裏話もいっぱい! マニアも初心者も楽しい「自動車ジャーナリストと巡る東京モーターショー」を体験してみた

モーターショーに行っても大事なポイントがわからないまま、疲れて終わってしまった……。

そんなモッタイナイことしちゃって悲しい思いをした人に、ピッタリのプログラムがあります。それが、毎回、東京モーターショーで開催されている「自動車ジャーナリストと巡る東京モーターショー」です。ワイヤレスイヤホンでガイドの説明を見ながら一緒に会場を巡ることができるというもの。

そこで今回は、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員・鈴木ケンイチ先生がガイドするツアーに参加。その魅力を体験してきました。

「自動車ジャーナリストと巡る東京モーターショー」とは?

「自動車ジャーナリストと巡る東京モーターショー」は、AJAJ会員有志により行われているガイドツアー(有料700~1,000円/入場券とセットで予約購入制)です。今回のモーターショーでは、1組15名ほどで、1回につき5組が約2時間半のツアーを行いました。いつもは1会場なので2時間ほどで終わるそうですが、今回は会場間のバス移動があるため、30分ほど長くなっていたとのこと。

シャトルバスの混雑も話題になりましたが、このツアーでは専用バスでの移動となるため待ち時間なし! スムーズに移動しながら会場全体をチェックできるというだけでもお得感たっぷりです。

お客さんは、自分が参加する日にどのAJAJ会員がガイドに出ているのかも、どんなテーマで巡るのかもわからないというミステリーツアー形式。受付時に、初めてどの先生が出て、どのテーマで巡るのか、ホワイトボードで知らされます。

鈴木先生の回は、MaaSやCASEについて。それぞれの先生がお得意の分野で語ってくれるとのこと
鈴木先生の回は、MaaSやCASEについて。それぞれの先生がお得意の分野で語ってくれるとのこと

ちなみにほかの方のポイントを見てみると、「タイヤメーカーを巡る」といったマニアックなものもあれば、「EVは本当に覇権を握ることができるのか!」という刺激的なものもありました。個人的に、タイヤはちょっと惹かれましたね。ディープな世界が覗けそうです。

会社での参加や視察も多数

このツアーでは、集合場所の部屋で荷物も預かってくれます。遠方から来ている方やパソコンなど重い荷物をもっている人にとっては、うれしいサービス。身軽に見学できるので、とても助かりました。

参加者層について鈴木先生に聞いたところ、「初心者の方が、どんなショーか見に来た、というのが多い」とのこと。でも、このツアーは先生もテーマも多彩なので、何度も参加するマニアックな方もいるそう。チケットもリーズナブルですし、いろいろな切り口でショーを楽しみたい人には良いツアーですね。

今回、参加した鈴木先生のチームを見渡してみると、スーツやオフィススタイルの方ばかり。話を聞けば、MaaSやCASEに関わるお仕事をされているそうで、研修の一環として参加されていました。

チャーターバスでの移動。みなさん、遊びに来た……という感じではありませんでした(笑)
チャーターバスでの移動。みなさん、遊びに来た……という感じではありませんでした(笑)

実際、鈴木先生の回は、取り扱うテーマがMaaSやCASEということもあり、クルマ好きではなく、視察で来られるクルマに詳しくない方も多いと言います。「モーターショー=クルマだけ」と思っていると、いろいろ見逃しそうですね。

「ツアー参加ならでは」の出来事も!

世界各国のモーターショーやCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)などのビジネスショーに参加されているだけあって、知識豊富な鈴木先生のトークは2時間ほとんど止まりません。各国の状況を話しながら、人ごみの中を分け進みます。人が多い会場内を歩くので、途中で見失ってしまう人も……! 都度、確認と合流を繰り返しながら進みます。

トークの内容は、ここでは書けないオフレコ話も多数。自動車ジャーナリストだから知る裏話もたくさん飛び出しました。

そのほか、ツアーに参加したからこその、ちょっとうれしい出来事も。

展示用ロープの内側からクルマの見学ができたり……。

ちょっとしたお土産がもらえたり……。

メーカーの人に、ちょっと詳しく説明してもらったり……。

ちなみに、これらの出来事はツアーによってさまざま。必ず何かもらえるわけではないからこその、サプライズなのです。

MaaSやCASEのトークには熱が入る鈴木先生

誰しも得意分野や好きなことは、たくさん話したくなりますよね。鈴木先生も、MaaSやCASEになると饒舌度が増します。

「2018年1月のCESでトヨタが自動運転コンセプトのe-Paletteを発表したところ、“これが自動運転車だ!”と、世界中の自動車メーカーやサプライヤーが、どこもかしこも似たような箱型のコンセプトカーを出すようになってきました。しかも、そのe-Paletteを東京オリンピックで走らせると言っています。もう、こうした箱型の自動運転車は夢物語じゃないんですね」

「でも、実のところ、こうした箱型の自動運転車は、意外にも実用化しやすいんです。なぜなら、走行スピードが遅い。遅ければ人が飛び出してきても、余裕をもって停まることができます。また遠隔操作するにも速度が遅ければ、現在の4Gの通信環境でも可能です。速度が高くなると4Gでは対応できないんです。遅くなると、グッと技術的なハードルが下がるんです」

今回の東京モーターショーでも、スズキをはじめ、何社かが箱形のコンセプトカーを並べていました。

「ただし、MaaSは結局、サービスがポイントになっていきます。A地点からB地点まで人を運ぶだけではビジネスになりません。そうではなく、移動中に何をするのか。どんなメリットやうれしさ、楽しさがあるのか。そこでちゃんとマネタイズできるかどうかが、カギになります。お金にならなければ、わざわざ高額な自動運転車を誰が購入して運用してくれるのでしょうか。利用者に高い使用料を請求するようであれば、“いらない”と言われてしまいます」

「でも、どんなサービスであれば、マネタイズできるのかは、まだ誰もわかりません。そして、それを見つけ出した人や企業が、最終的な勝者となるはずです。だからこそ、トヨタはブースで、自動運転車のさまざまな新しい使い方を提案しているのです」

文字から鈴木先生の熱弁ぶりを感じていただけたでしょうか!? 来年以降、MaaSやCASEにどんなサービスが登場するのかが楽しみですね。

あっという間の2時間半

そしてトラックやバスのゾーンを楽しんだあと、もとの会議室に戻ってツアーは解散。あっという間の2時間半が終わりました。

ちなみに筆者大好物のトラックたちは、ようやく自動運転レベル2に到達、とのこと。大きい車体は、自動運転化が大変なのだとか
ちなみに筆者大好物のトラックたちは、ようやく自動運転レベル2に到達、とのこと。大きい車体は、自動運転化が大変なのだとか

終了後、先生に「SUVとは何ですか?」と質問されていた方に、ガイドツアー参加の感想をきいてみたところ「クルマは全然詳しくないけど、わかりやすい説明で楽しかった」とのこと。今まで筆者はトラックとサプライヤーしか見ていなかったのですが、今回初めて「ちゃんと、見どころをチェックできた」……ような気がしました。

今年のモーターショーでのガイドツアーは11月1日で終了してしまいましたが、2年後のモーターショーでも、きっと開催されるはず。今回のモーターショーで「見どころ見逃した!」という人は、次回ぜひ参加を検討してみてくださいね!

(取材・文・写真:ミノシマタカコ 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
自動車ジャーナリスト(AJAJ)と巡る東京モーターショー
https://www.tokyo-motorshow.com/event/guide_tour.html

[ガズー編集部]

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