車検も車庫証明も不要! AT限定免許でも乗れるトゥクトゥクに試乗してみた
東南アジアでよく見かける三輪自動車のタクシー「トゥクトゥク」。実は日本でも販売されているのをご存知でしょうか。しかも車検不要、車庫証明も必要なし。AT限定普通免許で乗れちゃうのです。
でも、実際の乗り心地ってどうなの? 値段は? どんな人が買っているの? などなど、気になる疑問をぶつけてみました。今回お話を聞いたのは、東京都足立区にピットを構えるトゥクトゥク専門店「ノスタルジックオート三輪舎」の浅野城之さんです。
- ノスタルジックオート三輪舎 浅野城之さん
パーツを輸入し、すべて一人で組み立てる
トゥクトゥク専門ディーラーって、珍しいですよね。お店を始めたきっかけを聞いてみました。
「ダイハツ・ミゼットとか、小さいクルマが好きなんですよ。でも最近は軽自動車もどんどん大きくなっているでしょう? 一方、海外には小さなオート三輪車がたくさん走っている。大手企業は取り扱わないので、じゃあ自分で始めてみようかな、と」(浅野さん)
海外製のトゥクトゥクを輸入・販売しているディーラーは他にもあるそうですが、こちらではパーツを輸入し、浅野さん自ら組み立てています。
「当初は完成車を輸入していたんですが、ネジが緩んでいたり、部品が外れちゃったり、不具合が多かった。パーツ自体が悪いわけではなく、組み立て方がすごく雑だったんです。バラして再度組み直すと、ものすごく手間がかかる。結局、部品だけを輸入してイチから組み立てる方式に変えました。そうしないと、日本のお客様にお渡しできるクルマにならないんです」(浅野さん)
- 組み立て中の様子
組み立てにかかる日数は、1週間から10日間程度。弱そうな部分を溶接で補強したり、緩みやすいネジを交換したり、配線をチェックしたりしながら組んでいくそうです。
ヘルメット不要! 排気量、最高時速などスペックは?
このトゥクトゥク、日本の法律上は「側車付軽二輪車」の扱いとなります。気になるスペックを確認しておきましょう。
●排気量 246.2cc
●最大馬力 15.6ps/7000rpm
●燃費 26km/L
●最高速度 80km
●燃料 無鉛レギュラーガソリン
●全長 2485mm
●全幅 1290mm
●全高 1750mm
●クラッチ 自動遠心クラッチ
●乾燥重量 350kg
●バッテリー 12v 28A
●最大定員 3名
普通運転免許、しかもAT限定でも乗ることができます。しかも車検や車庫証明が不要。価格は698,000円(税別)で、ドアなど追加オプションやカスタマイズは別料金となります。
「日本で走っている三輪車は、ほとんどがマニュアルです。でもうちのクルマはAT限定免許でも乗れるよう『自動遠心クラッチ』にしてあるので、クラッチ操作は必要ありません。また、三輪すべてにディスクブレーキを付けています。これは世界的にみても珍しいと思いますよ」(浅野さん)
- 色は赤、黄、緑の3色。「去年は黄色が売れたけど、今年は赤色が人気ですね」(浅野さん)
- 運転席。バーハンドルのため、運転操作はクルマというよりバイクに近い
8割は個人ユーザー、町おこしやホテルの送迎でも活躍
このトゥクトゥク、年間で20台ほど売れているとのこと。いったいどんな人が購入しているのでしょうか。
「8割くらいは一般のドライバーですね。個人以外だと、ホテルや旅館の送迎、結婚式場、沖縄のダイビングショップなど。離島は狭い道路が多いので、このサイズが使いやすいんですよ。町おこし目的で使われている自治体や、助成金を使って購入された例もあります」(浅野さん)
納車は、浅野さんが自走で届けることも多いそう。
「もちろん、業者に頼んでトラックで運ぶこともできます。でも納品コストを考えると、私が乗って届けるほうが安いんですよ。地方や離島の場合は、そのぶん手間や時間、帰りの交通費がかかりますが、やっぱりお客様の顔を見てお渡ししたい。購入された後も、メンテナンスなどでずっとお付き合いが発生しますからね」(浅野さん)
- 後部座席からの眺め
輸入車でいちばん困るのは、故障したとき。部品の在庫がない場合など、修理に2~3カ月待たされることも。そのため浅野さんは、交換用のパーツをすべて在庫として保有しているそうです。
「壊れたときは、すぐに部品を送ります。たいていは交換すれば済みますが、もし自分で作業できない場合は、お近くの自動車屋さんや修理屋さんに聞いてみてください」(浅野さん)
- 交換用のパーツをすべて常備
地方のお客さんの場合は、近所の修理屋さんにパーツを送って作業をしてもらうケースも多いそうです。
「どんなクルマでも、故障はつきもの。しかし部品さえ交換できれば、ほとんどの場合は直ります。パーツ代もそんなに高くはないですから」(浅野さん)
- USBポートとシガーライター。取付オプション料金は8,000~ 20,000円程度で、ほとんどの購入者が付けているとのこと
トゥクトゥクは雪道に強い?
購入者のなかには、毎日通勤で使用している方も。バイクから乗り換えたお客さんからは、「手が冷たくならないし、途中で雨が降ってきても大丈夫。雨と寒さ対策という点ではすごく助かっています」との声もあり、おおむね好評だそうです。
「あと意外な特徴は、びっくりするくらい雪道が走りやすいこと。普通の四輪車だとブレーキをかけても滑ってしまうけど、このクルマはキュッと止まりますから。深い雪道でもスイスイ走るので、北海道や山形など雪国で乗っている方もいらっしゃいますよ」(浅野さん)
運転方法は、四輪車というよりバイクに近いため、最初は練習が必要なケースも。
「普通自動車免許で乗れるんですが、操作自体はバイクに近いんです。だから最初は、近所や広い駐車場で運転方法をレクチャーすることも多い。そもそも三輪車に乗ったことのある人なんて、ほとんどいないですからね」(浅野さん)
なんとなく、お店の配達や宣伝用に使われているケースが多いのかな? と思っていましたが、個人購入が8割というのは意外ですね。
取材のあと、浅野さんのご厚意で筆者も後部座席に乗せてもらいました。夏風が心地よく、疾走感バツグン。日本で乗れるお手頃価格のトゥクトゥク。ちょっと目立ちたい方は、こんな選択肢もアリかも?
(取材・文・写真:村中貴士 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
<取材協力および写真提供>
ノスタルジックオート三輪舎
http://www.3rinsha.net/
[ガズー編集部]
あわせて読みたい!
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-