乗り心地は? 加速度は!? 日産リーフのレーシングカー「リーフ NISMO RC」 に乗ってみた
世界でもっとも多く販売されている電気自動車(EV)、日産リーフ。2010年末に販売がはじまったリーフは、世界50以上の市場で販売されていて、2018年には欧州の電気自動車販売でトップに立つほか、ノルウェーでは“電気自動車以外も含めた乗用車”において年間販売台数トップを記録するほど人気を集めています。
そして2019年春に世界累計販売40万台を突破。市販電気自動車の基準のような存在と言っていいでしょう。実は、そんなリーフには「リーフ NISMO RC」と呼ぶレーシングカーがあるのを知っていますか?
どんなクルマなの?
このリーフ NISMO RCは、市販車と同じパワートレイン(バッテリーやモーター)を搭載し、外観も市販リーフをイメージさせるデザインとなっていますが、本格的なレーシングカーと同じ構造で制作した、純粋なレーシングカー。もちろん公道は走れません。
ただし作られた目的は特定のレースに出場するわけではなく、その役割は電気自動車のパフォーマンスを磨いたり、その可能性を研究したりすること。2019年夏時点では、世界に6台だけ存在するそうです。
デザインは市販リーフのイメージを継承していますが、グッと低くて幅広になり、なんとも速そう。こんなスポーツカーを発売して欲しい、という気分になってきます。
一方で車体構造は市販リーフとは全く異なり、ドライバーが乗り込むキャビン周辺はカーボン(CFRP)のモノコック。その前後に専用のサブフレームやサスペンションを合体させています。つまり、日本でもっとも人気のあるレース「スーパーGT」に近い車体の作り方なのです。運転席周辺も、市販リーフの面影はまったくない、生粋のレーシングカーです。
パワートレインは、バッテリーやモーター自体は市販「リーフe+」と同じもの。ただし、街を走るリーフがひとつのモーターを使う前輪駆動なのに対し、このクルマでは前後に2つのモーターを装着したツインモーター仕様で4WDになっているのが市販車との大きな違い。実は先代リーフをベースにした「リーフNISMO RC」もあったのですが、それはシングルモーターで後輪駆動でした。新型はツインモーターとなり、最高出力は100kW(136ps)から240kW(326ps)へと大幅にアップ。最大トルクは640Nmとガソリンエンジンでいえば排気量6リットル相当と、ますます進化しました!
気になるのは「どのくらい速いのか?」
停止状態から時速100キロまでの到達時間を示す0-100km/h加速は3.4秒で、市販のGT-Rよりはちょっとだけ遅いですが、かなりの速さ。最高速度は220km/hだそうです。
千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイというサーキットのラップタイムは、スリックタイヤ(レース用のタイヤ)を履いて1分8秒18。これはなんと、コースレコード(最速記録)というから、走りの水準はかなりのものです。
乗ってみてどうなの?
それでは試乗してみましょう! まず驚いたのは、誰でも簡単に運転できること。レーシングカーと言えば一般的には運転操作にコツが必要だったり、動きにクセがあったりと、素人がいきなり乗り込んで動かせるものではありません。
しかし、リーフNISMO RCは運転席に乗り込み、シフトセレクター(前進と後進の切り替え)の操作方法の説明を受けただけで「ではどうぞスタートしてください!」と、あまりにもあっさりとしていてビックリしました。
ペダルはアクセルとブレーキだけなので、操作は一般的な乗用車のATと同じ。こうやって簡単に運転できるのが、いままでのレーシングカーとは全然違うところだと感じました。
アクセルを踏むと、ヒューンというインバーター音(とタイヤが路面の砂を跳ねる音)だけを響かせながらスルスルと加速していきます。まるで実物大のラジコンカーに乗り込んで運転しているような感覚。モーターらしいスムーズな加速感はそのままに、市販リーフよりもずっと加速が鋭いです。
本格レーシングカーと同様の作りなので、ハンドルが大きく切れない、サーボがついていないからブレーキのフィーリングが独特など、運転感覚で市販車とは違う部分もいくつかあります。でも、何の知識も技術もなく簡単に運転できてしまうのがこのクルマの注目ポイント。普通のレーシングカーではこうはいきませんからね。
実際に運転してみて感じた日産の電動レーシングカー「リーフRC」の凄さ。それは本格的なレーシングカーと同じ構造ながら、誰でも簡単に運転できて、速さと爽快感に気持ちよくなれることでした。
(文:工藤貴宏 編集:阿部綾奈+ノオト)
[ガズー編集部]
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