルギーが摩擦熱になって空気中に放出されます。運動エネルギーが摩擦熱に変換されるのです。

せっかくエネルギーを使って加速させたのに、熱として失ってしまうのは、もったいない。そこでクルマが減速するときに失ってしまう運動エネルギーを生き返らせて回収しよう=それこそが「回生ブレーキ」の役割なのです。

運動エネルギーを電気に変えれば再利用が可能になる

運動エネルギーを取り戻すために働くのはモーターです。

ここで重要になるのがモーターの特性です。モーターは、電気を流すと回転します。別の言い方をすると、「電気を運動エネルギーに変換する」とも言えます。そして、重要なのは次の特性です。モーターは軸を回転させると、電気を生み出します。つまり、使い方によっては駆動だけでなく、発電機にもなるのです。

この特性を利用したのが、昔に流行した自転車用のライト。車輪にモーターのローラーを押し付け、車輪の回る力で発電し、ライトを光らせました。また、昔からクルマのエンジン部には発電機(ジェネレーターと呼ばれます)が搭載されていますが、その中身はモーターそのものと言えるものです。

モーターの軸を回転させて発電できるということは、運動エネルギーを電気に変換できることを意味します。この「変換できる」という特性を利用して、クルマの減速時にタイヤの回転力でモーターを回すことで、運動エネルギーを電気として回収することが可能となるのです。また、モーターを回転させるのには力が必要ですから、クルマのスピードを落とすように作用します。これはブレーキと同じ働き。つまり“回生”しながら“ブレーキ”としても働く=回生ブレーキと呼ばれることになったのです。

ちなみに、回生ブレーキによる減速力は、それほど大きなものではないので、実際には普通の摩擦式のブレーキも併用されています。

運動エネルギーを電気に変えて回収。その電気を再びモーター駆動に利用すれば、ロスが少なくなり、燃費がよくなります。ハイブリッド車の燃費性能が高いのは、そうした減速するときに失う運動エネルギーを回収して、再利用しているのも理由のひとつだったのです。

(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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