30年前のクルマも現役で活躍する! サーキットで働くクルマたち<スポーツランドSUGO編>

コースのメンテナンスから始まり、ひとたびアクシデントが発生すれば現場に駆け付け、再開に向けて迅速な処置を行うコースカーたち。レースやイベントを開催するにあたって、欠かすことのできない存在です。サーキットを運営する組織の方針や考え方により、コースカーの車種やラッピングには個性があらわれます。今回はスポーツランドSUGO(以下:SUGO)のコースカーを取材し、車種や用途を聞きました。

※サーキットにより呼称は異なりますが、ここでは「コースカー」と総称します。

デミオやレクサスESといった珍しい車種も導入されている

今回、説明をしてくれたのは株式会社菅生 モータースポーツ部 部長補佐の尾形知臣さんです。まずはレースやイベントでの花形、セーフティーカーとマーシャルカーを紹介します。

現在、SUGOには3台のセーフティーカーと、7台のマーシャルカーが配備されています。基本的にセーフティーカーとマーシャルカーはメーカーから借用して使用しており、SUGO側からリクエストを出して借りた車両と、メーカー側からの申し出があって貸与された車両の両方があるとのこと。ラッピングは、まずセーフティーカーやマーシャルカーでの使用を前提としてメーカーが行い、借用後、必要に応じてSUGO側で追加ラッピングを行うそうです。

■セーフティーカー

レース中にアクシデントが発生した際、コースに入って競技車両にスローダウンと、順位にそった隊列を組んで走行するよう促すセーフティーカー。オレンジとグリーンの回転灯を持ち、オレンジの回転灯使用時は「セーフティーカーの追い越し禁止」を、グリーンの回転灯使用時は「セーフティーカーの追い越し許可」をあらわしています(セーフティーカーがコースを走行している間は原則、競技車両同士の追い越しは禁止されています)。

「マツダ東北ファンミーティング」を開催するなど、マツダとの関わりが深いSUGO。ほかのサーキットでは珍しいマツダ デミオをセーフティーカーとして配備しています。

この86は一見、オレンジの回転灯しか搭載していないように見えますが、後ろから見ることでグリーンの回転灯を確認できます。

車格のあるGT-Rは、スーパーフォーミュラなどのビッグレース開催時に使用されるそう。

■マーシャルカー

イベントやレースに関わらず、コース業務において多目的に使用されるマーシャルカー。ほかのサーキットでの「オフィシャルカー」に相当します。現在、SUGOでは7台のマーシャルカーが配備されており、フォーメーションラップで先導を務めるマーシャルカーには、ブルーの回転灯が搭載されています。

GT-Rと同様に、車格からレクサスIS-Fはビッグレース開催時に使用されます。同じトヨタ系のコースカーでも、セーフティーカーの86と比べてラッピングは控えめになっています。

主に組織委員会の移動用に使用されるレクサスES300h。SUGOロゴの下に描かれた「Beyond the Emotion」は、スポーツランドSUGOのブランドスローガンです。

マツダ アクセラに描かれる「Be a driver.」は、マツダのキャッチフレーズです。先ほどのES300hもそうですが、外部に回転灯のないマーシャルカーは、運転席上部など車内に発光装置が装着されています。

ホンダの3代目シビック タイプRは2台、配備されており、それぞれ異なる回転灯を搭載しています。

2台配備されるG’s プリウスα。少し前に2台のアルテッツァと入れ替わったそうです。1台はアクシデントが発生した際、医療関係者を乗せて急行するドクターカーとして活用されています。この日はサーキット会員の走行日で、霧の中で走行できるかを確認すべく、スタッフの乗ったプリウスαがコースへ入って行きました。

サポートカーの中には、30年にわたって活躍するクルマも!

サポートカーは、レースやイベント開催時に発生したアクシデントに応対、処置を行うコースカーたちです。中心を担うのは最新設備を持った車両ですが、旧来の車両も使用できる限り予備機として運用されます。

■消火車(ファイヤーレスキューカー)

現時点で一番、新しい消火車となるトヨタ アイシスです。一見、無改造に見えますが、最新の消火設備を車内に搭載しています。

一方、20~30年もの間、現役で働き続ける消火車も。

上からダットサン トラック、三菱 マイティマックス(日本名:ストラーダ)、トヨタT100。もちろんどの車両も稼働し、しっかりと役割を熟します。

ほかにもお馴染みのレッカー車やスイーパー(清掃車)、救急車がアクシデントに備え、コースのあちこちに配備されていました。

■コースメンテナンス車両

SUGOは「インターナショナルモトクロスコース」をはじめとしたオフロードコースを持っています。不整地のメンテナンス用に、ヤンマーの無限軌道式トラクターを配備しているのはSUGOならでは。

その他のコースカー

広大な敷地面積を持つSUGOは、入場者の移動用にバスとヤマハ ランドカーを所有しています。

ランドカーは、5人まで乗ることができるレンタル車両。曜日や開催しているイベントにより変わりますが、レンタル料は1,100円からで借りることができ、サーキット内の移動に使えます。

通常、主立ったセーフティーカーとマーシャルカーは、インターナショナルレーシングコースにあるコントロールタワー前に並んでおり、自由に見ることができます。サポート車両やコースメンテナンス車両はコース付近に配備されているので、気になる方は探してみてはいかがでしょう?

(取材・文・写真:糸井賢一 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
スポーツランドSUGO
https://www.sportsland-sugo.co.jp/

[ガズー編集部]

あわせて読みたい!

  • シビック タイプRにシボレーのトラックも! サーキットで働くクルマたち<ツインリンクもてぎ編>
    シビック タイプRにシボレーのトラックも! サーキットで働くクルマたち<ツインリンクもてぎ編>
  • レクサスだけじゃない、GT-Rにパナメーラも! サーキットで働くクルマたち<富士スピードウェイ編>
    レクサスだけじゃない、GT-Rにパナメーラも! サーキットで働くクルマたち<富士スピードウェイ編>
  • 2,200円で本物のサーキットを走れる!富士スピードウェイの体験走行に参加してみよう
    2,200円で本物のサーキットを走れる!富士スピードウェイの体験走行に参加してみよう
  • 日本で唯一、敷地内に「芋煮会場」を持つサーキット
    日本で唯一、敷地内に「芋煮会場」を持つサーキット

コラムトップ

MORIZO on the Road