【ニュル24時間観戦記】観客席からはわからない! カメラマンの撮影ポイントからしか見られないサーキット

今年も6月20日(木)から3日間に行われたニュルブルクリンク24時間レース。使われるサーキットは、グランプリコース1周約5kmとノルドシュライフェ(オールドコース)1周約20kmを合わせた1周約25km、高低差約300m。さらに、コーナー数は約170カ所と、日本では考えられないようなコースです。

ちなみに鈴鹿サーキットの国際レーシングコース(4輪)の場合、全長は5.807km、コーナー数は18カ所。ニュルブルクリンクのコースがどれだけ大規模か、伝わるでしょうか?

今年、筆者はカメラマンとしてレースに参加。観客席からは見えない、撮影ポイントから見たサーキットをご紹介します。

まずはみんなが必ず撮影するエントランスから!

メインの入り口は、ニュルブルクリンクの看板が掲げられたセンターインフォメーションの建物。特徴的な外観は、思わずみんなが撮影をしてしまうほどの有名な撮影スポットです。

そこを抜けると、メインスタンドに到着します。建物内にはピットを正面に見るメインスタンドや、1コーナーからメルセデスアリーナを見ることができる丸い形が特徴的なスタンドなどがあります。

スタンドからは、160台のマシンが一斉にスタートする迫力満点のシーンが見られますよ。

このスタンドまでは、一般のお客さんも入れるところ。今回はここからが本番です! カメラマンしか行けない、コースサイドからの写真を交えてコースを紹介していきましょう。

グランプリコース――森に消え、森から現れる迫力のシーン!

グランプリコースのメルセデスアリーナと呼ばれるインフィールド部分をショートカットし、シケインを抜けてすぐ。グランプリコースの1番低い部分にあるダンロップヘアピンにめがけて、森の中へ消えていくようなシーンが繰り広げられます。

そして、このヘアピンを折り返してくると、ひたすら坂道を登るコースに。森の中から駆け上がってくる雰囲気を見ることができるのです。

続いて、ビルシュタインコーナーからグランプリコースのバックストレッチを抜けてくると、グランプリコースへのUターン路とオールドコースへの分かれ道になります。

予選や練習走行では、ここでUターンを行い、ピットに入って調整をしてから、再びコースインしていく姿がよく見られます。

オールドコース①――スリリングな撮影ポジションにもチャレンジ!

グランプリコースでは十分なランオフエリアがありましたが、オールドコースに入ると一気にランオフエリアは狭くなり、ガードレールまでの距離も狭くなります。

ちなみにコースサイドでは、レッドゾーンと呼ばれる撮影してはダメな場所もあります。それ以外は、運営側から「そこはダメ!」と言われない限り、自由にポジションを取ることができるのです。ゆえに、カメラマンはリスクを覚悟して、より良い撮影ポイントを探して動きます。ときに、ガードレールとマシンの距離が2mもない場所へも、挑んでいくのです。

オールドコース②――有名なカルーセルは外せない

ニュルブルクリンクで有名なカルーセル(カラツィオラ・カルッセル)は、すり鉢状になったヘアピンコーナーで、オールドコースの中盤付近にあります。

コースのイン側では、キャンプをしながら観戦を楽しむ人が多数。でもカメラマンは、コースのアウト側から、すり鉢状になっているコースを駆け抜けるマシンを撮ることが多いのです。

ここから撮影すると、カルーセルから抜け出す瞬間、カメラマンに対してまっすぐ飛び出してくるように見えるので、慣れるまでは怖さもあります。

そして、ジャンピングスポットや、ギャラリーコーナーなどを抜けたのち、クルマはグランプリコースへ帰っていきます。こんな長いコースの中で、起伏変化と気象変化に対応しながら24時間走りきるのは、とても大変だと想像できます。

カメラマンはレンタカーを使って移動&撮影

オールドコースを1周回るのはかなり大変で、有名な撮影ポイントを回るだけでも半日以上かかることも。ときには、アクセスする道がないこともあります。そのためカメラマンは、通常徒歩ではなくレンタカーで移動しながら撮影していきます。

また、ピットも撮影できますが、1ピットを4~6チームで共有しながら使うため、周りに配慮しながら撮影することが求められます。撮影中も、次から次へとピットインするマシンがいるので注意!

観客目線とは少し違ったニュルブルクリンクのコース案内。取材するカメラマンだからこそ!の臨場感が伝われば幸いです。

(取材・文・撮影:雪岡直樹 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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