【D1GP】大改革の2019年シーズンが開幕! GRスープラが激走する中、昨シーズンのチャンピオン横井選手が好スタートを切る
例年より約3ヶ月遅く、待ちに待った2019年のD1グランプリシリーズが開幕! 6月29日(土)、30日(日)の2日間、筑波サーキットにて第1戦と第2戦が行われ、両日とも昨年のシリーズチャンピオンである横井昌志選手(D-MAX)が優勝を飾り、シーズン2連覇に向けて好発進した。その大会の様子をリポートする。
- 土曜日・日曜日ともに優勝を果たした横井選手
シリーズ19年目の大改革。ルールなどが大きく変更
今年は車両レギュレーションをはじめとするルールが大きく改定。従来では、ボディからはみ出なければ、どのような太さのタイヤを履いても問題はなかったのだが、今年からは重量に応じタイヤの幅が決められた。これにより、チームによっては新車を開発する必要が出てきたため、例年より3ヶ月遅れての開幕となった。
ルールも「決められたラインをいかに美しく通過するか」という方向へと変化。コース上に必ず通過しなければならない指定されたゾーンが設けられた。
- 筑波の第一ヘアピンの奥にパイロンを設置。コースに描かれた白線で挟まれたエリアを通過しなければならない
レースフォーマットも変更された。予選が廃止され、午前中に8台1グループ、計4グループ32台が2回走行する単走決勝を行い、そのうち各グループの上位4台が追走トーナメントへ進出する。また、3位決定戦がなくなり、準決勝敗退者のうち、単走で上位の者が3位に入る形となった。
今シーズンの注目は、シリーズチャンピオン経験者である川畑真人選手(Team TOYO TIRES DRIFT-1)と斎藤太吾選手(FAT FIVE RACING)が話題のスポーツカー「GRスープラ」での参戦だ。
- 川畑選手
- 斎藤選手
また、最多優勝を誇る今村陽一選手(MMM RACING)が、NISSAN GT-R(R35型)のエンジンを搭載したフェラーリF550でシリーズ復帰したのも大きなトピックスだ。
- 今シーズンから復帰した今村選手のフェラーリF550
日比野選手が大暴れ! 横井選手が2019年開幕戦を完全勝利で飾る
開幕戦が行われた29日は、朝から冷たい雨が降る空模様。それでも熱心なファンは朝8時の開門前から筑波サーキットに訪れ、賑わいを見せていた。
筑波サーキットのおよそ半分を用いる今大会は、シーズン最長の走行距離。それゆえにタイヤのマネジメントがとても重要となる。9時20分から行われた単走決勝で、注目の斎藤選手は無事通過。
- 時折小雨が降る中、会場には多くの方が訪れた
- 斎藤選手のGRスープラ
Bグループでは横井選手が98.66点という高得点をマークし、トップに立つ。続いて日比野哲也選手(Team SunRISE RACING)とニューマシン、シルビア(S14)が97点台と続く。
- 日比野選手のシルビア
一方、フェラーリを駆る今村陽一選手がドリフトできず、1コーナーの餌食となった。
- 1コーナーで体勢を崩してクラッシュする今村選手のフェラーリ
結果、横井選手が第一戦の単走優勝を果たした。2位は日比野選手、3位に植尾勝浩選手が入った。
午後2時からの追走トーナメントになると、雨は上がり始める陽気に。ここまで順当に勝ち上がってきたGRスープラに対して、日比野選手のシルビアが牙をむく。まずベスト16戦で斉藤選手を下すと、ベスト8で川畑選手の攻略に成功。いずれもGRスープラを上回るスピードとクイックな走りに会場からはどよめきが湧く。
- 先行する日比野選手に追いつくことができない斎藤選手
- 先行する日比野選手に対して川畑選手は差を詰めていく
決勝は横井選手と日比野選手の対戦。横井選手が先行となる1本目は、スピードで勝る横井選手に対して、追いつかない日比野選手。さらに日比野選手はヘアピンで通過すべきゾーンを外すミスをしてしまい、点数が大きく開く。これが決め手となり、横井選手が今シーズンの初戦を飾った。
- 決勝の様子。先行する横井に対して日比野はアウト側に設けられたゾーンに車を寄せることができないミスを犯す
3位は、単走を4位で通過した畑中真吾選手(VALINO IGM RACING)。勝った横井選手は、「昨シーズン終了後から、マシンを改良することなく、オフシーズンはゴルフばかりしていて、開幕が待ち遠しかった。ニューマシンが多いけれど、その中で昨年と同様で挑んだのがよい結果につながったのだと思う」と語った。
