日本のマイカー普及とともに歩んだカローラ12世代を振り返る
日本を代表するベーシックカー「カローラ」にはなんと半世紀以上の歴史があった!
先日フルモデルチェンジして新型がデビューしたカローラは、なんと50年以上の歴史を持つ長寿命モデル。そんなカローラの歴史は、日本のマイカーの歴史といえるかもしれません。
今回は、長きにわたるカローラの歴代モデルを振り返ってみましょう。
「大衆車市場への本命」として開発した初代は1966年にデビュー
1966年、当時のエントリーモデルである「パブリカ」とミドルクラスの「コロナ」の中間の車種として初代カローラがデビュー。エンジンは1077㏄で60ps(グロス表示)を発生し、当時の資料には最高速度140km/hと書かれています。
インテリアはリビングルームをイメージ。リクライニングシートはまだ全車標準装備ではありませんでした。
月産2~3万台という計画(実際にデビューからわずか3年半で100万台を生産)からも、いかに意欲的な車が伝わってきますね。ベーシックグレードの価格は43万2000円。当時の大卒初任給が平均2万3300円だったといいますから、今の感覚では400万円弱くらいでしょうか。デビューした1966年は「マイカー元年」と言われたそうですが、多くの人にとって“自分のクルマ”はまだまだは大きな憧れの対象だった時代です。
1970年、初のフルモデルチェンジで2代目に
初代デビュー後の1968年には日本が世界第2位の経済大国となるなど、日本は成長路線まっしぐら。クルマはまだ高価ですが、マイカーもどんどん身近な存在となっていきます。
2代目カローラも消費者の「向上ニーズ」を反映し、ボディサイズを拡大して居住性や走行安定性も高め、また豪華さもレベルアップ。ハイパワーエンジンを搭載した「レビン」はこの世代から用意されました。
また、2代目がデビューした1970年は、大阪万博が開催された年でした。
1974年にデビューした3代目は、いっそうの排出ガス対策や安全対策も
カローラの歴史はボディサイズ拡大の歴史といってもいいでしょう。
1974年デビューの3代目は、全幅を60mm広げて安全性を高めています。初代デビューから8年で見た目もずいぶん立派になりました。
当時のプレスリリースを見ると、最初に書かれているのは排出ガス規制への対応。
経済がますます発展してきた70年代は、交通事故とともに大気汚染が大きな社会問題になっていたことを反映しているわけですね。
1979年デビューの4代目は、カローラ史上もっとも四角い
4世代目は、当時流行していた直線基調のスクエアフォルムに大胆チェンジ。74年に起こったオイルショックを反映し、燃費向上を目的として車体の軽量化を施したのもトピックです。
ベーシックグレードの価格は、78万6000円。物価上昇により大卒初任給の平均が10万9500円まであがったことで、カローラは生誕から13年を経てかなり手の届きやすい存在となりました。ついに、無理をしなくてもクルマが手に入る時代が訪れたのです。
大革命が起きた5代目は、1983年に登場
東京ディズニーランドが開園し、任天堂がファミリーコンピュータを発売した1983年。カローラは5代目にモデルチェンジしました。このモデルで起こった大きな変化は、駆動方式がそれまでの後輪駆動(FR)から前輪駆動(FF)へとスイッチしたこと。前輪駆動はパッケージング効率のよさが最大のメリットで、居住スペースが広くなりました。
いっぽう、クーペモデルの「カローラレビン」はこの世代でも引き続き後輪駆動のまま販売され、のちに多くのファンに愛され「ハチロク」として伝説的なクルマになりましたね。
1987年、好景気を背景にラグジュアリー路線へシフトした6代目
「バブル経済」という日本史上最高の景気に多くの国民が浮かれていた1987年、6代目のカローラがデビューしました。「豪華」「上質」「高級」といった世相を反映し、インテリアのクオリティは大幅にレベルアップ。上級グレードにはデジタルメーターや電子制御式サスペンションを設定するなど、カローラも高級車路線を歩みます。
この年の大卒初任給が14万8200円だったのに対し、ベーシックグレードの価格はわずか88万3000円と抑えられていました。
高級路線を継承、1991年デビューの7代目
6代目の高級路線を受け継ぎ、小さくて上質なセダンを追求した7世代目。カローラ史上もっとも高級な雰囲気を持つモデルといっていいでしょう。
デビューした1991年はバブル経済が崩壊した年ですが、世の中にはまだ華やかな空気が残っていました。
1995年デビューの8代目は、再び質実剛健路線へ
バブル経済の崩壊は、カローラの商品性にも影響を及ぼしました。好景気の反動で不景気になり、世の中は一気に質素倹約ムードへ。カローラもそれを反映し、豪華さを求めるのではなく、1995年登場の7代目はシンプルで使い勝手の良さを求めるフルモデルチェンジでした。
9代目はすべてを刷新し、新世代カローラへ。2000年登場
プラットフォームからエンジンまで、メカニズムのすべてを刷新した9代目カローラ。パッケージングも従来のクラシカルな3ボックスセダンスタイルから、居住性を重視した次世代のプロポーションへ変化しました。従来のカローラに別れを告げ、新しい価値観を模索したのです。カローラとしてはじめて、横滑り防止装置(VSC)が設定されました。
2006年にデビューした10代目は、初の日本専用モデルを用意
歴代カローラは長きにわたって国内最多販売車種の座をキープするなど多くの人に愛されました。しかし、海外でもトヨタを代表するほどの人気車種となり、徐々に海外におけるニーズと日本でのニーズの差が生じてきます。そこで10代目は、海外向けとは異なる日本専用設計の車体を用意。日本のユーザーに向けたカローラとして新しい道を歩み始めます。
バックモニターを全車標準装備とするなど、時代の先を行く新しい提案もおこなわれました。
先代よりもコンパクトになった11代目。2012年デビュー
2012年にフルモデルチェンジした11代目の大きなトピックは、先代よりも車体サイズが小さくなったこと。これはカローラ史上初めてのことです。
追って2013年にカローラ初のハイブリッドが追加されたのもニュースでした。ユーザーからも大好評で、追加後のカローラの中心はハイブリッドとなりました。
そして2019年。12代目は再び世界共通のカローラシリーズへ
最新のカローラシリーズは、大きく方向転換。ここ2世代とは異なり、再び輸出仕様のカローラと共通化されたのです。とはいえ全く同じではなく、日本向けに車体を小さく設計するなど「カローラは扱いやすいサイズがいい」というユーザーの声をしっかり反映しています。
スタイリングもすっかり若返った新型カローラが、日本のユーザーにどう受け入れられるか楽しみですね。
こうしてカローラの歴代モデルを振り返ってみると、しっかりと時代を反映していることが読み取れます。日本を代表する大衆セダンとして、これからのカローラがどう変化していくのかも興味深いところです。
ところで、これまで生産されたカローラをすべて繋げたら、地球何周分くらいになると思いますか?
答えは、約5周。
累計生産台数はなんと4750万台で、なんと単一車種としては世界最多としてギネスブックにも認定されているのです。そして毎年約150万台というハイペースで増えているんですよ。計算上はなんと10秒に1台ほどが、世界のどこかでお客様のもとに届けられているのです。
カローラは実は、日本を代表するファミリーカーですが、同時に世界を代表するセダンなのです。
(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
<関連リンク>
カローラ50周年特設サイト
https://global.toyota/jp/corolla50th/
NEWカローラ、カタログ予約&商談予約開始! 新型カローラ最新情報&歴代カローラヒストリー│トヨタモビリティ
https://www.toyota-mobi-tokyo.co.jp/column/20190617_COROLLA
[ガズー編集部]
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