【ニュル24時間観戦記】レンタカーで走ったニュルブルクリンクまでの道。アウトバーン、ラウンドアバウト…ドイツの交通事情

ニュルブルクリンク24時間レースを取材するのにあたり、ドイツでレンタカーを借りていました。ニュル24時間観戦記、今回は現地を走ってみた感じた交通事情をお伝えします。

空港でレンタカーを受け取ってドライブスタート

ドイツでクルマを運転するには、日本の免許証のほかに国際免許証を取得するか、日本の免許証とドイツの翻訳士資格を持つ公認翻訳者が訳した証明書を持っていれば運転できます。とはいえ、公認翻訳士に頼むのはあまり現実的ではないので、国際免許証を日本で発行しておいた方が無難です。

レンタカーは、日本から予約するのがスムーズです。フランクフルト空港にあるレンタカー窓口で受付をすれば、レンタカーを受け取れます。受付を済ませてキーを受け取ったら、空港内にあるレンタカー専用の駐車場へ行き、自分でクルマをピックアップします。

クルマをピックアップしたら、いよいよ一般道に出ます。当然ですが左ハンドルですし、右側通行です。間違えないように注意しましょう。いざ走り出してしまえば、意外と普通に走れますが、道路に掲示されている看板は当然ドイツ語。ドイツ語は読めないので、Googleマップのナビ機能を頼りに走りました。

※撮影はすべて助手席から行なっています
※撮影はすべて助手席から行なっています

そしてアウトバーンへ!

空港内の道路からジャンクションを回ると、そのままアウトバーンに乗れます。アウトバーンは無料のため、日本のように料金所がなく、いきなり乗れるのです。いきなりアウトバーンに乗るのは難しそうだと思うかもしれませんが、行き先さえきちんとわかっていれば、日本のように道路番号が明記されているので、それにしたがって行けば問題ありません。

アウトバーンでは、時速80~120km程度の速度制限が細かく行われていました。時速80kmに制限されるのは、滑りやすい表示がある区間など。そこでは、どのクルマも概ね時速80km程度にちゃんと速度を落として走行していました。速度制限区間が終わると、数字に斜線が引かれた「制限解除」の案内が出るので、そこからまた速度を上げていきます。

何も制限されていないと、いわゆる速度無制限区間になるわけですが、ずっと続くかと思いきや、わりとすぐに時速120km制限になったりまた解除されたりと、頻繁に制限と制限解除が繰り返されます。

今回、走ったアウトバーンは、ほぼ全線で3車線。基本的には、真ん中の車線を走っていれば安全です。追い越しを行う場合は左の追い越し車線に出ますが、「前車を追い越したらすぐに走行車線に戻る」というマナーが徹底されているように思えました。そのおかげで、どの車線も流れがスムーズで、煽り運転などはほとんど存在していないように感じます。

また、大型車は一番右の走行車線をゆったり走り、大型車追い越し禁止の区間では、たとえ前方に遅いクルマがいても追い越すことなく走っていました。これも、真ん中の車線でゆとりを持って走ることができる理由のひとつです。

SA・PAは日本と似ている

ドイツのアウトバーンにも、いわゆるSA・PA(サービスエリア、パーキングエリア)があります。日本のように一定区間ごとに設置されているわけではなさそうですが、ある程度の距離を走るとSA・PAが現われます。日本と同じように飲食店や売店、ガソリンスタンドなどがあって、設備はそう変わらない印象です。ただし、トイレは有料でした。

田舎道は北海道に似ている?

アウトバーンから一般道に降りると、また少し様子が変わります。フランクルフトなどの都市では信号もありますが、ニュルブルクリンクへ向かう道は田舎道のため、信号はほとんどありません。その多くが、ラウンドアバウト(円形交差点)や信号のない交差点でした。また、田舎道でも速度は高く、時速70~80kmで走行しています。

しかし、街が近づくと制限速度は時速30kmなどになり、みんな一斉に速度を落とします。街の入り口には速度を測って、「あなたの速度は時速何kmですよ」といった表示も出るほどです。そのため、市街地に差し掛かるとみんなきっちり速度を落とし、街を出ればまた速度を上げて走っていきます。なんとなく、北海道の地方都市を走っている感じに似ていると思いました。街と街の間を自然が残る道を走り、街が近づくとゆっくり走る。そんな走り方を繰り返しながら走っていくと、やがてニュルブルクリンクに到着します。

ニュルブルクリンクに到着!

ニュルブルクリンク周辺も信号は一切なく、多くはラウンドアバウトです。みんな順序よくラウンドアバウトに入り、タイミングよくウインカーを出してラウンドアバウトから出て行きます。流れはスムーズで、いわゆる交差点渋滞というものはほとんど起きていない印象でした。

今回、初めてアウトバーンを走ってみて、ドイツのクルマに対する考え方を実感しました。アウトバーンを高い速度で走るのはほとんどが高性能車で、普通のクルマや低グレード車に乗る人は無理せず走っている印象。ドイツの高性能車は、アウトバーンを走るためにあるのだなと感じました。海外で運転するのはハードルが高いと感じるものですが、チャレンジしてみると新たな発見があるものですね。

広大な景色の中に風車が立ち並んでいたり、自家用の馬運搬車が走っていたり、ドイツらしい風景も見られた今回のニュルブルクリンクドライブでした。

(取材・文・撮影:雪岡直樹 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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