一方、日比野は「ほとんどシェイクダウンの状態だったが、勝てるマシンだと感じていた。タイヤメーカーも変わって初めての走行だったけれど、フィーリングもよい。今日は単走2位だったけれど、明日は1位が取れるようセッティング変更する」と翌日への意気込みを露わにした。
- 開幕戦の表彰台に上がった3名。左から2位の日比野選手、優勝した横井選手、3位の畑中選手
日比野選手が公約達成!横井選手が追走トーナメントの頂点に輝く
第二戦が行われた日曜日も、朝から雨が降る生憎の天候。しかも、前日よりも強い雨粒が地面に降り注いでいた。しかし、単走が始まるころには、雨も小康状態に。その中で行われた午前中の単走決勝は、斎藤選手の点数が伸び悩み、敗退する波乱の展開となった。
- GRスープラの斎藤選手
好調なのは、日比野選手だった。前日の公約達成とばかりに、98点台を叩き出してトップに立つ。その後、前日に単走で優勝した横井選手が好走を見せるも、97点止まり。日比野選手が2戦目の単走を制した。日比野選手の単走優勝は、2年前の筑波戦以来で、そのときもニューマシンであったS2000がデビューウィンを果たしていた。
- 日比野選手のシルビア
午後には雨が上がり、追走トーナメントはセミウェットからドライというコンディションで行われた。川畑選手がベスト16戦でミスをして敗退したほか、日比野選手もベスト8戦で接触して敗退するなどまったく先が読めない状況に。
- 第一ヘアピンでスピンする川畑選手とGRスープラ
その中で勝ち上がってきたのは植尾勝浩選手、末永直登選手、内海彰乃選手、横井選手といったベテラン勢。末永選手は左の10番目の肋骨を骨折し、その痛みがある中で植尾選手と対戦。体調不良に加え、雨向けのセッティングだった末永選手は、最終コーナーで植尾選手のマシンと接触! 植尾選手のマシンは右フロントに大きなダメージを負ってしまう。
- 末永選手(左)がインに切れ込みすぎて失速したところを植尾選手が接触!
横井選手は順当に勝ち上がり、決勝は植尾選手と横井選手。勝てば約14年ぶりの優勝となる植尾選手だが、「今日は楽しもうと思いました」と気負いがなく、リラックスモード。マシンは手負いの状態ながらも好走を見せ、対する横井選手も呼応するかのようにピタリとマシンを寄せてきて、会場が大いに湧きあがる。しかし、1本目走行中にフロントフェンダーが外れてしまい、走行を断念。
- 決勝戦の様子。植尾選手のフェンダーは一旦は修復するものの、走行中に外れてしまう
- フェンダーが外れてタイヤがむき出しとなった植尾選手のマシン
これにより2本目の走行を行うことなく横井選手の開幕2連勝が決定した。3位は末永選手。
- 左から2位の植尾選手、優勝した横井選手、3位末永選手、そして単走優勝した日比野選手
勝った横井選手は、「路面が乾いてくるに従って点数が出づらくなった。植尾さんは速いので、簡単に勝てる相手だとは思わない。今回は2連勝できたが、ライバルたちがそのまま引き下がるわけはないはず」と勝って兜の尾を締めると、「昨年『今年取れなければ二度とシリーズチャンピオンはない』と思い獲得しました。今年は『今年取らなければ二連覇はない』と思って挑みます」とシーズン全体を見据えた様子。
日比野選手が「いつもは愛知県民同士で仲良くしてもらっていますが、それはライバルとは見られていないということ。彼が本音を話さなくなるくらいにならないといけない」と言うと、植尾選手も「昨年は横井さんに追いつくことができなかったが、オフシーズンに徹底的に見直して、今日背中が見えた」と自信をつけ、対横井包囲網を形成しているようであった。
横井選手の2連勝で幕を閉じ、ライバル達に圧倒的なポイント差をつけた今回の筑波ラウンド。次戦は7月27日(土)、28日(日)の2日間、北海道・十勝サーキットで行われる。
(取材・文・写真:栗原祥光 編集:木谷宗義+ノオト)
<関連リンク>
D1 GRAND PRIX
http://www.d1gp.co.jp/
[ガズー編集部]
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